レティとデイジー ~見守る使用人さんs~
4巻発売記念リクエストより♪
デイジーと一緒に遊ぶレティちゃんを見守る(?)使用人さんs
お天気のいいある日のこと。
「ここにあなをほったら、トンネルになるね」
「そうですね」
温室の片隅に作られた『土遊び専用』の場所で、うれしそうに山を作りトンネルを掘るのは、公爵家のお子様バイオレットとベリスとミモザの子のデイジー。
バイオレットとデイジーは歳が近いのでとても仲良し。
プライドの高いお貴族様が見たらひっくり返りそうな光景ですが、ヴィオラもサーシスも「名門貴族のお嬢様が使用人の子供と遊ぶなんて!」という考え方の人たちではないので、いつも一緒に遊んでいます。
遊び盛りの子どもたちは、お屋敷の中ばかりでは退屈してしまうので、こうして外遊び(外?!)もさせているのです。誰に似たのかバイオレットは土遊びも大好き。温室だと常にベリスが近くにいるので安心安全です。
服が汚れることを気にせずせっせと遊ぶお子ちゃま二人の姿はなんとも微笑ましく、使用人さんたちが入れ代わり立ち代わりその姿を眺めに来ます。しかし近寄りすぎては二人が警戒してしまうので、少し離れたところから見守っています。
まだ体のバランスが不安定な二人なので、ふとした拍子に尻餅をついたり訳もなくごろんと転がったりすることも多々。
かわいいっ! 今なんで転がったのかしら?!
おちびちゃんたち、私たちを萌え殺す気なのかしら?!
その愛らしさに身悶えしつつも、
「まあ! 大丈夫でございますかレティ様!」
「デイジー、髪にまで土がついてしまっているわ!」
その度に陰から飛び出して行ってはお世話を焼く使用人さんたち。
服や体についた土を優しく落として、また元の位置にバイオレットたちを配置して、それからまた少し離れたところまで戻って眺める。それを繰り返しています。
「レティ様、デイジー。おやつの時間でございますよ~。おててをきれいにしてから食べましょうね~」
「「はあい」」
土遊びに夢中な二人のために、おやつを温室まで持ってきてくれたミモザの声に、うれしそうに反応しています。薔薇色の頬を緩め、とてとてと水場の方に走っていく様を見て、
「「「「「かわいい~~~!!」」」」」
とまた身悶える使用人さんたち。
砂場の横には子どもたち専用の小さめの椅子とテーブルが設えてあり(もちろんベリス作)、そこでおやつをむぐむぐ頬張る無邪気な姿に、
「「「「「行ってぎゅ~って抱きしめたいっ!!」」」」」
とくねくねする使用人さんたち。
「ああ、もうおやつを食べ終わってしまうわ!」
「もっとあのお姿を見ていたい!」
「もっとおやつをあげましょう」
「そしたらあの『天使の微笑み』を、私に向けてくださるわ」
盛り上がり、厨房に走ろうとする使用人さんたち。
しかし。背後から冷気が漂ってきました。
使用人さんたちが恐る恐る振り返ると。
「愛でるのはいいですが、レティ様とデイジーに、むやみやたらとおやつを与えないでいただきたい」
魔王様降臨。……ではなく。呆れた顔をしてベリスが立っていました。
そして、体調管理上よろしくない、と続けようとしたその時です。
「レティ様、デイジー。先ほどお客様から珍しいお菓子をいただいたので、食べませんか?」
と、お子ちゃま二人にお菓子を差し出してきた強者が現れました。
みんなが一斉に振り向くと。
そこにはニッコリ上機嫌の微笑みで、お子ちゃま二人にお菓子を手渡すロータスの姿が。
「ロータスさんまで……」
ガクッと肩を落とすベリス。
「わぁ! またおやつだ~! ロータスありがとう。デイジー、たべよう!」
「はい! レティさま!」
「ほらほら、あわてないで。ゆっくりお召し上がりください」
またお菓子を頬張り始めるお子ちゃま二人を満足そうに眺めるロータス。
それをじーっと見つめるベリスと使用人さんたち。
冷静沈着なロータスをしてこの状態ですから、その他の使用人さんたちに言っても仕方がないか、と一人溜め息をつくベリスなのでした。
ありがとうございました(*^ー^*)
レティちゃん3歳くらい、デイジーちゃん4歳くらい、でしょうか??




