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反逆の日章旗  作者: 零戦
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第七十三話

その出来事は突然に……。






――七月中旬、ウランバートル――


「何故我が機甲師団が壊滅するのだッ!! 小日本シャオリーベンの武器はソ連軍より優れているというのかッ!!」


 モンゴルの首都であるウランバートルの中国共産党軍司令部で毛沢東は吼えていた。


「は、ソ連軍から譲渡された戦車や装甲車は何分古い物でしたので……」


「ソ連からT-34の初期型を譲渡するよう申し入れろッ!! それで機甲師団の再編は?」


「予備部隊を投入していなかったので機甲師団とはいきませんが三個大隊ほどになるかと……」


 先日、壊滅した機甲師団にはまだ予備部隊として三個大隊が存在していたが訓練途中だったので先日の戦闘には参加していなかったのだ。


「ですが国民党の後ろには小日本がいます」


「それは分かっている」


 部下の言葉に毛沢東は更に機嫌を悪くする。


「ですので日本とソ連を戦わせるのはどうですか?」


「何?」


 部下の言葉に毛沢東は目を見開いてニヤリと笑う。


「そうか……その手があったな」


「ソ連も満州を欲していると聞いています。なら此方から仕掛けてすれば……」


「上手く日ソが争うわけになるな……面白い……面白いじゃないかッ!!」


 途端に機嫌を良くする毛沢東である。


「直ぐに工作員を募れ。成功した者には莫大な恩賞を与えるとな」


「分かりました」


 こうして日ソの両者が知らないところで、後に起こる日ソ戦争の話し合いが行われていたのである。





 数日後、満ソの国境に近い満州里からソ連側に向かった列車とソ連から満州側に向かった列車がソ連内で脱線する事故が発生した。


 この脱線事故で民間人の死傷者は百五十人程にまで上った。事故はレールが何者かに爆破されていたのが原因だった。


 ソ連側も満州側も何もない場所で爆破されるなど不自然な点は多数見つかっているの満ソも両者が怪しいとなっていたが、この時事故の発端を目撃した中国人労働者を発見したのだ。


 中国人労働者の証言によれば日本語を話した小隊程度の日本軍の部隊がレールを爆破したというのだ。


 この証言でソ連側は大いに反発し、日本側に対して謝罪と賠償金の請求をした。


 これに対して日本側は全くの寝耳に水の状態だった。


「誰がこんな事をしたんだッ!!」


 集まった会合で東條はキレていた。出席していた将樹や山本達も同様に憤慨していた。


「まさか陸軍の強硬派が動いたんじゃ……」


 将樹は東條にそう聞いたが東條は首を横に振る。


「そんなバカな。奴等の手綱は我々が握っている」


「……ソ連の国境線はどうなっている?」


「国境線に多数のT-34中戦車等を確認している。このままでは計画予定の八月侵攻は早めるかもしれん」


 杉山はそう呟いた。


「三式中戦車の配備はどうなっている?」


「現在、満州には三個戦車師団がいるが殆どが三式中戦車に更新している。また、必要あらば台湾と沖縄にいる四個戦車連隊を満州に移動させるがこの四個戦車連隊は九七式中戦車改だから更新は必要かもしれん」


 山本の指摘に東條はそう答えた。


「海軍だが、ウラジオストク攻略のために第二機動艦隊をカムチャツカ半島攻略には第一機動艦隊を当てようと検討している。それに第五航空艦隊を満州に派遣する検討もしている」


 海軍代表として堀長官が山本にそう報告する。


「……つまり陸海軍は何時でも戦える準備は出来ているというわけか……」


 山本は腕を組み、そう呟きながら天井を見る。そこに答えがあるかのように……。


「……分かった。ソ連侵攻作戦を御前会議に発言しよう。陛下の許可が出れば作戦は開始する。決行日は何時にするかね?」


 山本はそう決断して将樹に聞いた。


「……八月八日でいいでしょう」


「……史実ではソ連軍が満州に侵攻する日か。逆に日本がシベリアに侵攻するのか……面白いじゃないか」


 東條はニヤリと笑う。


「ギリギリまで交渉は続けましょう。我々は無実ですから」


「そうだな。それとドイツとイタリアにも作戦日を教えておこう」


「そうですね。西と東から同時に攻め込んだ方が案外やりやすいかもしれませんしね」


「うむ。兎に角初戦で制空権を此方の物にする必要がある」


 東條は頷く。


「それでは作戦日までに準備をしよう」


 山本の言葉でその日の会合は終了した。






――横須賀基地――


「これが楠木君が所持していた携帯電話だ」


「……これが電話ですか?」


 司令官室には市丸少将、クロエ、そして民間人だが特別に立ち入りを許可された桜花がいた。


「あぁ。電波が無いから圏外らしいが使える事は使えるぞ」


 市丸少将はそう言ってクロエに携帯電話――スマホを渡す。


 スマホを受け取ったクロエは分からないまま操作する。


「よく分かんないけど凄い……今の日本やドイツじゃ到底作れない不可能な物だ」


 クロエは素直な感想を漏らして桜花にスマホを渡す。


 市丸少将から触るだけで動くと言われて桜花は軽く触る。


 画面は待ち受けからメール画面に変わる。


「……確かにこんなの作れないな。素人の私でも分かる」


 桜花もクロエ同様に素直な感想を言う。


「……これで楠木君が未来から来た日本人だと分かったかね?」


「はぁ、一応は……」


「ハハハ、素直な感想だな。私は此処までお膳立てをした。先日に石原大尉にも言ったが後をどうするかは君達次第だ」


 市丸少将は二人にそう言った。










御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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