6068話 実害のある反撃。
6068話 実害のある反撃。
センエースは淡々と告げ、机の上に置かれたモニターを一瞥した。
彼の声は低く、抑えられた熱を孕んでいた。
間崎は唇を震わせたまま、言葉を探すように視線を泳がせる。
「……」
「お望み通り、とめてやった。その結果は、お前が責任を持てよ」
センエースの視線が鋭く突き刺さる。
間崎の背筋に冷たいものが走った。
「責任? な、なんで私が――」
「だって、俺はお前が言うから止めたんだもん」
軽い調子に聞こえるその言葉の奥に、確かな怒気が潜んでいた。
間崎の喉が乾く。
ごくりというツバを飲む音だけがスタジオに反響する。
「……」
「口だけで相手を非難するのは楽でいいよな。もういっそ快楽だよな。無責任に好き放題わめくだけの自称ジャーナリズムはさぞストレス解消になることだろう。ついでに金も稼げるんだから、こんなにいい仕事はないな」
センエースの声音は静かなまま、しかし確実に温度を下げていた。
スタジオ全体の空気が、彼の言葉と共に重く沈む。
間崎は拳を握ったまま、何も返せない。
言いたい事なら山ほどあるが、
目の前の怪物は、ただ殴られるだけのサンドバッグじゃない。
――殴った分だけ本物の痛みを伴う鉄のトゲ。
「……」
「実害のある反撃があると黙るのも、活動家の特徴の一つだな。信念はあるかもしれないが覚悟が足りない。……言っておくが、黙ってもやり過ごすことはできねぇぞ。自分の言葉にキッチリと責任をもってもらう。これから起こる全ての犯罪と戦争は、すべて、お前のせいだ」
その一言で、間崎の顔色が変わった。
ここでずっと黙っていては、これまで確立してきた自分のブランドが壊れるし、
何より、その不都合を確定されても困る。
だから、必死に口を開いて、
「き、詭弁だ」
どうにか、お得意の『いなす言葉』で、レスバに勝とうともくろむ……が、
センエースには通じない。
なぜなら、それは、センエースが最も得意とする戦法だから。
同じ土俵で戦えると思ってはいけない。
「じゃあ、戻そうか? 守護の剣翼。お前の『責任』を明白にしてやる。お前が選べ。守護の剣翼を発動するか、否か」
センエースの目には一片の迷いもなかった。
その圧に耐えきれず、間崎はあわあわと、真っ青な顔になるばかり。
「どうした? 『やめろ、やめろ』って散々言ってきただろう。なら、ここでも、男らしく『もちろん否だ』と叫んでみろよ。世界中に向かって、『選択』しろ。自由な選択肢が欲しくてリベラル気取ってんだろ? それとも、好き放題、文句が言いたかっただけか?」
センエースの言葉が、鉄槌のように打ちつけられる。
照明の光が二人の顔を強調し、沈黙だけが響いた。
「……」
黙り込む間崎を、センエースは鼻で笑う。
「黙るなら最初から喚くな。お前の暇つぶしに付き合うほどヒマじゃねぇ」




