6067話 テメェの言葉に責任をもてよ。
6067話 テメェの言葉に責任をもてよ。
センエースの一言一言が、巨大な津波のような威圧を帯びて押し寄せる。
間崎は息を呑み、拳を強く握った。
骨の軋む音が、マイクに拾われるほどの緊張。
それでも彼は一歩も引かず、声を張り上げた。
「……権利は獲得するものだ! 今はないかもしれないが、だからといって無視し続けたら、永遠に悪がはびこるだけ! 正義を叫び続けることだけが、悪を断つ唯一の道だ!」
叫び終えた瞬間、間崎の胸が大きく上下した。
痩せた手が虚空を掴むように、せわしなく動く。
言動の正当性はともかくとして、信念の力強さは相当なもの。
センは、冷めた口調のまま、
「言葉遊びとしては成立しているな。なかなかいい速度で回転する優秀な頭をしている。……ちなみに、俺という存在は、お前の裁定だと『悪』になるのか?」
その言葉は、抑えられた刃のように鋭かった。
間崎は、さらにぐっと身をのりだし、
「言うまでもない! 独裁は決して許されない! 人は過ちをおかすけれど、だからといって、勝手な判断で罰してはいけないのだ! 話し合いが必要なんだよ! 話し合えば戦争はなくなる!」
間崎の声には確信だけが光る。
センは、極めて冷静なまま、
「だから、戦争はなくなったと言っているだろ。戦争を始めたら死ぬからな。もう誰もできねぇ」
間崎の指先がわずかに震え、唇が血の気を帯びる。
「ただの恐怖政治だ! そんなものは、特殊な兵器でむりやり抑えつけているだけ! 核があんたに変わっただけ!! 最悪のディストピアだ!」
間崎の言葉は激情を取り戻し、胸の奥から絞り出されるように黒々とした憤りを含んでいた。
彼の体は震え、過去の傷のように思考が鋭く裂けている。
「ディストピアねぇ……」
センエースは短く鼻で笑う。
その反応に、間崎はさらなる怒りを覚えて、
「人を解放しろ! 弾圧は許さない!! 私は最後まで戦う!!」
間崎は最後の力を振り絞るように叫び、胸元で拳を握りしめた。
正しいか正しくないかはともかく、その瞳と拳に込められた信念は本物。
だからというわけでもないが――そこで、センは、
「いいよ」
短い承諾がスタジオの音を一瞬だけ凍らせた。
照明がわずかに揺らぎ、機材のランプが点滅を繰り返す。
観覧席にいたスタッフたちは息を呑み、誰もが言葉を失った。
間崎の目が完全に見開かれる。
「……え?」
想定外すぎて、反応が素になった。
喉がかすれ、反論の言葉すら浮かばない。
彼のこめかみには、冷たい汗がにじんでいた。
「……はい。今、とめた。守護の剣翼を発動させるには大量のエネルギーが必要だからな。俺だってやりたくねぇよ。お前らに分かるようにで言えば……ずっと、ダンベルをもって筋トレしているみたいなもん」




