バイオレットとデイジー
「おうちのなかで、デイジーはだれが好き?」
「う〜ん、みんな大好きだけど、やっぱりお父ちゃまかな」
「そっか〜。レティもね〜、みんな好きだしお父しゃまも大好きだけど、にいに(※)が好き〜」
「ああ! デイジーも、にいに大好き!」
「にいに、やさしいもん」
「いっぱいあそんでくれるしね」
「いつもガッコに行っててさみしいね。でもあえるとうれしい」
「うん、早くお休みになってかえってきてほしいね」
「レティは絵本よんでもらうんだ〜」
「デイジーはお散歩につれてってもらう〜」
「あ〜ずるい〜! レティも〜」
「みんなでいこうね〜♪」
「いこうね〜♪」
「二人とも、ご機嫌さんだな」
「だぁ〜」だの「ばぁ〜ばぁ〜」だの、デイジーと赤ちゃん語でおしゃべりしていたバイオレットを、ひょいっと抱き上げたのはサーシス。
「レティはお父様がお好きのようですね」
ヴィオラがバイオレットに話しかけると、
「ぶ〜! だ〜だ!(違う! にいに!)」
とお返事をするバイオレット。
「だ〜だ? ダディってことかしら? ほらやっぱりバイオレットはお父様が好きなのね。ちょっとヤキモチ妬いちゃいますね」
完全に意味を取り違っているヴィオラ。
「ぶ〜!(違う!)」
「嬉しいね。お父様もレティが大好きだよ」
相好を崩すサーシス。
……知らぬが仏。
※にいに=クインス




