表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やがて本当の英雄譚 ノーマルガチャしかないけど、それでも世界を救えますか?  作者: 天野ハザマ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/228

レベルアップ……の前に

「えっと……鍛冶屋に行くってこと、ですかね?」

「鍛冶屋で合成なんて技はないと思うですよ」


 疑問符を浮かべるエイスとイリーナを見て、セイルは「ああ、そうか」と苦笑する。


「そういえば説明してなかったな。このカオスゲートには要らない武器を材料として対象の武器をレベルアップさせる「合成」という機能があるんだ。それを使うというわけだ」

「ですがセイル様。それはとっておくという話では……」

「ああ。そのつもりだったが、資金は充分に集まってきたからな。鋼の武具以外は全て一度合成に回してしまってもいいと考えている」


 そう思えたのも、オークとの戦いの影響が大きい。

 レベル1~3前後のアミル達はオークとも充分に戦えており、ゲームに登場する敵よりもこの世界の敵は弱いか……あるいはステータス換算すると、アミル達のステータスでも充分に強いのか……どちらかは分からないが「過剰に警戒する必要はない」という確信をセイルに抱かせていた。


 そうなると、問題となってくるのはこのパーティで今のところ最も強く、最も倒れてはならない存在……つまりセイルの事である。

 セイルが倒れた時、このパーティは全滅する。

 セイル以上の戦力が現状で存在しない以上、それは明らかだ。

 それを考えた時、最優先すべきは現状存在する最高レア……ヴァルブレイドということになる。

 

「さて、では早速……」


 合成を選択しようとしたセイルはふと、オーク戦を終えた後の全員のステータスを確認していなかった事に気付く。

 全員かなりの経験値を手に入れたはずだが、現状どうなっているか。

 成長限界の事を考えると、早めに進化をさせたいところではある。

 そう考えながらユニット画面を開き……そこで、セイルの手が止まる。


「な、に……?」


セイル

レベル15/99

物理攻撃:900(+500)

物理防御:700

魔法防御:700


【装備】

・ヴァルブレイド(☆☆☆☆☆★★)

・鎧


【アビリティ】

・王族のカリスマ

・ヴァルスラッシュ



王国剣兵アミル ☆☆☆★★★★


レベル10/50


物理攻撃:600(+70)


物理防御:350(+80)


魔法防御:110




【装備】


・鋼の剣(☆☆★★★★★)


・鋼の盾(☆☆★★★★★)


・鋼の鎧(☆☆★★★★★)



王国魔法兵イリーナ ☆☆★★★★★


レベル12/30


魔法攻撃:550(+30)


物理攻撃:0(+10)


物理防御:60(+2)


魔法防御:350(+10)




・鋼の杖(☆☆★★★★★)


・布のローブ(☆★★★★★★)




【魔力属性】


・闇


暗殺者ウルザ ☆☆☆★★★★

レベル9/50

物理攻撃:520(+5)

物理防御:210

魔法防御:210


【装備】

・鉄の短剣

・服


【アビリティ】

・暗殺者

・闇纏い






狩人エイス ☆☆★★★★★


レベル6/30


物理攻撃:400(+80)


物理防御:100


魔法防御:10




【装備】


・鋼の弓(☆☆★★★★★)


・服


 アミルとイリーナ、そしてエイスが「進化」している。

 無論だが、セイルはそんな事はしていない。

 ガチャが勝手に引かれて自動でそうなったというわけでもない。

 となると……何処かのタイミングで進化するような出来事が起きたというのか。

 そして、セイルの見ていない所でそれが起こったとすれば。


「セイル様、どうされました……?」

「アミル」

「はい?」


 セイルはカオスゲートからアミルへと視線を向け、静かに問いかける。


「オークとの戦いで……何か奇妙な事は無かったか? イリーナとエイスもだ。普段とは何か違う……そうだな、突然強くなったとか成長したとか……そういうことは?」

「え……っと。確かに……」

「そういえば……」

「言われてみれば……ありましたね」


 3人は顔を見合せ、やがて代表するようにアミルがセイルへと向き直る。


「戦いの最中……ウルザに言われて戦い方を変えた時、でしょうか。その時、何か普段とは違う……自分が一つ上の段階に達したような感覚がありました」

「それ、か」

「あの、それが何か……」


 カオスゲートを指で叩いていたセイルは、その画面をアミル達へと向ける。


「ウルザを除く全員が「進化」している」

「えっ」

「星が増えてるですね……」

「へえー」


 一度進化したアミルでも気付かなかったということは、本当に些細な切っ掛けと変化だったのだろう。

 当然だ。文字通りに戦いの中で「進化」したのだから。それは人として普通の事だ。

 しかしそれは、セイルに一つの事実と可能性を示していた。


 進化もまた、カオスゲートの機能を通さずとも可能である。

 そして恐らくは……それはガチャのような特殊なものを除く、カオスゲートで実行可能な全ての機能について同じ事が言えるのではないだろうか?

 たとえば、進化を諦めているヴァルブレイドも……もしかしたら。


「光が、見えてきたかもしれないな……」


 初期で星3を超えるユニットをこの世界に呼ぶ事は、やはり不可能だろう。

 だが召喚したユニットをカオスゲートを通さない手段で進化させることは出来る。

 それは、進化という地獄のような「システム」を超える光明だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ