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伯爵家の縁談狂騒曲

リクエスト企画より♪

ちょっと未来のシスルくんとフリージアちゃんのお話。

 騎士団屯所の僕の執務室に珍しいお客がやってきた。


「お忙しいのに時間を取ってもらってすみません」

「いいえ、義父上。どうかなさいましたか?」


 そう、お客というのはユーフォルビア伯爵、ヴィオラの父親だ。

 とりあえずソファに案内し、腰を落ち着けた。

「それで、お話というのはなんでしょう」

「はい、実はシスルとフリージアに縁談が来まして」

「縁談ですか」

「はい」

 ヴィオラの弟妹、シスルとフリージアもそういう年頃になってきているので、縁談の一つや二つ来てもおかしくはない。

「うちだけで決めてしまうのもどうかと思い、公爵様に相談に伺った次第でございます」

 ユーフォルビア家の親戚になるということは、フィサリス家にもつながるということだからな。確かに、義父上だけでは決めかねたんだろう。

「わかりました。それで、お相手というのは?」


「それがですね——」



 シスルに縁談を持ちかけてきたのは、とある伯爵家。家格としては釣り合うのだけど、他はどうだろうか。

 義父上もあまり相手を知らないようなので、この件は持ち帰って調べさせてもらうことにした。

 ロータスを呼び、縁談の話をかいつまんで説明した。

「……なるほど。相手方の調査でございますね?」

「ああ、そうだ。問題なければこの縁談をそのまま進めてもらってもいいだろうけど、念には念を入れて調べておいたほうがいいと思ってな」

「そうでございますね。至急調査させましょう」

 ということで、うちの御庭番を使って調査させた。


 その結果。


「公にはしていない借金がございますね。シスル様との縁談が上手くいったら、その縁を頼って公爵家にたかるつもりだったようでございます。こっそりそんなことを言っているのを聞いた者がいました」


 義父上とシスルを招いた上での調査報告。

 ロータスが淡々と報告書を読み上げるのを、三者三様に聞いている。

 僕は内心〝やっぱりね〟と思いながら。

 そして、

「そうでございますか」

 ショックを受ける義父上の隣では、

「やっぱり。いつだったか、そういう話を聞いたような気がしていました」

 と、顔色一つ変えないシスル。

「それが今回の調査ではっきりしたということだね」

「そうですね。僕も、自分の相手は自分で見つけたかったので、断るいい理由ができました」

 僕に向かってにっこり笑うシスル。そもそも断る気満々だったな、こいつ。

「では、今回は縁がなかったということで」

「そうですね」


 シスルの方はあっさりと片がついた。



 問題はフリージアの方だった。


「——は? ディアンツ殿下、ですと?」


 フリージアの縁談相手の名前を聞いて、僕は目を丸くした。


 まさかの王太子!!


 いや、うん、フリージアが王宮の夜会に出席するたび寄って行ってるなぁとは思ってた。

 ダンスに誘ったり、話し相手に誘ったり。

 そもそもディアンツ殿下はヴィオラが大好きだったから、それを拗らせてフリージアにちょっかいをかけてるんだと思ってた。なにせフリージアはヴィオラによく似てるから。

 それが、本当に縁談もちかけるなんて……。

「そうなんです。いや、驚きました」

「私も驚きましたよ!」

「どういうおつもりなのか……?」

 まさかの王太子からの縁談に困惑する義父上。僕だってびっくりしたわ。

「フリージアはいい子ですから、そこに惹かれたと思いたいですが……。ちょっと話を聞いてきましょう」

 

 僕は直接王太子から話を聞くことにした。


「ディアンツ殿下、フリージアに縁談を申し入れたとお聞きしましたが」

「もう公爵に伝わったのか。早いな」

「なんでフリージアなんです?」

「なんでって、フリージアは素晴らしいレディだからじゃないか。一緒にいて癒されるんだよ」

「……まさかとは思いますが、フリージアにヴィオラを重ねていませんよね?」

 いちおう、念のために確認する。

 幼い頃とは違ってずいぶんまとも……げふげふ、真面目になったとはいえ、ひょっとしたら拗らせてるかもしれないからな。

 すると、


「もうそれを言うな! そんなの、まだ僕が小さかった頃の話だろうが。ヴィオラは好きだけど、それは敬愛の念だ! それにフリージアにヴィオラを重ねるって、そんな失礼なことできるか!」


 ディアンツ殿下が顔を真っ赤にして反論してきた。おっと、黒歴史をつついてしまったか。

 しかしかなりまともになったもんだなぁ、あのガキンチョが……と、ちょっと感慨にふけってしまった。



 フリージアの縁談のことをヴィオラにも伝えた。

「ええっ!? ディアンツ様がフリージアに!?」

「そうなんだよ」

「ええ〜……どうしましょう」

「何が?」

「だって、フリージアが王太子妃になってしまったら、私、守ってあげられません! ああ、私にもっと権力があれば……」

「ヴィー、何を言ってるの……」

 自分じゃ弱小すぎて守れないと嘆くヴィオラ。

 うん、そもそもヴィオラが守る必要全然ないし、もし仮にヴィオラが『妹を守りたい』と言ったら、そこらじゅうからお手伝いが集まってくると思うよ。本人気付いてなさそうだけど。


 それはいいとして。


 義父上も義母上も、


「恐れ多すぎてとんでもない話です! うちの娘じゃ王太子妃なんて勤まりません!」


 と、完全及び腰。

 王宮からは『それでもぜひに』と言ってくるらしい。


 もうこうなれば、フリージア次第……。


「んん〜? 王太子様? いい人ですけど、私、年下はちょっと……うふふ。私、お兄ちゃまのような優しくて頼り甲斐のある年上がいいんです〜」


「「「「「………………」」」」」


 フリージアの口から飛び出してきたのはブラコン発言。


 義兄には厳しいが、姉妹には優しいいい子だもんな、シスルは。

 頼り甲斐とかは努力でなんとかなっても、年齢は変えられないからね……。殿下、ドンマイ。



 ということで、この縁談はなかったことになったのだった。

ありがとうございました(*^ー^*)

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