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側妃の愛  作者: まるねこ


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番外編 エレフィアが消えた時の話

 どこか遠くから聞こえていた声が耳元ではっきりと聞こえてくる。


 “エレフィア、待っていたわ”


 私は跪き、祈りをささげる。


 ―女神様、国を見守っていただき、ありがとうございます。


 “エレフィア、疲れたでしょう。私の元で休みなさい”


 ―私の役目はもう終わったということですか?


 “終わりにしたいなら終わりにするといい”


 私にはその声がとても魅力的に感じられた。


 終わりにしてもいい、全てのことから解放されてもいいのだということだ。


 彼の心変わりにも、聖女より力の劣った者だと蔑まれることも疲れ果てた。


 ―ですが、私はあの時、彼を支えると女神様に誓いました。


 “でも、辛いのでしょう? それにカインディルはメグミを選びました”


 ―女神様がこの世界に呼んでくれた聖女様の幸せを願わなければならないのに、私は卑しくも二人の幸せな姿を見たくないとも思ってしまうのです。


 “メグミがこの世界に来たのは本人がそう望んだからです。私は皆に試練を与えました。努力するかは本人次第です”


 ―そう、なのですね。やはり私は『役立たずだった』のでしょうか。


 私はそう問いかけると同時に心が重くなる。


 “愛おしい子よ。貴女は逃げることなく頑張りました。彼らは楽な方を選択しただけです”


 ―女神様はそう仰って下さるのですね。解放されたい。でも、私は彼を愛し、生涯彼を支えると誓ったのです。


 “なら私の元へ来なさい。彼から離れても彼を支え続けることができます”


 ―はい。



 そうして私は女神様のもとで国を見守ることを選んだ。


 何年も、空気のような存在となってもアーシャはずっと私のことを心配してくれていた。


 ここにいると時間の感覚は殆どない。夢現のように国の様子を見ているようだった。


 “エレフィア、アーシャの寿命が尽きるわ。彼女を次の生へ送ってきなさい”

 ―はい。



 私は女神様の言う通りに彼女の前に降り立った。


 ―アーシャ、迎えに来たわ。


「エレフィアお嬢様っ!」


 彼女の最後は家族に見守られることができて良かった。


「エレフィアお嬢様が迎えに来て下さった。ああ、なんて神々しい。エレフィアお嬢様、私は最後まで傍で仕えることができず、申し訳ございませんでした」


 ―そんなことはないわ。いつも私はアーシャに支えられていたもの。アーシャが居なければもうずっと昔に命を投げ出していたわ。苦労をかけてしまったわね。


 ―アーシャ、そろそろ時間よ。家族にお別れを。


「はい。ラルガ、ゼノ、マローナ、愛しているわ」

「「「お母様!」」」


 私はアーシャの手を取り、光が射す方へ向かって歩いていく。



 ―アーシャ、ありがとう。


 私は彼女を女神様の下へ連れていった後、彼女を次の生へと見送った。そしてまた空気のような存在となった。



 アーシャが亡くなり、しばらく経った頃、また女神様から呼び起された。


 “エレフィア、カインディルの命が尽きようとしていますが、どうしますか?”


 ―そう、ですね。これで私の誓いも終えることになるのですね。


 “今までよく耐えました。次こそは幸せになるように祝福を”


 ―ありがとうございます。私、女神様の傍にいて傷ついた心も癒せました。私自身も弱かった。次こそは強く逞しく生きてみせます。


 “幸せになりなさい”


 ―はい。ありがとうございました。


 私は光の射す方へゆっくりと歩いていった。


【完】


 最後までお読みいただきありがとうございました!

 今回は悲恋の短編です。私の作品としては珍しく、報われる恋やざまぁがないストレスフルな作品となりました。

 メグミの視点やカインディルの視点、周りの行動など色々足していきたくなりましたが、今回は主人公の悲恋に的を絞りました。

 これからも皆様の心に残る作品を一つでも多く作り続けたいと思っています。(`_´)ゞ


 最後までお読みいただきありがとうございました!!


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― 新着の感想 ―
この王家、国王と性女のやらかしでエレディア実家や他の高位貴族に見限られてそう。 王太子は父親を女神像の近くに埋葬するほど愚かではないと思いたいですね。
エレフィアはアーシャは迎えに行ったけど、カインディルを迎えに行かなかったし、国を守る結界も消えた。聖女様は尊敬され傅かれる世界から消された。ちゃんとざまぁされてて、スッキリw
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