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反逆の日章旗  作者: 零戦
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第八十九話






「何? ソ連軍が後退をしているだと?」


「はい、上空にいる攻撃隊からの報告です」


「むぅ……」


 今村参謀総長の言葉に山下は腕を組んで唸る。


「……まさかソ連本国で何かあったのかもな」


「スターリンが暗殺でもされたのですか?」


 実際はソ連極東軍司令官が戦死したために撤退を開始したのであったが、情報が少ないためにこのような結論になった。


「……情報を集めなくてはな。ソ連軍が後退したなら攻撃はしなくていい。全軍に追撃はするなと伝えろ」


「分かりました」


 今村は頷いた。


「やりましたね師団長」


「おぅ何とか露助を追い返したな」


 三式中戦車に乗る第一戦車師団長の牟田口中将はそう呟いた。既に各部隊に集結を命じている。


「取りあえずは勝てたな」


 一方、撤退するソ連極東軍に陸海軍の航空部隊は追撃をしていた。


 五百キロ爆弾を搭載した彗星と銀星が逃げるT-34中戦車に対して爆撃をして、疾風や零戦は機銃掃射をしてソ連軍兵士の命を刈っていく。


 ソ連極東軍はボロボロになりながらイルクーツクに帰還するのであった。





――日本東京――


「取りあえずチタ防衛は出来た」


 集まった会合で東條は満足そうにそう述べた。


「ですが相手はソ連です。戦力を整えたらまた来るでしょう」


 将樹はそう呟いた。


「うむ、油断は禁物だな」


 杉山も将樹の言葉に同意するように頷く。


「取りあえずは戦力の補充だな」


 山本の言葉に全員は頷いた。





――正月、桐野家――


『明けましておめでとうございます』


 一月一日、将樹達は桐野家で正月を迎えていた。


「御節は少しだが食べてくれ」


「桜花、きな粉は何処だ?」


「砂でもかけてろ馬鹿兄上」


「……ひでぇ」


 桜花の言葉に桐野少佐が凹む。


「ツヨシさん、はいあーん」


 ナターリャがきな粉をかけた餅を箸で掴んで桐野少佐にあーんをする。


「あ、あーん……」


「(……おのれリア充め……)」


 将樹はきな粉で餅を食べながらそう思った。


「マサキ、はいあーん」


 そこへクロエが醤油で付けた餅を将樹に持ってきた。


「あ、あーん……」


「………」


 将樹は若干驚きつつ、餅を食べて桜花は何かあげる物はないか探していたりする。


「ほ、ほら将樹。蒲鉾だ、あーん」


「お、おぅあーん……」


 二人は顔を赤らめながらするのであった。





 同じ頃、ドイツではヒトラーが部下に指示を出していた。


「ウラル山脈要塞を何としてでも落とすのだッ!! そこに銀行強盗がいるッ!!」


 ヒトラーは世界地図のウラル山脈をトントンと指を指す。


「それと総統、レニングラードが陥落、これを占領しました」


「ほぅ、漸く占領したか」


 一時はレニングラードはドイツ軍に包囲されたが何とか切り抜けていた。しかし、再度ドイツ軍の大攻勢により漸く占領されたのだ。この作戦にはキールから出撃したドイツ海軍の虎の子の機動部隊も参戦していた。


「捕虜となっていた味方の兵士も次々と解放しています」


「うむ、十分な休暇をとらせて家族を喜ばせろ。必要であれば余も出よう」


 ヒトラーはそう言った。


「それとウラル山脈の攻略にはマンシュタイン元帥に担当しています。必ず総統閣下に朗報をもたらすでしょう」


「うむ、マンシュタインが望む物は優先して送るのだ」


 ヒトラーはそう言った。大攻略に出たドイツ軍はソ連軍を軒並み撃破していた。北方方面は増強された北方軍集団がレニングラードを占領した事によってフィンランド軍と合流をしていた。


 南方方面も指揮をするマンシュタイン元帥がソ連軍を撃破してウラル山脈まで侵攻しようとしていた。


「何て事だ……」


 味方の連続の敗報にウラル山脈の要塞に立て籠るスターリンは頭を抱えていた。


「極東では司令官が戦死したために撤退。此方も撤退に撤退……どうしろと言うのだ……」


 スターリンは相次ぐ味方の連敗にうつ病になりかけようとしていた。


 更にドイツ軍の進撃で、南方軍集団はスターリンが立て籠るウラル山脈要塞まで後二百キロとなっていたのだ。


 また、ドイツ軍が占領地域での治安維持を積極的に展開したせいで、ソ連軍兵士達の中では「ドイツ軍に投降しても殺されはしない」という噂が飛び交って、離反してドイツ軍に投降する兵士が続出していた。


 まぁ、実際にドイツ軍は投降した兵士の虐待はしなかったしドイツ空軍がばら蒔いた投降ビラが予想以上に戦果を上げていたのだ。


 これにはスターリンも予想外であり、ドイツ軍の治安維持は嘘でこれは策略であると言って敵に惑わされるなッ!!と厳命をしていた。


 しかし、ソ連軍の士気は低下していたため脱走するソ連軍兵士が耐えなかった。


「くそ、こんな事なら粛清をするんではなかった………」


 戦線に立つ士官も大戦前にスターリンが粛清したせいで極端に不足していた。


 スターリンは後悔ばかりしていたが、いないものはいないのだ。


「……こうなればウラル山脈要塞を放棄して極東に逃げるか……」


 それも一種の手だった。


 しかし、ウラル山脈周辺の制空権は完全にドイツ軍の物だった。


「糞ぉ……一体どうすればいいんだッ!!」


 誰もいない作戦室でスターリンはそう怒鳴り散らした。


 それを扉の前で聞いた者達がいた。


「………もはや同志スターリンは駄目なようだな」


 男はフルシチョフ軍事会議委員である。


「問題は何時するかだ」


 フルシチョフに同調するようにラヴレンチー・ベリヤが呟く。


「私としては今直ぐにでも投獄をしたい。これ以上、ソ連人民を無駄に死なせたくはない」


 フルシチョフはベリヤにそう言う。


「大粛清を決行した私が言うのもなんだが、確かにな」


「ならば………」


「あぁ、一個小隊を連れて来よう」


 ベリヤとフルシチョフは互いに頷きあった。





 それから三十分後、スターリンがいた部屋には一個小隊の兵士とフルシチョフにベリヤがいた。


「一体何故私を捕まえるのだベリヤッ!! フルシチョフッ!!」


 縄に縛られたスターリンが二人に激怒をする。


「御覧の通りですよ同志スターリン。クーデターです」


 フルシチョフはスターリンに言う。


「同志スターリン。貴方はソ連人民を殺し過ぎた。それを償う時ですよ」


「気でも狂ったのかフルシチョフッ!!」


「………今の貴方には何を言っても無断でしょう。投獄させてもらいます」


「連れていけ」


「何故だッ!! 何故だァァァーーーッ!!」


 牢屋に連れて行かれるスターリンの叫び声が廊下に響いた。


「「До свидания(ダスヴィダーニァ)同志スターリン」」


 連れて行かれるスターリンにフルシチョフとベリヤはそう呟いた。


 そして、フルシチョフとベリヤはドイツ軍と日本軍に降伏する決意をした。









御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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