時限をかける少女
リクエスト企画より♪
57話目の続き? レティちゃん、実は転生者だった!?
以前に自己紹介させていただいたこともありましたが、もう一度、改めまして、転生トラックにてこの世界に生まれ変わりましたバイオレットこと菫子でございます。
生前好きだった小説『誰かこの状況を説明してください!』の世界に、まさかの転生! いやぁ、まさに「誰かこの状況を説明してくださ〜い」とリアルに叫びそうになりました。
そんなこんなでヴィオラ(お母様)とサーシス(お父様)を間近でニヨニヨ見守ること早数年。
「お母様が風邪気味なので、エルダーください」
「どうぞ。他にはよろしいか?」
庭園の薬草ゾーンで、ベリスにお願いして風邪に効く薬草を摘んでもらっています。
というのもお母様が朝から熱っぽいと言って寝込んでいるからです。
今は大人しく寝てるけど、やっぱり心配なので私にできることをと思って温室にきた私。もちろんお母様は『大したことない』って言ってたけど、お父様や使用人さん達が許すわけないでしょう?
お母様のことには過保護すぎるお父様が、『仕事休んで看病する!』とか言って駄々をこねてたけど、ユリーおじさまがきて引っ張って行きました。
というのはおいといて。
ベリスに言って体を温めるハーブを摘んでもらったんだけど……他にも風邪に効きそうな薬草混ぜたほうがいいかな?
「他に混ぜたほうがよさそうな薬草、ある?」
「そうですね……どのような症状が出ているかによるのですが……」
ベリスが色々アドバイスしてくれているけど、お母様、どうだったかしら。
咳……より鼻水? 喉も痛いって言ってたような。……なんて、お母様のことを考えていたら思わず。
「ヴィーちゃん、早く良くなってほしいなぁ」
ポロリと。お母様のこと『ヴィーちゃん』って呼んじゃダメでしょ私!
「……ヴィー……ちゃん?」
ほらベリスがめっちゃ怪訝な顔で私を見ているじゃない。
「あっ、いえ、そうじゃなくて、お、お母様よ! なに言ってんのベリスったら! あははははー!」
「………」
私はエルダーをベリスから奪うように受け取り、一目散にお母様のお部屋に向かいました。
危ない。油断してたら素が出ちゃう。
数日後。
すっかり元気になったお母様でしたが、相変わらずお母様大好きなお父様の過保護が爆発して。
「まだ寝てなさい」
「いいえ、もう元気です」
「またぶり返すかもしれない」
「大丈夫ですってば〜! もうっ、サーシス様ったら過保護すぎなんです!」
夫婦喧嘩勃発です。
まったく。犬も食いませんよ。見てください、周りの使用人さんたちの生温かい眼差しを!
でも私の視線はその先を見てるんですよねぇ。ニヤニヤ。
きっとこの後お母様はいつものように『例のブツ』を倉庫に取りに行くんですよね。
先日倉庫に様子を見に行ったら、すっかり埃かぶってたんですよ。最近あまり喧嘩してなかったから、出番なかったからね。もちろん私、掃除しておきました。これでいつでも安心してお使いください。
あ、でもお母様の考えを読んだお父様がまた隠したり(捨てたり?)しないうちに取りに行ってくださいね! 消えたシャケクマ探し回ってるうちに指輪無くしたこともあったでしょう?
あの時のお母様の必死さったら……。声優さんの迫真の演技に、目の前でそのシーンを見てるかのようでした。声優さんってすごいなぁ……違くて。
鉄板ネタキター!! って、ワクテカしすぎたようです。
「……レティ様? あなたはいったい何者でございますか?」
「…………」
モノローグと思いきや、全部口に出ていたようです。
隣にいたロータスが驚いた顔で(珍しい!)私を見ていました。
「お、お母様が前にそんなお話をしてくださったのよ!」
「……そうでございますか」
口ではそう言いつつ、その目は信用してないやつだよね、ロータス!
まあ確かに苦し紛れだけど。
いいの、これで押し通せ!
今日も私の転生ライフは充実しているのでした。
ありがとうございました(*^ー^*)
レティちゃんが転生者だったら、というIfでした。
指輪をなくしたエピソードは、既刊CDブックに載っております m(_ _)m




