157378話 運命論のカフカ。
157378話 運命論のカフカ。
センは淡々と告げる。
それは拙い願望ではなく、命と覚悟を込めた決死の宣告。
トコが命を賭けて書き上げた『最高傑作』の先に、自分がどんな結末を上書きするか。
それを決める権利を、センは決して手放すつもりはなかった。
糞みたいなメリーバッドエンドは殺してやると誓う。
くだらない超幻想をリライトしてやると、心底から。
「う……ぎぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ! ナメるなぁあ! 薬宮トコのせいで、だいぶデバフをくらっているが……いまだ私の存在値は1000京以上!! 50京そこそこの雑魚に負けるかぁああああああ!!」
ラストの咆哮が空気を裂く。
なおも自分の数値を誇示しようとするその様は、どこか必死で哀れでもあった。
「ラスト単体だった頃よりも、感情の制御が上手くできていないように見えるな……バラバラだぜ、全部が……」
センは冷ややかに分析しながら、地を蹴る。
踏み込みと同時に、視界の全てが一瞬で縮む。
狙うは一点。ラストの顔面。
「闇川とかロキとか、あの辺を奪ったのは失敗だったんじゃないか? ロキはまだマシだとしても、闇川なんざマジで害悪だろ」
などと言いながら、センは踏み込んでラストの顔面を殴りつける。
拳が闇の表面を穿ち、その奥に潜む核のような部分へと衝撃を叩き込む。
「がぁああああああああああ!」
ラストの悲鳴が響き渡る。
黒い影が大きく揺らぎ、周囲の瓦礫が吹き飛ぶ。
「さあ、正真正銘の最終バトルだ……張り切っていこうか」
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「うぐぃいいいいいいいいいいい!」
ラストは闇に裂ける獣のように絶叫し、背骨を弓なりに反らせた。
血管が皮膚の下で暴れ、赤黒い光が脈動するたび、空間そのものが震えた。
喉をひき裂く声に合わせて、大地がびりびりと波打ち、周囲の瓦礫が浮き上がる。
ラストの内側で眠っていた無数の『可能性』が同時に目を覚まし、暴風のように互いを食い荒らしながら噴き上がっていく。
骨が軋み、筋繊維が裂け、魔力の奔流が大気をえぐって形をゆがめた。
咆哮が天を割った瞬間、闇の光が爆発した。
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「――刹那大罪・究極超神化8/アンリミテッド――」
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黒と赤と紫が混ざり合う禍々しい閃光が何度も閃き、影が生き物のように暴れ回る。
ラストの肉体は膨張し、皮膚の下で魔力が泡立ち、血と力が逆流するような音が響いた。
世界の基礎がきしむほどの力が、ラストの器を無理やり押し広げていく。




