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バイオレットの観察記録 ~誰が強い?~

 サロンでお父さまが「う〜ん……」とうなっています。たくさんの紙をもっているから、きっとあれはむずかしいえほんをよんでるのでしょう。わたしもお父さまのまねしてみよう。


「う〜ん」

「どうした、レティ? お、もうこんな難しい本を読めるようになったんだね」

「はいっ!」

「お父様はここでお仕事をしているから、レティも大人しく本を読んでいなさいね」

「はいっ!」


 お父さまにほめてもらえました! お父さまはえほんを読んでいたんじゃなかったですね。

 そしてまた静かに、お父さまはおしごと、わたしが本を読んでいると、


「旦那様、ルクールの領地から資料が上がってまいりました」


 と言って、ロータスがやってきました。それを見てお父さまが、とってもおどろきました。


「は? え? まだ、鉱山の資料に目を通し始めたばっかりだぞ!」

「おや、まださっきの資料が済んでないのですか? 仕方ありませんね、ではここに置いておきます」

「こんなに……無理だろ」

「は? 今何かおっしゃいましたか?」

「…………ナニモイッテマセン」

「ですよね。では、よろしくお願いします。レティ様は静かに本を読んでお利口ですね」


 ロータスが、重たそうな紙のたばをお父さまの前に山積みにしました。それを見たお父さまは、急に元気がなくなりました。おしごとがふえて大変そうです。

 わたしはロータスにもほめてもらったのでごきげんです。



「レティ、今日は憂鬱な雨ですよ~。お外で遊べませんよ~。はぁ」

「お母さまは雨、きらい?」

「嫌いではないんですけどね……。うん、嫌いじゃないのよ……」


 雨の日は、お母さまの元気がありません。じーっとうらめしそうにまどの外を見ています。なんでかなぁ? 雨の日はくらいからかな?

 そこに。


「あいにくの雨模様でございますね。今日はダンスのレッスンからいたしましょうか」


 ニコニコ笑いながらロータスがやってきました。ロータスはやさしいのに、お母さまはおおげさに後ずさりしています。おかしいですね。


「おお、きた……! きょ、今日はレティと温室でお花を植えよっかなぁって思ってるんだけどぉ?」

「おや、それは昨日されたのでは?」

 

 そうそう、お母さま。ロータスの言うとおり、きのういっしょにおんしつにいきましたよ? わすれちゃったのかな?


「……ナ、ナンノコトカナ~」

「さ、行きましょうね。最近レッスンをしていなかったので鈍っているのではございませんか?」

「だ、大丈夫です! あはっあはははっ!」

「行 き ま し ょ う か」

「……ハイ」

 

 ロータスがダンスのレッスンをしましょうと言い出したら、お母さまはさらに元気がなくなりました。おかしいですね。ロータスはとってもニコニコしているのに。わたしもお母さまのレッスン、見せてもらうんだ~。



 ロータスはおやしきのあちこちでいそがしくおしごとしています。みんな困ったらロータスのところにきているみたいです。

 ロータスってすごいなぁ。

 お父さまたちだってロータスにまけてるもんね。ということは、おやしきで一番強いのはロータスなのかな?わたしもロータスにおこられないようにきをつけようっと。



ありがとうございました(*^ー^*)

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