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デート前日〜一之瀬麗の一日〜④

待ち合わせ場所に着き、少しするとお姉さんがやってくる。


毎日見ているスーツ姿のお姉さんだけど、何回見てもやっぱり素敵で。


そして、約10時間お姉さんに会えなかったこともあり「お姉さーん!おつかれさまー!会いたかったよー!」とわたしは我慢が出来ず、お姉さんの胸へと顔を埋める。


これは狙ってそうしているわけではなくて、お姉さんのほうがわたしより身長が高いからしょうがない。


それに、お姉さんの胸が大きいから抱きつくとこうなってしまうわけで。


だから、わたしは悪くない!


そんな適当な言い訳を心の中でしながらお姉さんの匂いを堪能する。


「こ、こら!離しなさい!」とお姉さんが言ってるけど、聞こえないフリをして息を吸う。


とにかくお姉さんの匂いを嗅ぐ為に吸い続け、やがて苦しくなってくると一旦顔を離して息を吐くのだけど、その隙を見逃さなかったお姉さんに引き剥がされてしまうわたし。


もう一度抱きつきたいけど、お姉さんお仕事で疲れてるだろうしと考え、今度はお姉さんの左腕へと抱きつく。


わたしはお姉さんと並んで歩くときは必ずこっちを選ぶようにしていた。


その理由は見上げた時のお姉さんの顔がかわいいから。


お姉さんはどの角度から見てもかわいいけど、特にこっちから見るお姉さんの顔が大好きで。


お姉さんの左側をわたし専用にしたいくらい、お気に入りなのである。


「これ歩きにくいんだってばー。」と少し照れた表情で言うけど、わたしを引き剥がそうとしないお姉さん。


そんなお姉さんに「えへへ。早く慣れてねー!」と笑顔で言うと一緒に歩き始める。


夕飯は昨日お姉さんと話していた通り外食することに決まっていたので、わたし達はファミレスへと来ていた。


お姉さんの左側に座ろうとしたけど、却下されて渋々正面へと座ることに。


まぁ、正面から見るお姉さんもかわいいからいいんだけど。と思いながらじーっとお姉さんを眺める。


さて、そんなお姉さんだけどメニューと睨めっこしながらすごく悩んでいて。


「お姉さんはどれにするー?」と尋ねると「うーん。これとこれで迷ってて。」とパスタとハンバーグセットを指差す。


どちらもお姉さんの好きなもので、それを知っていたわたしは「あ、それじゃあわたしと半分こしよっか!」と提案する。


「え?いいの?」と聞くお姉さんに「うん!わたしも同じのにしようと思ってたから!」と言うと「じゃあ、そうしよっかな!」と笑顔のお姉さん。


そんなお姉さんがかわいくて抱きつきたいけどテーブルが邪魔で出来ないわたしは、次こそは必ず隣に座ることを決める。


それから、いつもは出来ない(主にわたしのせいだけど)今日あったことをお姉さんに話す。


明日のデートの為に洋服を買ったことを話すと「どんなの買ったの?」と気になっている様子のお姉さん。


ここで教えてもいいんだけど、どうせなら明日のデートの時に見てもらいたいと思い「明日のお楽しみだよ!」と伝え、それなら家を出る時間をずらして待ち合わせしたいなと思ったわたしはお姉さんにそう提案すると、お姉さんも了承してくれる。


それと、お姉さんへの贈り物があることは今はまだ内緒にして、友達といろんなとこを見て回った話をした。


「いっぱい楽しめたんだね!」と笑顔で言うお姉さんにわたしも「うん!すっごい楽しかったよ!」と笑顔で答える。


すると「もっと友達と遊びに行って大丈夫なんだよ?私の為にしてくれてるのは嬉しいけど。でも、息抜きもしないと。」と心配して言ってくれるお姉さん。


お姉さんの気持ちは嬉しいし、二人と遊びたい気持ちもあるけど。


でも、やっぱりお仕事で大変なのに、わたしの相手までしてくれるお姉さんを支えたいから。


だから「ううん!大丈夫!お姉さんといるだけで癒されるからね!」と笑顔で答えると苦笑いするお姉さん。


「でも、友達のほうは大丈夫?私のせいで仲が悪くなっちゃったりとかは…。」と今度はわたしと二人の心配をしてくれる。


「それも大丈夫だよ!二人もわかってくれてるから!」と伝えると「そうなんだね。あ、でも今日みたいに遊びに行きたい時はいつでも言ってね?」と言ってくれて。


「うん!ありがと!」と笑顔で返し「あ、そうだ!それでね!二人がね…」と今度遊びに来たいと言っていたことを伝える。


「もちろんいいよ。あ、それなら私いないほうがいいかな?」と気を遣ってくれるお姉さんに「ううん!お姉さんに会いたがってたからお姉さんもいないとだめだよ!」と伝えると「え?そうなの?」と驚いていて。


「うん!お姉さんはわたし達の中で人気者なんだから!」と笑顔で伝えると「そ、そうなんだ。」と照れている。


そんなお姉さんもわたしは大好きで。


もっとお姉さんの照れた表情を見たい。と思ってしまうわたしはなにか方法がないかと探していると料理が運ばれてくる。


そして、その料理を見て閃いたわたし。


まずは普通に食べ進めて。


「おいしーね!お姉さん!」と笑顔で言うとお姉さんも笑顔で。


そろそろかなと考えたわたしは「それじゃあ交換しよっか!」と言い、続けて「あー!でもお皿移動させるの大変だねー!」とわざとらしく言うと「え?そうかな?」と疑問を浮かべているお姉さん。


「うん!ほら!火傷したら大変だよ!だから…」と言い、わたしはパスタを素早く巻き取り「はい!あーんして!」とお姉さんに食べさせようとする。


「え、えっと。それは…」と照れているお姉さんに「あれー?お姉さん食べないの?おいしいのにー。」と言うと、お姉さんは悩みながらもパスタの魅力に負け食べてくれる。


内心ドキドキだったわたしだけど「どう?おいしい?」と聞くと「う、うん。おいしい。」と顔が赤くなっているお姉さん。


かわいすぎて、さらに「もう一口どうぞ!」と勧める。


すると、パスタが気に入ったのかまた照れながらも食べてくれるお姉さん。


そんなお姉さんに大好きという気持ちがいっぱいで幸せになったわたしなのだけど。


「それじゃあ、今度は一之瀬さんの番だよね?」と笑顔のお姉さん。


「あ、え、えっと。わ、わたしは大丈夫だよ?お腹いっぱいだし?」と焦り始めるわたし。


「食べるよね?」と笑顔なのに少し怖いお姉さんに負けて一口食べると、思わぬお姉さんの仕返しにわたしまで照れることとなった。


っていうかお姉さん気づいてるのかな。


これ間接キスなんだけど?


と、思ったけどお姉さんには伝えない。


なぜなら恥ずかしかったけど、それ以上に嬉しかったわたしは懲りずに明日のデートでもやろうと考えたから。


また明日のデートの楽しみが増えたわたしはお姉さんと料理を食べ終わると、お姉さんの腕に抱きつきながら一緒に並んで帰る。


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