44話 女子供は黙ってみてろ。
44話 女子供は黙ってみてろ。
「生命ブーストで補えば、いける可能性が……ゼロじゃねぇ」
そう言って、センは腹の底に力を込めた。
グググっと、センエースを包み込むエネルギーの膜が厚くなる。
「え、ちょっと待って、待って。えっと、ようわからんけど、もしかして、葛葉のかわりに死ぬ気?」
「そうじゃねぇよ。死ぬ一歩手前まで命の大部分を削るだけだ。下手したら死ぬが、大したことじゃない」
「この世で一番大したことやろ!」
「私が死んでも代わりはいるもの」
「おらへんやろ! ナメてんのか! あんたみたいなキチ〇イが他に一人でも――」
「……うっ」
そこで、崩れ落ちるセン。
四つん這いで、息を切らす。
「はぁ……はぁ……」
「ど、どないしたん?!」
反射的にその背中をさするトコ。
「あのメスガキのフラグメントが、バラバラになって、いろんなパラレルに飛び散ってやがる……これを再生させるのは至難の業だぜ……」
「もうええ。無理すな。これはあたしの問題や。あたしがなんとかする」
「無理を通せば道理が引っ込むってバッチャが言ってた」
「そんな理不尽な世界に怒りを感じとるから、あんたは、世直しをしようとしとるんやろ!?」
「とんだ勘違いだな……俺はいつだって、俺のワガママを貫いているだけだ」
そう言いながら、センエースは、さらに、自分の命の火を燃やしていく。
トコには、センが具体的に何をしているか分からない。
けれど、それでも、
――『センエースが自分を削って、トコの尻ぬぐいをしようとしている』ということだけは分かった。
だから、
「やめて……」
トコは、泣きながら、
「お願いやから……それ以上……壊れんといて……あたしの責任は……あたしがどうにかするから……」
「薬宮トコ」
センは、トコの名前を口にしてから、
視線を異次元に向けたまま、
「女子供は黙って見てろ」
トコは、目元を拭いながら、
「……この時代に、そんなこと言うたら炎上するで……」
「文脈も理解せずに、ストレス発散のためだけに、目の前の炎上に便乗して他者を攻撃する『醜悪』を、俺は気にしない。『そんなことをしていたら地獄に落ちるぞ』と忠告ぐらいはしてやるが」
そう言い捨てたところで、
センエースの肉体が淡く散り散りになっていく。
「ちょっ……え?! なんか、バラバラになっとるけど?!」
「いけると思ったんだがなぁ……」
「ちょっ! 消えとる! 消えとる! マジで!」
「薬宮……あとは頼んだぞ」
「なにをやねん! あたしなんか、なんもできんわ! というか、死ぬな! ふざけんな!」




