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リアさんの初恋

活動報告より♪


リアさんの初恋の人は……?

 私はフィサリス公爵家の新入り侍女、ステラリアと申します。

 侍女としては新入りですが、公爵家は実家も同然。というのもなんと私、この国一番の名門貴族であるフィサリス公爵家で生まれ育ったんですよ。

 と言っても身分はただの庶民です。

 じゃあなんでそんな庶民が公爵家で生まれ育つことができるのかというと、父さんが公爵家の料理人、母さんが公爵家の侍女で、お屋敷内に部屋をもらって住み込んでいたからなんですけどね。

 しかしいくら私が公爵家で生まれ育ったとはいえ、公爵家ご嫡男のサーシス様と一緒に遊んだことなんて一度もないですよ。同じ屋敷内にいるのに会ったことすらないんじゃないかしら? そういうところ、母さんは線引きが厳しいんです。


主様あるじさまのご子息と使用人の子が一緒に遊ぶなど、もってのほか。わかりますね、リア、ティン」

「「はい」」


 母さんは口を開くたびにそう言ってましたっけ。

 奥様や旦那様は「歳も近いし、一緒に遊んだってかまわないんだけどなー」って言ってたらしいんですけど。

 だから私は二つ下の弟――ティンクトリウスと一緒に、もっぱら使用人専用ダイニングや、庭師チームの休憩所(庭園の片隅にあって、本館や別棟からは見えない場所にあるの)で過ごしていました。

 周りを見れば働く大人たちばかり。だから自然と使用人の仕事が目に入ったし、身に付いたと思います。

 後から考えたら、これってすごいことなのです。だって、公爵家の使用人って、超一流なんですもの。タダで高名な先生に教えてもらってるようなものですから。


 どの使用人さんもとっても優しくて、手が空いたら私たちの相手をしてくれました。

 中でも執事見習いのロータスさんはとっても素敵な人で、使用人たちの間でもとっても人気がありました。

 やることなすことすべて完璧。執事のフェンネルさんと一緒に難しい仕事をこなしたり、他の使用人に気配りしたり。かと思ったら、私や弟に勉強や剣術・体術を教えてくれたりするんですよ。それもわかりやすく教えてくれるので、おかげで私は勉強が好きになれました。勉強だけじゃありません、仕事で忙しくしているはずなのに、それでも合間をぬって遊んでくれたりもしました! もう、なんて素敵なんでしょう!! 私も弟も、ロータスさんにとっても懐いていました。




 そして私も学校に入学できる歳になりました。

 私が選んだのは、職業専門学校です。ここではいろいろな『職』が学べるのです。

 王都には普通の教育をする学校もありますが、そこは勉強しか教えてくれません。男の子だったら官僚として王宮に就職も可能ですが(ただし超優秀な人だけね)、女の私がそんなところに行っても無駄というもの。世の中勉強だけじゃ食っていけません。

 私は専門学校の数ある職種の中でも、迷うことなく執事・侍女コースを選びました。ここでは使用人のプロフェッショナルを育てているのです。使用人のプロ集団と言っても過言ではないフィサリス家に育った私としては、ごく自然な選択でした。


 私が公爵家の使用人用部屋から出て、寄宿舎生活に入る時、


「勉強、がんばってくださいね。リアならきっと優秀な成績を修められるでしょう。その時は公爵家にいらっしゃい、待ってますよ」


 そう言ってロータスさんがはなむけにくださったのは、白いハコベの花が刺繍された、薄桃色のかわいらしいハンカチでした。


「わぁ! ありがとうございます! 大事にしますね。勉強、頑張ってきます!」


 嬉しくて泣きそうになりながらひしと抱きしめたハンカチは、もちろん、宝物入れ直行でしたよ!




 実際授業が始まると、どの授業も知ってることばかりでびっくり。というか、私、それ以上のことも出来ちゃいます。やっぱり公爵家の使用人さんたちはすごかったのです。

 だからってサボろうとは思わないですよ。応援してくれたロータスさんに胸を張って見せられる成績を取ろうと思った私は、ちゃんと真面目に勉強しました。どうせなら全科目で一位を取ってやる。目指すは完全制覇の首位卒業! これならロータスさんに堂々と自慢できます。

 目標のできた私に迷いなんてありません。勉強に実技に精進しました。

 おかげで成績は首位から落ちることはありませんでしたね。


 首位で目立つのか、よく男の子に声をかけられるようになりました。なぜか執事コースの人が多かったですね。

 しかしこれまで毎日ロータスさんや庭師のベリスさん筆頭に、公爵家使用人という中身も見た目も男前、デキル男を見慣れている私は目が肥えてしまっていて大変です。いや、嫌味ではなくてですね。

 同級生も、一見顔や性格はいいなと思っても、いざ勉強や実践訓練をやってるところを見ると萎えてしまうんです。

 なんていうか、ロータスさんみたいにスマートで完璧な動きじゃないんですよね。

 いや、ロータスさんと比べるのもおこがましいんですけど、つい?

 だから学校内にいる男子は、全然イケてなくてがっかりです。


 あー。ロータスさんを超える人が見つかるまで、私ってば恋人も出来なさそうですね。



ありがとうございました(*^-^*)


ユリーさん。壁はとてつもなく高いよガンバレ!www

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