王子の初夢??
皆さん、あけましておめでとうございます! セシャトです! 今年は皆さんとTwitterでご挨拶できない事をここで謝罪申し上げます。去年はいろいろありまして、古書店『ふしぎのくに』においても私のポジションとしてもう一名、担当がいないと厳しい状況や、私自身もフレッシュな気持ちで2021年を迎えたいなと少し、お休みをいただいています! 代わりに代行いただいているマフデト兄様は、実は作家さんです。
当方、数年お声かけをさせていただき、ようやく参加いただきました!
私とは違った、マフデト兄様のちょっぴりワガママですが可愛がってくださいね!
大きなキャリーバックを引っ張りながら一人の少年が古書店『ふしぎのくに』へと向かう。それはこれからセシャトと交代で古書店『ふしぎのくに』の店主を行う事になるマフデト。ピンクの髪をした母親にハンカチ、ちり紙、そして三百円分のオヤツに、カルピスの入った水筒とお弁当を渡され、その弁当箱を開ける。
「サキイカ、ビーフジャーキー、くんたま、カツオキャラメル、カリカリ梅、しろめし……見事なクソ弁当なのですよ母様。全部、先日みんなで過ごした大晦日のおつまみ、適当にぶちこみましたね? まぁいいのです」
空港から降りた少年は王冠を頭に乗せ、軍服のような制服を着た、異様に綺麗な顔をした少年。すれ違う人々は「外人?」「可愛い」「何かの撮影?」などと少年を見ては逐一反応する。
「人類、超うぜーのです。年初からどれだけいるのですか、さっさと滅びればいいのに……ん? 何か揉めてるバカがいるのです」
キコキコとキャリーバックを引っ張りながら先ほど機内でもらっていた牛乳をちゅーっと美味しそうに飲んで少年は揉めている人物に近づいた。
「このへちゃむくれ! ぶつかっておいて謝らないか!」
「なんだぁ! わじわじする。なんだば!」
二人を見る少年。
まだ日本語が通じそうな人物はショートボブで茶髪、少年とは違い健康的な白い肌。薄く青い瞳。スレンダーなスタイルにポンチョパーカー、黒のパンスト。要するにギャルである。
そしてもう一人に牙を剥きながら威嚇するような野生児のような人物。明らかに染めた金髪に縮毛矯正をかけたセミロング、日サロではない健康的な褐色の肌に赤い瞳。ワンショルダーの黒いシャツにコルセット。そしてショートパンツ。要するにギャルである。
「いやー、怖いのですよー! 新年早々、格好以外にも頭までもこんなバカ共が騒いでるなんて、やっぱりこの世界滅びた方がよくないです?」
そう言って、通り過ぎようとした時、二人のギャルは自分に向けられた暴言を聞き逃さなかった。
「待て!」「まーてー!」
二人のギャルが少年を呼ぶ、少年は超絶面倒そうな顔をして振り返る。
「なっ!」「……チム、チムどんどんする」
振り返った少年のその容姿を見て、二人はとまる。あまりにも美しい少年。そんな少年が牛乳を咥えて美味しそうに飲んでいるのだ。
「なんです? クソなのとバカなのは母様と神様だけで十分なのですけど? 私、これから超絶可愛いセシャト姉様の代わりに古書店『ふしぎのくに』の店主をしにいくのですよ」
そういう少年に、白い方のギャルが言った。
「なんて、美味しそう……じゃなくて可愛い男の子。私はカムイ。ここからは遠い北国からやってきた。これも何かの縁、お姉さんって呼んでいいっしょや?」
「私はマフデトです。それにしてもカムイさん、頭湧いているのです? いきなり会った北海道からやってきた人外に何故私がお姉さんなどと言わなければならないのですか?」
マフデトはカムイという北海道から来た美人のギャルに冷たい視線を送る。それにカムイはハートを撃ち抜かれているところ、もう一人の黒いギャルが大笑い。そして彼女の膨よかな胸をマフデトの顔にくっつくくらい近づけて話し出す。
「ししししし、あしらられーとー! うじらー、わん、うちーなんの、しーさーと遊ばん?」
「は? 日本語しゃべってもらっていいですか? それができないならシシガミの森に帰るのです」
「あぎじゃびょー! わん、わん……しちぃ!」
指をさしてしち、沖縄の言葉で好きと言われている事なんてマフデトには知るよしもない。
「は? きめーんですよ! 新年早々、クソ弁当渡されてこちとらイラついてるんです。どうせ会うなら、ヘカ姉様とかシア姉様が良かったのですよ。クソが!」
シーサーと名乗った女性をもマフデトは軽くあしらう。カムイにシーサー、二人はそれぞれ北海道、沖縄から東京の街に人間修行に女子高生に扮してやってきたMJKな生き物なのである。神保町にあるとある高校のオカルト部を頼ってきたのだが、まだ冬休み、東京観光をしたり自由時間をと思っていたが、可愛い男の子を見つけてしまった。先ほどまでぶつかった、謝れ、殺すぞなどの喧嘩をしようとしていたカムイとシーサーは見つめあい。そして握手をして、頷いた。
「あのマフデト、あんな風に言っているが、そこがめんこい。あれをいう事を聞かせてみたいしょや?」
「ちむどんどん! ちくしぶさいびーん!」
要するに、二人はショタ好きなのである。カムイの方は姉攻め、シーサーの方は姉受けという違いはあるのだが、マフデトが歩いていく方向を追いかける。
マフデトはそんな事知らずに、弁当箱の中に房で入っていたバナナを剥いて食べていた。
「バナナはおやつに入りません。母様、頭大丈夫です? 今は令和三年なのです。昭和時代でもあるまいし……まぁ二十年以上。引きこもっていて未来の世界にやってこれてテンション爆上げなんでしょうね。本当にクソなのです」
プルルルルとマフデトの最新型iPhoneが鳴る。
「バスト兄様、どうしました? えっ? お年玉なのです! わーい! 後で見ておきますね! はーい、そのうち『おべりすく』にも顔を出すのです」
次々に電話が鳴る。初孫でもできたように、おべりすくのメンバーからお年玉をもらい、そしてそれは重工棚田の総帥からも……
「全国の牛乳アソート? クリス! お前は人類にしてはやるのですよ! 今度、遊びに来るのですよ! はーい、じゃあ今年もよろしくなのです」
マフデトはほこほこした気持ちでタクシー乗り場まで行こうとしていると、大きなリュックを背負った男性か、女性か見分けのつかない人が何やら困っていた。マフデトはその人物に声をかける。
「どうしたのです? 道に迷っているのですか?」
その人物は、近くからでは気づかなかったが、人ではない。綺麗なパープルアイの奥に機械が見える。
「こんにちは! 僕はクオンともうします。気がつけば、見知らぬ場所に来てしまい。さぁ、どうしようか? と考えて、この不思議な場所で美味しい物でもと考えていました」
「クオン……なんで君がここにいるのですか……不思議なのですよ……君は私の……あっ、あのクソ弁当……クオン、これやるのですよ!」
クオンにマフデトは母親から持たされた愛の欠片も感じない弁当を差し出す。
「今、クソって言いませんでした?」
「クオンが食べたことのない、珍味だらけなのですよ。それを上げるのです! 私からのお年玉です」
「はぁ、ありがとうございます」
マフデトは自分が書いている作品のキャラクターを呼び出してもいないのに、現れた事に怪訝に感じていたが、秒で気にしない事にした。彼の強さは何にも動じない事。昨年、古書店『ふしぎのくに』を壊滅に追いやった第二次読者事変。それを秒で解決したのも彼、マフデトである。
「まぁ、今が何か段々とわかってきたのですよ。でも楽しいので少し堪能するのです!」
ガラガラとキャリーバックを引っ張りながらマフデトはタクシーに乗る。そしてその運転をしている人物は運転をしながら話し出した。
「お客さん、昔。そう戦国時代に織田信長と共に、一向宗と雑賀衆と戦った忍がいた事を知っていますか?」
「羅志亜の忍なのですよ。私が書いてるんですから、当然知ってるのです」
「じゃあお客さんを殺せば、顕如様がこの世界を仏門で統治したのですね?」
「んなわけねーのですよ」
運転手はアクセルを思いっきり踏み込み、どこかにぶつかろうとする。それにマフデトは頬杖をつきながら余裕の表情をする。
車に並走し、ドアを蹴り破る何者か、そしてマフデトは引っ張り出されると、その人物に抱きつく。
「私が作ったとはいえ、奈々樹。お前はいい女なのですよ」
「上様が残した記述が本当かは知らぬが、義によって、この第七代目羅志亜忍軍頭領・奈々樹丸助太刀いたす。見たろころラウラの関係者であろう? またこの世界に来るとは思わなんだ」
「まぁ、作者という意味では……ね? しかし、こんなうすらバカな事が次々に起きるというのは神保町という場所はおもしれーのです」
マフデトは抱えられたまま、奈々樹は安全なところに着地。抱きついていたマフデトは降ろされる。
「奈々樹、今度はみんなを連れて遊びに来るのですよ! パンケーキを食べさせてやるのです」
「ぱんけぇき! 楽しみじゃ!」
手を振って別れると、ようやく神保町。桜門商店街の入り口。マフデトは今が現実ではないことくらいは知っている。だって、自分は大晦日はこの古書店『ふしぎのくに』で過ごしたのだから……
「まぁ、それにしても悪くない初夢だったのですよ」
マフデトは古書店『ふしぎのくに』の扉を開けると共に起床。目が覚めた古書店『ふしぎのくに』母屋にはもう誰もいない。お雑煮とお節料理と牛乳が用意されていた。
「王子である私が住むには少々狭いので、この母屋くらいは広くしましょうか? まぁでもまずは朝ごはんなのですよ」
マフデトはグラスを4つ用意すると、冷蔵庫から種類の違う牛乳を四本出して、それらを注いでいく。
「まぁ、こんなところなのですね。まさか、クリスからの牛乳アソートが全部届いているとは驚きなのでした」
そんな牛乳を飲みながらマフデトは考える。これからこの店の店主代理なのである。不安か? と言われたら全然なのだが、懸念事項はいくらかあった。
「セシャト姉様に悪い虫がついているし、ヘカ姉様には悪い虫が住み着いているし、トト兄様には妖怪が住み着いているし、この古書店、だいじょうぶなのです? 私の目標は人類、と私たちの棲み分けなのですよ。人類、牛さんの年に牛さんに地球の覇権を譲るといいのですよ!」
マフデトはそう言って、牛が統治する地球を想像して牛乳に酔いしれた。初夢とは今日見る夢であって大晦日に見る夢でない事をマフデトは知らない。
人類! あけましておめでとうなのです! みんなの王子、マフデトなのですよ。
これから一年間、どんな作品を読めるのか楽しみなのです! 私はヘカ姉さまと同じで作家目線なので、セシャト姉様にも協力してもらい、より良い。むしろ、今までの三年間をぶっ壊しまーす!
だってマフが登場したんですから、そういう事でしょ? 新シリーズは、人気の棚田一味も、マフ達の友人として参加。……だけど、私たちに立ち塞がるWeb小説ダークサイドの影が!
お楽しみになのですよ!




