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25話 いざ、カラオケ屋へ

 上利先輩とカフェで話した日の翌日、俺は内心ソワソワしつつ、どうにかこうにか放課後を迎えた。


 一応、今日も五限の時間に執行委員の集まりはあって、そこで散々な対応をされはしたのだが、そんなことがどうもでよくなるくらいには別のことを考えてた。


「まさか、だよね。暗田君が冤罪被害に遭ってるんじゃないかって思ってる人が、上利先輩以外にもいただなんて」


「うん。それも元を辿れば、上利先輩もその人経由で俺が無実なんじゃないかって思ってたらしいから。なおのこと驚きだよ」


 上利先輩との待ち合わせ場所である、学校裏門の桜の木の下で、俺と亜月さんはただただ驚きを口にし合っていた。


 ここにきて、協力者が増えるとは考えてなかったのだ。


 協力者が増えれば、その分俺たちのやろうとしていることも上手くいく可能性が上がる。


 懸念点だった、【真中たちへ一泡吹かせる計画が果たして上利先輩に許されるのか問題】もどうにか昨日解決したし、あとは本当に作戦通りギミックを配置していく作業をするだけなのだ。


「おーい、二人共ー!」


 そうこうしてると、向こうの方から聞き覚えのある声が耳に届く。


 その人はこちらに向かって手を振りながら、近付いてきていた。


 少し闇夜も降りて来ていて、ちゃんと顔も見えないけれど、間違いない。あれは上利先輩だ。


「待たせて悪かった。今日の意見をまとめたもの、職員室まで提出しに行っててさ。それが予想以上に長引いて、遅くなってしまったよ」


「今日、割と大変でしたもんね、意見まとめるの」


 フォローするように亜月さんが言う。


「いやぁ、はは。たくさん意見が出るのはいいことだから、それについてはいいんだけどね。いかんせん、先生のチェックが厳しかったんだ」


 なるほどな。執行委員の担当教師は体育の増尾先生だし、厳しいのも納得だ。


「まあいい。行こうか。そいつ、駅前南口付近にあるカラオケ屋に、もう一人でいるみたいなんだ」


「え、そうなんですか?」


「そうそう。体育祭関連の係とか、一切入ってないからねそいつ。時間だけはあるみたい」


 確か、先輩と同じ三年生で、友達だって言ってたよな。


 受験があるからとはいえ、それでよく周りから非難浴びないなと思う。人手が足りないし、大抵どっかの係には入れって言われるのに。


「よし、じゃあ急ごう。あんまり帰るのが遅くなっちゃいけないからね」


 先輩の号令で、俺たちはカラオケ屋に向かって歩き出した。


 そう時間はかからないはずだ。

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