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置き去り  作者: 大和香織子
第四章 桜島夏保
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桜鳥夏保1

桜鳥 夏保


3人が20歳になるのを待ちました。20歳を過ぎてじゃないと、事件の事で何かを聞いた時にこちらが責任を取らないといけない何かが起こってしまっては困ると危惧したからです。

 私の妹は中学一年生という若さで亡くなってしまいました。事故とのことで警察には処理されましたが、到底納得できるようなものではありませんでした。

 実はあの時、秋保の制服は捲れ上がっていました。上半身のみですが。自分からすべり落ちてしまった時にわざわざ服を捲りあげるでしょうか?しかし、警察もそうですが学校の方も大問題にしたくなかったのでしょう、秋保の事は時間と共に、次第に薄れ行きました。

 秋保はあの日、誰かに突き落とされたのです。

 秋保のしてきたことや3人の気持ちを聞いてから、私の気持ちは爆発してしまいそうでした。秋保はそんな子じゃないのに、派手がゆえに誤解されていたのだと。

 

 秋保が亡くなってからと言うもの、あの日を境に私の生活は一変してしまいました。秋保の事を目に入れてもいたくない程父親は可愛がっていました。

 けれど、秋保はいなくなってしまった。父親は段々と働きに行かなくなってしまいました。朝から晩まで酒を飲んだ挙句、家じゅうの物を破壊していきました。

 母の方も妹が亡くなったショックにより精神が崩壊してしまった様で、私は母の病院の付添いをするようになりました。

 まるで人間である事すら忘れてしまった母、そして暴れて包丁を持ち出す父、危ないので毎日包丁は隠すようにしました。

 しかし、次第に貯金も底をついてきました、水道は止められガスや電気もない。私は中学生ながらに働くことになったのです。

 中学から帰り夜になると、迎えがやってきて。そうです、身体を売ってしまった。ですが、それ以外に生きていく手段はなかったのです。中学生を雇ってくれるところなんてありませんし、それにひきかえ売春は短時間で高収入を得ることができたのですから。

当時、高校受験の年でしたが、当然高校に行ける余裕なんか家にはありませんでした。

 私にある物と言えば、手のかかる両親でした。しかし、そんな私を救ってくれた人、それは同じクラスの恩田 貴斗くんでした。


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