表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
売国政府を断罪する最強転生者――彼の過去を暴くチートを得た私が小説にしたら、全世界が大発狂  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
C章 プリズンブレイク黙示録。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

109/188

6050話 代償。


 6050話 代償。


 ――夕暮れ過ぎ。

 トコはひたすら、パソコンの前で文章を紡いでいた。


 カメラが入っていない刑務所の中のセンエース物語は、

 情報に飢えている読者を大いに沸かせた。


 ヒッキエスの物語に続いて、チャーリーの章も投入……しようとしたところで、

 トコの中に『未来の意識』がガツンとぶち込まれる。


「ぷはぁあ!」


 蘇った時のユズみたいに、

 肺一杯に酸素を吸い込むトコ。


「はぁ……はぁ……」


 心底しんどそうな顔で、天をあおいで、



「くそが……また、負けた……」



 トコは机に突っ伏しそうなほどに肩を落とした。

 指先がかすかに震え、目の奥には涙が滲んでいる。

 息を吸うたび、胸の奥が焼けるように痛んだ。


「しんどぉ……」


 血の気が引いた顔は紙のように白く、頬を伝う汗が冷たく感じられた。

 だが、その目だけはまだ光を失っていない。

 敗北の悔しさを呑み込み、息を荒くしながらも、彼女の瞳には微かな炎が宿っていた。


「まあ、でも……次は行けそうやな……あともうちょい経験値を稼げれば……普通に勝てる……はず」


 自分に言い聞かせるように、トコは小さくうなずいた。

 深く息を吸い、背筋を伸ばし、指先をキーボードへと滑らせる。

 肩の力を抜くと同時に、目の奥に再び闘志の色が差した。


 カタカタ、カタカタ――。

 打鍵の音が部屋の空気を切り裂く。

 文字が怒涛のように画面を埋め尽くしていく。

 まるでタイピングの大会で優勝を狙うかのような、正確無比で爆速の打鍵。


 トコは書く。

 センエースが歩んできた軌跡、掴み取った希望、そして失ったもの――それらを、情緒たっぷりに綴っていく。

 そこに迷いはなかった。

 言葉は刃のように鋭く、同時に祈りのように静かだった。


 文章力が、次元違いに進化していた。

 前日に投稿された作品とは、全てが違っていた。

 比喩の精度、情景の深み、構成の緊密さ――すべてが異常なまでに洗練されている。


 コメント欄は瞬く間に沸き立った。

 『天才だ』『覚醒してる』『人間じゃない』――そんな言葉が次々と流れ、世界中の読者が驚愕する。

 評論家たちも口を揃えて称賛した。

 ノーベル文学賞作家のひとりは、


『こんな文体を前にすると、自分が何を目指していたのか分からなくなる』


 と語り、

 ある詩人は、


 『この文章には魂の震えがある』


 と評した。


 しかし、トコの顔に変化はなかった。

 世界がどれだけ褒めようと、彼女の心は微動だにしない。

 理由は単純。


 ――それを自分の手柄だと思っていないから。

 そして、

 ――世界が爆発的に褒めてくることにも、もう慣れ果ててしまっていたから。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
敗北しても書く。書くことで強くなる。 そのループが描かれているからこそ、 トコさんの勝利の瞬間が今から待ち遠しいです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ