6053話 理不尽な等価交換の弱体化ブースト。
6053話 理不尽な等価交換の弱体化ブースト。
トコの言葉は、冷たい合理でいっぱい。
彼女の冷淡な言葉を受けて、センは、
「……お前……なんで『ラスト』のことを……」
センは驚愕したように目を見開いた。
声の抑揚が変わり、問いの先に動揺が混じる。
眉と口元に、普段見せない焦りの色が差した。
「あんたがラストを倒すために色々と頑張っとることは知っとる。ラストは『双子』の邪神。『片割れを倒した相手に対して無敵になるチート』を持っとる。せやから、あんたはヴァルハラ軍団を鍛えとるんやろ?」
「……それも、異能で見通したのか? 俺の過去を見通したように」
センの問いは、警戒と畏怖が入り混じっていた。
彼は無意識に背筋を伸ばし、視線をより鋭くトコに向けた。
「まあ、そういうこっちゃ。間違ってはない」
トコは軽く肩をすくめる。
言葉に力を入れない。
入れないのではなく、入れる必要がないと思っている様子。
センはボリボリと頭をかきながら、
「……お前の異能、マジでエグいじゃねぇか。まさか、そんなことまでわかるとは、流石に思わなかったぜ」
センの声に感嘆が混じる。
トコは、イスの背もたれに体重を預けながら、
「センエース……これからあんたが何をするつもりなんか、だいたい全部知っとる。ラスト関連の本心を隠したまま世界征服して、適度に、全人類の恐怖心を煽っていくんやろ? すべては殺戮レベルをあげるために。殺戮レベルが高ければ高いほど、ヴァルハラ軍団の経験値効率が上がるから」
トコは淡々と、だが冷徹に状況の因果を説明していった。
センに向けられた言葉は、彼の行為を構造的に暴き出すもの。
――事実として、センエースに対する人類の『畏怖』が増せば増すほど、殺戮レベルが上昇していく。
そして、殺戮レベルの効果にはメリットとデメリットが存在する。
メリットは『ヴァルハラ軍団の経験値取得率が上昇する』というもの。
デメリットは、
――殺戮レベルが上がれば上がるほど、センエースが弱くなる。
というもの。
「最大効率を求めるなら、テキトーに、相手を選ばずに虐殺しまくった方が、『殺戮レベル』は上がる。軍人やアスリートやブルーカラーだけ選別してヴァルハラに送って、他のホワイトカラーや女子供は犯しまくって殺しまくる。それが効率的には最善」
「それしちゃうと、俺が弱くなりすぎちゃうのよねぇ……困ったもんだわぁ」
「弱体化ブーストを外せばええ」
「……ええ、そんなことまで知ってんの?」




