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売国政府を断罪する最強転生者――彼の過去を暴くチートを得た私が小説にしたら、全世界が大発狂  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
A章 世界の夜明け。

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トコ19話 弾丸をつまむ者。


 トコ19話 弾丸をつまむ者


 床に叩き伏せられたトコの額に、冷たい銃口が向けられる。

 自身の銃を抜いたロキの目に揺らぎはない。

 距離にして1メートル弱。

 この距離で外すロキではない。


「不必要に殺すつもりはなかったが……」


 ロキの声は芝居がかった低音。


「お前は配下を潰し、俺に余計な仕事をさせた。別に不快とは思っていないが、その罰は与えないとな」


 ざわり、と体育館の空気が軋んだ。

 生徒たちの誰もが泣き声を飲み込む。

 椅子に縛られた者も、ただ体育館の床に押し込められた者も、ひとつになって絶望を共有していた。


「や、やめろ……!」

「殺さないで……!」


 周囲にいる先生や生徒たちの叫びは、ロキの耳に届かなかった。

 引き金に指がかかる。

 トコはぎゅっと歯を食いしばった――その瞬間。


 ――バチン。


 体育館の照明が一斉に明滅した。

 天井スピーカーからノイズが弾け、電子音が空気を切り裂く。

 生徒たちの視線が天井に吸い寄せられた、

 ――その時、暗がりの中から、ひとりの影が降り立つ。


 長羽織を翻し、無造作に立つ少年。

 瓦礫のような床板に足が着いた瞬間、体育館全体の空気が一変する。


「っ……センエース……!」


 ロキが目を見開いた。

 銃口を向けられていたトコが息を呑む。


 センは淡く笑った。


「女子高生をいたぶる……実に楽しそうなゲームじゃないか。俺も混ぜてくれよ」


 その軽やかな言葉に、ロキは苛立つ。


「絶対者ぶるじゃないか……」


 軽口を合わせてから、

 キっと目力を上げて、


「――しかし、残念。これは一人用のゲームなんだ」


 ロキが歯をむき出す。

 そして、躊躇なく引き金を引いた。


 ――パンッ!


 閃光と爆音。

 弾丸が一直線にトコの額を狙う。

 だが、それは届かなかった。


「……その躊躇のなさは、なかなかのものだと褒めておいてやってもいい」


 トコの目の前。

 センの指が、銃弾をつまんで止めていた。

 熱を帯びた鉛を、まるで紙切れのように摘まみ上げ、無造作に床へ放る。


 カラン、と乾いた音が響いた。


 絶叫は歓声に変わった。

 生徒たちは一斉に息をのみ、ユズは震える唇を押さえながら、ただその姿を見上げていた。


 ――絶望の体育館に、光が差した。

 怪物の登場で空気が一変。


 だが――ロキは怯まなかった。

 むしろ、その目に燃えるような光を宿していた。


「流石だな、神……それでこそ、超える価値があるというもの!」


 ロキはゆっくりと胸元に手を伸ばす。

 黒いインナーシャツのように見えていたものが、うっすらと赤く発光した。

 ――磁気制御アンダーアーマー。


「小娘にはただの重たい拘束具……だが、俺が着れば最高の兵器に変わる」


 ピッ。

 小さなスイッチを押すと、轟音が体育館に響いた。


 舞台の端に転がっていたはずの銀色の外骨格が、まるで獣のように跳ね上がった。

 脚部、腕部、胸部――磁力に引かれるようにロキの身体へ飛びつく。

 「ガチン!」「ギギギッ!」と金属音を鳴らしながら、彼の四肢に食らいついていく。


 さきほどまではトコを縛りつけるだけだった拘束具が、アンダーアーマーの磁場制御によって強制的に再起動・再構築され、ロキ専用の兵装として組み替わっていく。



 ――生徒たちの悲鳴がセンの耳をつく。

 数秒のうちに、トコが脱ぎ捨てた拘束具は、ロキのために最適化された兵装へと姿を変えていた。


「このスーツは、俺以外が使う際には、本来のスペックを発揮できないようになっていてね」


 赤いHUDがロキの目の奥で点灯する。

 増幅された駆動音が、体育館全体を震わせるほどの重低音となった。


「さあ……神よ。殺し合おう。命のごうが、いてしまわぬうちに」


 ロキが床を蹴った。

 ドン、と轟く音。

 パワードスーツの補助動力が、彼の身体を弾丸のようにセンへと押し出す。


 黒い影が一直線に迫る。

 センは、ただ肩をすくめて笑った。


「ちょっと何言っているかわかんなかったが……動きは悪くないぞ、ボーイ。なかなかいいオモチャじゃないか」


 ロキの拳が、鉄槌のように振り下ろされる。

 しかし――。


 センの指先が、軽くその軌道を押しのけた。

 次の瞬間、ロキの巨体はバランスを崩し、床を深く抉った。

 破片が飛び散り、生徒たちが悲鳴を上げる。


 センは動じない。

 目の前の暴威を、ただ愉快そうに眺めていた。


「――どうした、ボーイ。お前の命の業とやらは、女子高生相手じゃないと輝かないのか?」


 その言葉に、ロキの歯ぎしりが体育館に響いた。


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― 新着の感想 ―
センの軽やかな言葉と、ロキの超える価値があると 執着する姿勢。このぶつかり合いがどう描かれるのか、 想像するだけで痺れます。 パワードスーツ再構築の描写もかっこよすぎました!
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