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鏡の国のヴィオラ 〜夢オチシリーズ3〜

活動報告SSより♪


きょぬーになったヴィーちゃんw クレオパトラの鼻よろしく、運命は変わるのでしょうか?

「ヴィオラ様、今日も素敵なドレスですわね。ヴィオラ様のスタイルの良さを引き立てていますわ!」

「うふふ、ありがとうございます。アイリス様のドレスもキュートで素敵ですわ」

「私もヴィオラ様のように、出るところは出て締まるところは締まって、メリハリのあるスタイルになりたいものです」

「そんなこと……最近太り気味ですの」

「お金もあってこの美貌とスタイル。ヴィオラ様は無敵ですわ」

「そんなそんな」


 おほほほほ〜、と、笑ってるけど、内心はしんどくてたまらないんですよね〜。

 私はヴィオラ・マンジェリカ・ユーフォルビア、一八歳。フルール王国でも一二を争う裕福なユーフォルビア伯爵家の長女です。

 お友達は私のことを『スタイルいい』だの『かわいい』だの、とっても褒めてくれるけど、別に普通だと思うんだけどなぁ。確かに胸は大きいと思いますが、ただの邪魔者でしかありませんよむしろ要らない。

 本当はこうした社交の場に出るのも好きじゃないんだけど、お父様がしょっちゅうパーティーに呼ばれるので、私も仕方なくお付き合いしているといったところです。


 縁談も山ほどきてますが、どれもピンとくるものはありません。

 どうせうちのお金が目当てなんでしょう? もしくはきょぬー好きとか。あんまりいい気がしませんね。

 どこかにいい人落ちてないかなぁ〜、なんて。


 今日もおしゃべりしたり踊ったりして、適当に時間を潰していたら、


「きゃぁ! フィサリス公爵様よ!」

「今日も素敵ねぇ〜!」


 うっとりとした女の子たちの声が聞こえてきました。


 フィサリス公爵サーシス様。この国一番のお貴族様。超名門貴族でお金持ちで超エリート、超イケメン。天が二物も三物も与え過ぎな人物。

 でもね、そんなハイスペック男子をお嬢様方が放っておくわけないのです。

「よろしければ私と一曲踊っていただけません?」

「あら、わたくしとですよね?」

 今日も公爵様の気を引きたいお嬢様たちが隣に並び立たんと小競り合いを始めました。

「お誘いありがとう。では順番に」

「きゃ〜〜〜! 神対応!」

 にっこり微笑めば周りからはまた黄色い叫びが。来るもの拒まずか! ってちょっとイラっとしちゃったり。

 超美形だけど浮いた噂をあまり聞かない真面目な公爵様は、いつも独身女子の憧れの的。公爵様とお近付きになりたいと思う人は掃いて捨てるほどいて、抜け駆けしようものならフルボッコにあうそうです。あるお嬢様はグラスのワインをドレスにかけられたとか、別のお嬢様はわざとぶつかられてその場に転倒してしまったとか……。くわばらくわばら。

 そんな公爵様とお嬢様方の様子を遠巻きに見ていたら、別のお嬢様に声をかけられました。

「ヴィオラ様は公爵様とダンスなさらないのですか?」

「わたくしは別に……おほほ」

 私は別にそんな競争率の高い、そしてリスキーな人に興味はないし、こちらから遠慮させていただきますわ……って思っていたのに。

 ふと見た瞬間になぜか公爵様と目が合って。ハッとした顔をされたからなんか嫌な予感がして慌てて目を逸らしたのに時すでに遅し。その長いコンパスでスタスタと近付いてきて。

「ヴィオラ嬢、一緒に踊っていただけませんか?」

 ですって! なんで私の名前知ってるの?




 それ以来なぜか公爵様に気に入られて、事あるごとに迫られてるんです!!


「ヴィオラ嬢、綺麗な花を見かけたので、これを」 

「結構ですわ」

「ではお家に送っておきましょう」

「そうじゃなくて〜!」

「私の婚約者は恥ずかしがり屋さんですね」

「ええ〜……」

 公爵様から贈られてきた花やらプレゼントが私の部屋を占領してるんです!

 もちろん正式な結婚の申し込みもきました。私は断ったというのに、なぜかお父様が『YES☆』って返事しちゃってていつの間にか婚約してるし!?

 ニコニコしながら花束を渡してくる(自称)婚約者。

「……もう社交界に出れないわ……怖すぎる」

 公爵様を狙うお嬢様方の報復が怖くて……。いや、社交界に出なくていいのは万々歳なんですけど、屋敷からも出られない気がする。

 げんなりしている私に、

「社交界が恐い? 大丈夫私が守ってあげますよ、心配しないで」

 なんてキラッキラスマイルで微笑みかけてくるけど貴方が原因ですからね!!

 はぁ。

 地位も名誉もお金も持ってる公爵様が、なんで私なんかに構うんでしょうか。


 ……これはやっぱり胸か? 胸なのか!?


 はたと気付き、じとんと公爵様を見ます。

 私の思考に気付かない公爵様は相変わらずうれしそうにニコニコしてるけど……真意がわかりません。









「……う〜ん……ふあぁぁぁぁ。よく寝た……ん?」

 いつも通りに目を覚ました私の視界に飛び込んできたのは、寝顔も麗しい公爵様。

 公爵様? 

 あれ? 私、結局あのまま結婚しちゃったってこと??


 起き抜けの寝ぼけた頭でこんがらがってると、隣で寝ていた公爵様の長いまつげがフルリと動き、そして濃茶の瞳が見えました。

「ヴィー? 先に目が覚めたの? おはよう」

「オハヨウゴザイマス」

「ん? どうかした? 体調が悪い?」

 そう言って私のおでこに手のひらを当てる旦那様。


 あ、公爵様じゃなくて旦那様じゃん。


 急に現実がストンと頭に入ってきました。

 念のため自分の胸をペタペタと触れば……ツルン。

 ですよね〜。現実の私はこうですよね〜!

「…………」

 あれは夢でした。完全に夢でしたね……。


 ボケーっとしてるかと思えばおかしな行動をする私を心配そうに見ていた旦那様に、

「大丈夫です。ちょっと寝ぼけてました。おはようございます」

 完全に目覚めた私がシャキッと朝のご挨拶。


 そっか〜。

 私がきょぬーだろうと実家がお金持ちだろうと、結局は旦那様と結婚する運命だったのか……。

ありがとうございました(*^ー^*)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 深層心理でサーシスさんとの結婚を喜んでるのか、もし自分に借金がなかったら?結婚は無かった?と不安に思っていたのか、なんにせよ、二人は運命の相手ですね! [一言] ヴィーちゃんは夢でも現実で…
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