花上優1
花上 優
あの日の事は、あまり覚えてないかなあ。
でも、高校を途中でいなかなくなったのは、あの事故のせいだと自分でも分かってる。
黒板見ると、どうしても秋保の顔が浮かんできて―――。
そのうちにノートを開くと、秋保が「許さない」って言っている声が聞こえてきて。それに夜寝てる時も初めのうちはすっごく怖い顔で秋保が部屋に立ってて……。
怖くて悲鳴を上げたら、お母さんが驚いて入ってきて大丈夫よって。でもね、確かに死んだはずの秋保がいたのよ。
それで、私病院に行ったんだけど、病院の先生は、幻覚だろうとかって言ったの。それで、お薬をもらって今も過ごしてるけど、それでも気持ちが不安定になることがあってね。
秋保が私を襲いにくるそんな感覚がして、堪らなく怖いの。
高校もやめてしまったけど、今は外に出るのすら怖くて。外を歩いていたら、人の顔が秋保にみえたりするから。
秋保は、私の事「あか」って言って悪口沢山言ったのね。秋保は、すごく意地悪な人ですごく怖い人なんだけど___。それで、秋保が死んじゃってから、秋保の意地悪パワーはレベルアップしたんじゃないのかなってそうやって思ってしまうの。
秋保ね、本当に死んだと思う?
私はね、死んだと見せかけてるだけで、うん、皆を騙しているだけできっと、生きてるんだと思うの。だからこうやって私に会いに来るんだと思う。
キャー。あれ?お姉ちゃんの顔?さっき、秋保に見えたんだけど、お姉さん本当に秋保のお姉ちゃん?
まさか、お姉ちゃん秋保のくせして私を騙そうって言うんじゃないでしょうね?
あれ?私いつのまにか寝ちゃってたのかな?お薬やお注射を暴れる私にしてくるんだけど、そうすると、確かに秋保はきえるんだけど、でもいつも寝てしまっているの。
んで、なんの話だっけ?そうそう、あのね、秋保は私の事「あか」って呼んだのはね、赤いセーターを着ていたからなんだけど、そんな風に読んでいるなんて知らなかった頃は秋保がそんなに怖い人なんて思ってもみなかったの。
秋保とは、同じクラスだったんだけど、秋保ね私が教科書を忘れた時に、自分のを貸してくれたの。ねっ?優しいでしょ?でね、自分は先生に忘れましたーとか言って手を上げてくれるの。それでね、朝倉君っていう男の子がいたんだけど、その男の子に秋保ちゃん見せてもらっていたのよ。
わざわざ私の為にそこまでしてくれるなんてって嬉しかったかなー。
でもね、秋保ちゃん、たまに意地悪な事もしていたよ。
朝倉君の隣の席の女の子の机に落書きしてるの見て、何書いたのか気になって後から見たら「ばか」とか「キモイ」とかそういうことばかり書いてあったの。




