表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
売国政府を断罪する最強転生者――彼の過去を暴くチートを得た私が小説にしたら、全世界が大発狂  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
B章 財務省は眠れない。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/188

2話 裏国連会議。


 2話 裏国連会議。


 翌日の火曜日。場所はスイス、アルプスの山中にひっそりと佇む、廃業したリゾートホテルの地下ホール。

 壁紙は剥がれ、シャンデリアはほこりを被っていた。

 だが中央の長机には、古びた建物に似つかわしくない重厚な革張りの椅子が並んでいる。


 そこに腰を下ろすのは、正規の外交官ではない。

 各国の旗こそ掲げられていないが、この場に集った面々こそ、国連総会の何倍も『世界を動かしてきた影の支配者たち』だった。


 イタリアン・マフィアのドン。

 冷戦崩壊後に軍から流れたロシア・シンジケートの将軍上がり。

 中華トライアドの古参の頭目。

 麻薬戦争を生き延びたメキシコ・カルテルの将軍。

 極道連合を束ねる日本の会頭。

 さらに、資源ビジネスを牛耳るアフリカの武装財閥、民間軍事会社の闇ネットワーク。


 テーブルの上にはワインと葉巻。空気は煙草と酒と、そして血の匂いで淀んでいた。


 ――重苦しい沈黙。


「……センエース……か」


 最初に声を発したのは白髪のイタリアのボスだった。吐き捨てるように低い声を響かせる。


「どうしたものか……」

「あんなのがいたら、商売あがったりだぞ」

「どうにか殺せないのか?」

「無理だろうな……」

「ロキが挑んだそうだが、撃沈したと聞いた」

「あのロキでも無理か……」

「……なんせ、相手は神だからな」

「なにが神だ、バカバカしい」


 机を叩く拳、渦巻く怒声。だがその裏に潜むものを互いに知っていた。

 声の震え。視線の泳ぎ。――怒りより先に染み出すのは隠しきれぬ恐怖だった。


 そのとき、重い扉が軋んだ。


 長身の男が、ゆっくりと歩を進める。

 黒いスーツに身を包み、氷のような笑みを浮かべながら。


「久しいな、諸君」


 場が凍りついた。

 誰もが、その名を知っていた。

 ――皮肉と敬愛を込めて、サルバトーレ(救世主)と呼ばれている悪魔。

 闇の帝王ロキ。


 裏社会の歴史に刻まれたコードネーム。冷戦終結の混乱を利用し、東欧の武器市場を掌握した男。

 バルカンの民族紛争を裏から煽り、アフリカの資源戦争に傭兵を送り込み、中南米の政権交代にまで影を落とした。

 表に出れば国際指名手配、だが常に一歩先で証拠を焼き払い、影の金融と情報網で各国政府を翻弄してきた。

 抗争を仕掛け、政権を転覆させ、経済を混乱させた数は誰にも数え切れない。

 その足跡は伝説ではなく、冷たい現実として、各国の情報機関の極秘文書に刻まれている。


 ロキは視線を巡らせ、にやりと笑う。


「震えているな」


 その声音は嘲笑だった。


「分かるさ。俺の血も揺れている。しかし――動かなければジリ貧だ。ニーチェは間違っていた。神はまだ生きている」


 沈黙が落ちる。老ボスが、恐怖を押し殺すように口を開いた。


「……貴様の言う通り、奴は神だ。わしらごときが抗うのは、やめた方が――」


 パン、と銃声。

 言葉は最後まで紡がれなかった。老ボスの額に赤い穴が開き、後ろへ崩れ落ちる。

 ロキは煙を上げる拳銃を机に投げ置き、冷たく吐き捨てた。


「弱者に命を咲かせる資格はない。心まで老いるのはマナー違反。悪党には悪党の哲学が必至。最後まで悪に殉ずる美学を愛せ」


 血の匂いがさらに濃く漂い、場の恐怖を上塗りする。

 誰も何も言えなくなる。

 名うての悪党も震えて黙る悪魔のキング。


「いいか、諸君」


 ロキの声は低く、だが鋼のように響いた。


「俺はすでに軍需産業の闇部門と、諜報機関の黒予算部門と契約を結んだ。表の政府は震えて手を出せない。だが俺なら飛べる」


 背後のスクリーンに映像が流れる。

 砂漠で群体ドローンが稼働し、戦車を蜂の巣にする無音の群れ。

 試射場で携帯型レールガンが分厚い鋼板を容易に貫く。

 都市実験区画で認知撹乱ガスを浴びた兵士が幻覚に苛まれ、自滅していく。

 会議室に映し出されたのは、ただの兵器紹介ではない。

 人類の最高傑作。

 命の業の集大成。


「国家予算で磨き上げられた兵器。局所的な殺傷力で言えば核を超える。俺が自力で集めた玩具とは次元が違う。……これがあれば神殺しは夢じゃない」


 沈黙。だが先ほどと違う。

 恐怖に押し潰されそうな沈黙が、欲望と生存本能に塗り替わっていく。


 各国の闇のボスたちが、ひとり、またひとりと頷く。

 やがて重苦しい合意となり、場を満たしていった。


 ロキはゆっくりと手を掲げ、冷たく宣告した。


「目標はただ一つ」


 鋭い瞳が、虚空の一点を射抜く。


「――センエースの首だ。ここは人間の世界。無粋な神には、ご退場いただく」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ロキ、まさに悪魔のキング。 彼の心まで老いるのはマナー違反。 最後まで悪に殉ずる美学を愛せというセリフは、 悪役としての究極のカッコよさですね! 恐怖を排除し、欲望と生存本能で悪党たちを まとめ上げ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ