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 あれから数日が経ち、四月も終わった所、この大人数形式の学校にも慣れ、どうにかこうにか生活を過ごせている。


 世間一般ではこの時期はゴールデンウィークと言うらしく、学校も休みで実は暇を持て余していた。


「あー、暇だなぁ」


 田舎も中々に暇だったが、都会も恐ろしく暇だ。俺が男だっていうこともあるかもしれないが……。


 以前玲に貸してもらったげーむというのも面白かったが……いかんせんあまり触ったことがなかっただろうか、長時間やるととても疲れてしまう。


 同様にスマホを使うのも苦手だ。


 こういう時田舎だったら何をしていただろうか?ふと考えてみる。


 山の中を駆け回ったり、動物達と戯れたり…思えば中々にワイルドな生活をしていたものだと、外に視点を通して思い知る。


 都会の人はこんな退屈な状態で辛くないのか?……多分俺と違ってゲームとかを楽しめるんだろうなぁ。


 ごろごろ、ごろごろ、床を軽く転がる。それでも暇を解消できない。


「剛君?何してるの?ご飯作ったから一緒に食べよ?」


「やっと飯の時間か!待ったぜ!」


 ぴょいっと跳ね、着地し、食卓へ向かう。


 色々と環境が変わったが、綾姉の飯だけは変わらない。あの時婆ちゃんと一緒に食べてた味だ。


 婆ちゃんの飯はいわゆる薄味で健康的だった、体もデカくなり、食う量が増えていた俺には少し量が物足りないものだったが、綾姉の料理は量も味も濃くてとても旨い。どっちが旨い?と言われると決められないが………。


 俺がバクバク食べているとニコニコしている綾姉が映る。


「どうしたんだ?綾姉?そんなご機嫌そうな顔して」


「んーん…剛君が美味しそうに食べているのが嬉しくて」


「綾姉の料理はいつも旨いからな!」


「そう?そうだったら嬉しいな…」


「いつも旨いって言ってるだろ?」


「それでもね?毎回言ってくれても、その度に毎回嬉しく感じちゃうのですよ!」


「ほーん…そんなもんなのか?」


「そんなもんなの!」


 だったら気にすることでもないか、そのまま飯を食べ進める事にする。


 そのまま食べ進めていると、綾姉が少し眉を歪めている。それはまるで何か悩んでいるような…それでいて何か聞きたいことがあるように感じた。


 綾姉のこういう表情は婆ちゃんの所に来たばっかの時はよくしているが、最近はしていなかった…何か心配事でもあるのだろうか?


 綾姉は俺の食っている微笑みながら見続けている。


 俺は飯を食いながらでん、と言い促す。婆ちゃんの所にいた時、何かしら困っている綾姉に対し、行っていたことだ。


 それを見ると観念したのか、綾姉ちゃんはポツリと言葉を溢す。


「ねぇ?剛君…都会に来て…学校に通ってみて最近どう?何か嫌なことは無い?」


「んー…嫌な事か…無いかなぁー?あ!でも楽しみになったことはあるぜ!」


「え!なにそれ?教えて欲しいな」


「綾姉にはまだ言ってなかったけどよ、俺部活入ったんだ!園芸部なんだけどさー!で!そこにいる先輩が本当に面白い人で」


 最近の思い出を次々と話す。先輩が肥料をぶち撒けた話や、玲がミミズに驚き腰を抜かした話やら色々。


 それを言うたびに綾姉はうんうん、と頷き、次を促してくる。


 そのまま今日までの日常をあらかた言い、言い終えた時には飯も食べ終わった。


「そういえば何で急にこんな事聞いてきたんだ?」


 ふと疑問に思い聞いてみる事にした。綾姉は都会に来てからこのような問いを定期的にしてくる。


「………剛君って良くお外を走り回って、散歩に行くーって言って山の山頂まで歩くような子だったじゃない?それなのに今は危険だからって外に出られない…どうしてもそれが気になっちゃってね……」


「確かに今の生活は窮屈だ。ゲームは難しいし、運動が出来ないから暇を潰すのも苦労がいる…でも」


 綾姉の方を見る、先程までの微笑みは消え、少し涙目になっている。多分俺が不自由になった事を自分のことのように悲しんでくれているのだろう。


「俺は一人じゃないよ、綾姉、多分俺一人だったらこんな生活して嫌だ!って言って逃げ出してたと思う、でもこの場所には綾姉がいるし、玲、先輩もいる…まぁ正直田舎に帰りたいって心は大半を占めているけど…それでもまだ都会の良さを全て知ったわけじゃない、だから、都会の楽しみ方をこれから見つけていくよ」


 今の自分なりの心情を言う。そうさ、まだ全然都会の事を知らないんだから、この暇だってどうにか潰す方法があるはず!


「そう?剛君の支えになれてるなら私も嬉しい…でも無理しないでね?元々は私のせいで見つかっちゃったんだから…」


「んな昔の話してもしょうがないだろ?よし!この話終わり!俺も言ったんだから綾姉もなんか最近の出来事話してくれよ!」


 このまま喋っていても綾姉の気分が落ちていくだけだから強引に話題を変える。


「え?さ、最近のこと?えっと、あ、そうだ!玲ちゃんの誕生日プレゼントなににする?私はケーキを作ろうと思うんだけど…確か後二週間ぐらいで誕生日だったよね?」


 ………た、誕生日?…あ!?忘れてた!


 ってそもそも誕生日ってなにすればいいんだ?綾姉は誕生日と年齢教えてくんねえし、婆ちゃんはええよええよと言って祝った事なんてない。


 俺の誕生日の時は綾姉と婆ちゃん、他には村の婆さん方に旨いもん貰ったけどあげた記憶はない、あっても肩揉みとかそこら辺だ。


 玲はそんな肩揉みで喜ぶわけないし…えーっとどうしよ?


「綾姉?誕生日なにすればいいんだろ…」


 つい綾姉に言ってみる。綾姉の漫画では誕生日プレゼントっていって何か物をあげるらしいが…どうやってそれを手に入れればいいか俺にはわからない。


「んー、誕生日プレゼントねー…私も最近の若い子…ゴホンゴホン!女子高生の趣味はちょっとしか解らないからどう言ったらいいか迷うけど…そうねぇ?……何か身に付けるものが喜ばれる…だった気が?」


 あんまり親しくない人には消え物ねーと更に付け足される。玲とは親しいはず!だから何か形に残るものを残したいものだ…。


「あ、でも玲ちゃんとは仲いいし…あ、そうだ!アレとかどうかな?剛君がいつも暇つぶしにしてたやつ」


「え?あれ……おぉ!それがあったか!」


 確かにそれならば俺も得意……なんだが…。


「俺は都会の人がなにで喜ぶかよく解らん……」


「そこは…まだ二週間あるし、玲ちゃんの好きなものを作ってあげたら良いんじゃない?」


「そうだな…取り敢えず聞いてみるよ、んじゃ早速聞いてくる!行ってきまーす!」


「はーい、いってらっしゃい」


 ドタドタと慌てながら、俺は隣の玲の家に急ぐのであった。

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