第九十話
―――1944年一月十日―――
ソ連はドイツ、イタリア、日本に対して降伏の電報を発した。
日独伊の三軍はその電報を受けて攻撃を停止して停戦となった。
ソ連はスターリン書記長をクーデターにて更迭した事を発表した。
そして新たにフルシチョフが書記長となり講和交渉となる。
なお、投獄されたスターリンは隠し持っていた青酸カリを飲み込んで牢屋内で服毒自殺を図った。
この報告にヒトラーは狂喜乱舞し、将樹達は安堵の息を吐いた。
講和交渉は先にドイツとソ連が交渉を開始した。
一週間にも及んだ講和交渉は一先ず一月十八日にモスクワで合意されて、モスクワ講和条約と言われた。
講和内容は、簡単に言えばソ連は解体。
ソ連はドイツにウラル山脈以降西をドイツに譲渡してウラル山脈を国境線と設定されて、ソ連の首都はオムスクとなった。
ソ連はロシア連邦となってドイツ、イタリア、日本の三国同盟に加わる事になり四国同盟となった。
なお、賠償金は請求しないとなった。
これによってドイツは黒海はもとよりカスピ海北部沿岸も獲得してイランにいるイギリス軍を攻撃しやすくなったのである。
それから一週間後の一月二十五日に日本はロシア(ソ連は解体したため)と講和交渉に入った。
日本はロシアに対して賠償金は請求しないと約束した。
これには講和交渉代表のモロトフも驚いた。
前回のポーツマス条約を考えれば先に賠償金をと求めてくるとモロトフ達は思っていたのだ。
しかし、将樹は違っていた。
「ロシアから賠償金を取るよりアメリカを倒して賠償金を求めた方がいい」
将樹はそう東條達に言ったのだ。
だが、日本もアメリカが強いのは確かであると認識している。
ロシアは日本に対して樺太北部、カムチャツカ半島、コマンドル諸島、イルクーツク〜ヤクーツク〜マダガンまで領土の譲渡をした。
この領土の譲渡によりロシアは海軍力の全て奪われたのである。
そのためにロシアは後に陸軍力と空軍力の大幅な強化をするのであった。
また、蒋介石の中華民国とも講和交渉をしてソ連の傀儡国だったモンゴルを譲渡した。この譲渡によりモンゴルにいる毛沢東率いる中国共産党は窮地に陥る事になった。
毛沢東はモンゴルをクーデターにて占領して新たに中華人民共和国として無理矢理成立させた。
この仕打ちに蒋介石は激怒してロシア側に抗議をした。ロシアもこの抗議を受けてロシア極東軍をモンゴルに派遣した。
これによりロシアと中華人民共和国との間で戦闘が始まるのであった。
それは兎も角、こうして日露講和条約は締結されたのであった。
―――日本、東京―――
『万歳ァッ!! 万歳ァッ!! 万歳ァッ!!』
道の至るところで一般人が万歳三唱していた。
「やはり日本は神国だッ!!」
「このままアメリカを倒せッ!!」
日露講和条約に沸いた一般人に対して各新聞社はアメリカを倒すよう一般人にそう煽った。
「………勝つのはいいが、新聞社が調子に乗るのは困るな………」
海軍省にたまたまいた将樹はそう呟いた。
「どうするかね? 新聞社が更に国民を煽るようになれば………」
「最悪、無茶な煽りかたで日本は滅亡しますよ」
山本の言葉に将樹はそう言う。
「………此処は陛下に頼みましょう」
「陛下にかね?」
将樹の言葉に山本が訪ねた。
「ラジオを通して陛下に国民に語りかけましょう。『勝って兜の緒を締めよ』と」
「………成る程。陛下から東郷長官の言葉を伝えれば安定化はするな」
「はい、それと各新聞社には………」
「うむ。充分な厳罰にしておこう。ペンは剣より強しというからな。何が起こるから分からない」
「はい」
山本の言葉に将樹は頷いた。
それから二日後、陛下からの異例とも言えるラジオ放送が正午に始まって国民に「冷静になり、生活をせよ。東郷元帥も言っておられた『勝って兜の緒を締めよ』と」と伝えて国民の熱は次第に冷めていき、安定化した。
その一方で、国民を煽った各新聞社の代表や関係者は厳重な罰を極秘裁判によって処理をした。(別に殺してはいない。監視や罰金等。しかしそれを無視して新たに一般人を煽れば刑務所に無条件でぶちこむ事になる)
そして対ソ戦が終了した。
陸軍は満州に集めていた兵力をゆっくりと南方戦線に移動を開始させた。
これは戦車隊もであり、戦車第九連隊と戦車第十一連隊がサイパンに移動したりしたのであった。
海軍も満州方面に展開していた第四航空艦隊と第五航空艦隊が内地に移動する事になった。
「中国の蒋介石がモンゴル……中華人民共和国に共同で攻めこもうと言ってきた」
集まった会合で東條はそう発言をした。
「今、ロシア軍がモンゴルを正常化するために中華人民共和国軍と戦闘しているが、モンゴル軍も加わって一進一退の戦闘をしているようだ」
「そこへモンゴルを譲り受ける中国が日本と共同で攻めこもうと?」
「うむ、挟み撃ちにしようとな。ロシア側もその意見に賛成を表明している」
「確かに中国の赤化は防がねばならんから一応の道理はあるな」
「自分はやるべきだと思います」
将樹は賛成を表明した。それは他の出席者達も同様であった。
「……よし、ならば軍を派遣しよう」
山本はそう決断をするのであった。
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