最終話 永久(とわ)に共に。
最終話 永久に共に。
「毘沙門天を器に魂を保管するという形で、ギリギリ、命を繋ぐことはできるが……その状態は、生きている状態とはいえない。俺の剣翼として、今後、色々な面倒を背負っていくことになる。ハードラックとダンスするような真似をさせるわけには――」
「最高やないかい」
「は?」
「それにしよう。それでええから、そうしよう」
むしろ、なんだったらウッキウキでそう言うトコ。
彼女の想いが、センは一ミリも理解できない。
「な、なぜ、わざわざ、無駄に最も苦労する選択肢を……」
センの中で、『わざわざニートをと結婚しようとする娘を見ている時』のような心労が渦巻く。
「俺の剣翼になるのだけはオススメしない。俺はどうせ、今後もやべぇ地獄と――」
「うっさい、はよせぇ」
「……」
悩んだものの、しかし、トコの気迫に気圧されたセンは、
「……ちっ……」
舌打ちしつつも、トコの魂に命の半分を注ぎ、
『毘沙門天の剣翼』の中へとしまい込んだ。
重なり合った二つの心。
剣の向こうで、トコの命が確かに脈動し始める。
究極超神化9になった時から思っていたことだが、センは改めて実感する。
毘沙門天とトコの相性は、凄まじくマッチしている。
正式に、薬宮トコと合体したことで毘沙門天の輝きが明確に増した。
まるで最初からこうなるように設計されていたかのように……
複雑なジグソーパズルのピースとピースみたいに……
――全てがキッチリと隙間なく収まり合う。
沈黙した戦場の空気そのものが、じわじわと震えだす。
命の半分を失ったことで、センの存在値は、大幅に減少したが、
その半分を受け取ったトコが翼になったことで、プラマイ的にはトントンになった。
削れた分だけの重さを、別の場所に預け直しただけ。
毘沙門天の中で、トコは、
(思いもよらぬ僥倖……これで……一生センの支えになれるし、永遠に、死ぬまで一緒におれる……)
と、満足する。
身体を持たない意識のまま、彼女は翼の中で、寄り添うようにセンの気配を感じ取る。
遠くもなく、近すぎもしない、刃と主の距離。
その在り方が、今の自分にはちょうどいいと、静かに笑った。
そんな彼女の重い想いをよそに、センは、
血の気が引いた顔のまま、それでもどこかいつもどおりの薄い笑みを浮かべ、真っすぐ前を見据えて、
「いずれ、完全に復活させてやる」
と静かに宣言する。
戦いの残滓が消えていく静寂の中、
主と刃はひとつの影となり、
歩幅を重ねて、ならんで歩く。




