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反逆の日章旗  作者: 零戦
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第七十八話






――八月二五日、三宅坂――


「……それでは満州との国境線近くにあるソ連の都市は軒並み占領したのだな?」


「はい」


 東條の言葉に杉山は頷いた。


「樺太もオハまで後三十キロの地点まで進撃しており、樺太の全土占領はもうすぐかと」


「うむ、カムチャツカ半島の方はどうだ?」


「海軍の第一機動艦隊の護衛の元で上陸を開始して主要地は占領しております」


「うむ」


 東條は頷いた。


「それとハバロフスク攻略の第三軍はそのままアムール川を下って間宮海峡までの主要地占領を目指しています。それと第一はチタ郊外まで進出してソ連軍と戦闘中です」


 関東軍は部隊を分けていた。満州里方面の部隊は第一軍、ブラゴヴェシチェンスク方面は第二軍、ハバロフスク方面は第三軍、ウラジオストク方面は第四軍と日露戦争を思わせるかのように分けていたのだ。


 更に関東軍は内地からの増援をもらい第五軍、第六軍、第七軍の三個軍の予備軍がいた。


「辻には油断するなと伝えろ。相手はソ連軍であり日露戦争のクロパトキン大将ではないのだ」


「分かりました」


 杉山は頷き、部屋を退出した。


「……あの時のようなイギリスやアメリカが我々に味方する事はない。今度は我々だけでソ連を破るしかないのだ」


 東條は一人そう呟いた。





「え? 会えない?」


「会えないというより、厳密に言えば楠木少佐はここ最近は泊まってないのです」


 クロエの言葉を補足するように受付の尉官は言う。


「楠木少佐は五日前までは宿泊していましたが、それ以降は此処へ宿泊に来ていません」


「……分かりました」


 クロエは受付に頭を下げて水交社を後にした。


「どうだった?」


「……駄目よ。五日前からいないんだって」


 出迎えた桜花にクロエはそう言った。


「そうか……」


 桜花はそう呟くと後は無言であった。


 そして二人は哀愁が漂う雰囲気を出しながら横須賀へ帰るのであった。








―――チタ郊外―――


 チタ周辺に日本軍の工作隊が構築したトーチカの砲台や機関銃座、戦車豪などが見受けられている。


 そして、チタの北西部からソ連軍がいた。


 チタには約二十五万の部隊が集結している。


 対してソ連軍は約八十万で主力は歩兵である。


『ウラーーーッ!!』


 ソ連軍の歩兵が叫び声をあけまながら総攻撃を開始して、122ミリ榴弾砲M-30、152ミリ榴弾砲ML-20等の重砲が一斉に砲撃を開始する。


「敵ソ連軍が総攻撃を仕掛けてきますッ!!」


「重砲隊撃ち方始めェッ!!」


 日本軍の重砲隊である九六式十五センチ榴弾砲や九二式十センチ加農砲、機動九〇式野砲等が一斉に砲撃を開始する。


「戦車第九連隊を投入しろッ!!」


 チタ防衛軍司令官の佐藤幸徳中将は指示を出す。


 なお、彼の配下にある第三十一師団長は宮崎繁三郎中将である。(史実の功績によって昇進している)


「行くぞッ!! 露助共を蹴散らすんだッ!!」


 戦車第九連隊長の五島正大佐は三式中戦車の中で指示を出す。


 戦車第九連隊は、中隊長車は新型の三式中戦車だが他はまだ九七式中戦車改で全ては更新していなかった。


 しかし、九七式中戦車改でも初期型のT-34中戦車には十分に対抗出来たのである。


「チハが来たぞッ!!」


「戦車第九連隊だッ!! 行けェッ!! 露助をやっつけろォッ!!」


 塹壕で十二.七ミリ機関銃や九九式軽機関銃、九九式小銃で応戦していた兵士達は、戦車第九連隊の登場に士気が上がっていた。


「八九式重擲弾筒を撃てッ!! 俺達も粘るぞッ!!」


 ある小隊長の言葉に八九式重擲弾筒の部隊が次々と榴弾を発射する。


 榴弾が命中した付近にいたソ連軍兵士は四肢を吹き飛ばされたりして地面に叩きつけられたりする。


「撃て撃てェッ!!」


ダダダダダダダダダダッ!!


 空になった弾薬箱を取り替えた十二.七ミリ機関銃の兵士がコッキング・ハンドルを前後に戻す操作を二回繰り返して押し金を押して射撃を開始する。


「さっさと帰れ露助ェッ!!」


 その時、ソ連軍の方角からYak-7戦闘機やYak-1戦闘機などが接近してきた。


「敵戦闘機だッ!! 散開しろッ!!」


 五島大佐が叫ぶ。


ダダダダダダダダダダッ!!


 ソ連軍の戦闘機が機銃掃射していく。


「畜生ッ!!」


タタタタタタタタタタッ!!


 九九式軽機関銃を操作する兵士が自分に向かってくるYak-7戦闘機に照準して引き金を引く。


「そんな豆鉄砲で戦闘機に立ち向かうのは無謀過ぎるぞヤポンスキーッ!!」


 Yak-7戦闘機のパイロットはニヤリと笑って引き金を引こうとした。


キランッ!!


ダダダダダダダダダダッ!!


「ガァッ!?」


 その時、Yak-7戦闘機の上方から陸軍の疾風が急降下をしてYak-7戦闘機に機銃弾を叩き込んだ。


 Yak-7戦闘機はパイロットを撃たれて、フラフラしながら地面に激突をして爆発した。


「あれは疾風ッ!! 飛行第六四戦隊かッ!!」


 九九式軽機関銃を抱えた兵士は上昇していく飛行第六四戦隊に所属する疾風を見つめた。





「よし、これでまた一機増えたぞ」


 上昇していく疾風の操縦席で檜中尉が呟く。


『無茶はするなよ檜』


 高度二千で水平飛行に移した檜機の後方から一機の疾風が来た。


「分かってますよ黒江さん」


『分かってるならいい。檜、あのYak-1戦闘機をやるぞ』


 黒江少佐の指指す先に、地上へ機銃掃射しているYak-1戦闘機二機がいた。


「了解です黒江さん」


 檜中尉は操縦桿を倒して再び急降下に入った。


 二機のYak-1戦闘機の後方に一気についた。


「落ちろォッ!!」


 檜機が放った十二.七ミリ機関銃弾がYak-1戦闘機のエンジンに命中して、Yak-1戦闘機は地面に激突した。


 チタの空は疾風が制しようとしていた。








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