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やがて本当の英雄譚 ノーマルガチャしかないけど、それでも世界を救えますか?  作者: 天野ハザマ


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キャラレベルにかまけて武具更新を忘れてはいけない

「……さて」


 カオスゲートに収納した武具を見ながら、セイルは静かに呟く。

 今所持している星2以上の武具は、こんな感じだ。


鋼の弓(☆☆★★★★★)【エイス装備】

鋼の杖(☆☆★★★★★)

鋼の杖(☆☆★★★★★)

鋼の杖(☆☆★★★★★)

鋼の斧(☆☆★★★★★)

鋼の斧(☆☆★★★★★)

鋼の鎧(☆☆★★★★★)【アミル装備】

鋼のガントレット(☆☆★★★★★)

鋼の槍(☆☆★★★★★)

鋼の盾(☆☆★★★★★)【アミル装備】

鋼の盾(☆☆★★★★★)

鋼のレイピア(☆☆★★★★★)

無銘刀(☆☆★★★★★)

聖書(☆☆★★★★★)

鋼のトンファー(☆☆★★★★★)

ハルバード(☆☆★★★★★)【ガレス装備】

ミスリルの杖(☆☆★★★★★)【イリーナ装備】

鋼の短剣(☆☆★★★★★)【ウルザ装備】

ラピッドショット(☆☆★★★★★)

ミスリルの鎧(☆☆★★★★★)

陰陽服(☆☆★★★★★)

武道着(☆☆★★★★★)

ビッグシールド(☆☆★★★★★)【ガレス装備】

鋼のシミター(☆☆★★★★★)

スーツアーマー(☆☆★★★★★)【ガレス装備】

防毒の護り(☆☆★★★★★)【イリーナ装備】

王族の鎧(☆☆☆★★★★)【セイル装備】

聖剣ホーリーベル(☆☆☆★★★★)【アミル装備】

カオスアイ(☆☆☆★★★★)【イリーナ装備】

ヴァルブレイド(☆☆☆☆☆★★)(レベル19/70)【セイル装備】


 鋼の短剣は出かけているウルザが所持しているのでリストにないが、それはさておき。

 この中で気になるのは、鋼の杖の扱いだろう。

 鋼の杖が現状2本あるということは、星3にランクアップ可能だ。

 鋼の杖の魔法攻撃力は30。ミスリルの杖の魔法攻撃力は35。

 単純に考えれば鋼の杖をランクアップすれば埋まる差だが、レベルアップした時に再度ミスリルの杖が鋼の杖に多少ではあるが勝る可能性がある。


 これは鋼の杖が物理攻撃力にもその能力を割り振っているからだが……しかしミスリルの杖は鋼の杖と比べると物理防御にプラス2の差がある。

 ここにレベルアップ時に数値が割り振られる可能性を考えると、一概にどちらが高くなるとは言えないところだ。

 合成に資金がかかることを考えると、両方レベルアップさせるということは今は避けたい。

 理想としては今ガチャを引いてミスリルの杖が出る事だが……。


 ここで、資金の問題が絡んでくる。

 現在の資金が4ゴールド36シルバー50ブロンズ。

 ちなみに正確には、この中からウルザを除く全員に2シルバーずつ渡しているので4ゴールド24シルバー50ブロンズだ。

 あれだけの激戦の後でも、あまり増えていないのが分かる。

 カースゴーレムの強さを考えれば大幅に増えているかもと期待したのだが……むしろ、カースゴーレム撃破により得られた資金が異常に少なかった可能性すらある。

 まあ、その辺りの検証は置いておくとしてもだ。


「これを強化したとして、魔法防御の問題は残る……か」


 まずガレスに関しては現状の装備の強化で問題ない。

 スーツアーマーとビッグシールドは、星3防具を除けば最適解だ。

 ハルバードも武器として問題ない。


 次にオーガンだが、出来ればもう少し強化したい部分がある。

 鋼の盾を持たせるという選択肢もあるが、アミルの鋼の盾を星3にした方が総合的にはいいかもしれない。

 これについてもガチャを引いて星2の盾が出ればいいのだが……。


「やはりガチャが必要か……?」


 もっと贅沢を言うのであれば、ミスリル装備が欲しいとセイルは思う。

 鋼装備と同じ星2装備のミスリル装備だが、防具としてのミスリル装備は鋼装備と比べると物理防御が低く多少の魔法防御を備えるという特徴がある。

 カオスディスティニーでは誤差の範疇だったが、今となっては無視できないものがある。


「……やるしかないな」


 小さく呟くと、セイルはガチャの画面に移動する。

 今は自由行動ということで、部屋には誰も居ない。

 つまりセイルを止めるストッパー……アミルも居ないという事だが、そのアミルの事をセイルは一瞬思い浮かべて。


「……これは必要なものなんだ。俺には皆を守る義務がある」


 そんな事を言いながら、セイルは10連ガチャをタップする。

 するとカオスゲートから光が溢れ……扉の開く音にセイルは思わずビクリとする。

 しかし、そこから顔を出したのはアミルではなくウルザだった。


「あら、ガチャ引いてるの? いけない人ねえ」


 クスクスと笑いながらセイルの横に腰掛けるウルザ。

 そんな2人の前で、カオスゲートに結果が表示されていく。


ガチャ結果:


鉄の剣(☆★★★★★★)

鉄の槍(☆★★★★★★)

鉄の弓(☆★★★★★★)

鉄の杖(☆★★★★★★)

アイアンショット(☆★★★★★★)

傀儡糸(☆★★★★★★)

鉄の短剣(☆★★★★★★)

鉄の盾(☆★★★★★★)

鉄の鎧(☆★★★★★★)

メイド服(☆★★★★★★)


「外れかしらね」

「……まあ、素材に使えるからな」

「ふーん?」

「ああ、そうだ。お前の装備も渡しておいてくれ。強化するからな」

「いいわよ?」


 言いながらウルザは隠密服の裾をチラリと捲って……セイルは素早く目を逸らす。


「あら、酷いわね」

「この場で渡せとは言ってない」

「それはそうでしょうけど。あ、そういえば服も買いに行った方がいいと思うわよ? 此処は国自体が田舎だからまだいいけど、それでもエイスとかはおのぼりさん丸出しだもの」

「む、そうか」


 ガチャ産の布の服もそうだが、 全ての装備は出す時にある程度個人に最適なデザインになる性質があるようだ。

 つまり、同じ布の服を出したとしてもウルザとエイスのものを比べると女性用と男性用、あるいは洗練されているか多少野暮ったいか……あるいは色の差もあるというわけだ。


「……まあ、今はこれがあるからな。終わったら考えよう」

「ま、それもそうね」


 言いながらウルザが隣の部屋に行ったのを見届けると、セイルは再度10連ガチャをタップした。

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