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反逆の日章旗  作者: 零戦
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第七十二話






 桐野家を後にした将樹だったが既に時刻は夜中の一時を指していた。


「……仕方ない。横空で一夜を過ごすか」


 将樹はそう決めた。この時、横須賀航空基地には司令官として市丸少将がいた。


 市丸少将は前から将樹の事を知っていたので一泊の宿泊に快く快諾した。


「一体どうしたのかね? 君は桐野少佐の家に下宿していたのだろう?」


 熱燗と御猪口を持ってきた市丸少将は将樹に聞いた。


「それが桐野少佐の妹さんや石原大尉にバレたので全てを話したら……」


 将樹は経緯を説明する。


「成る程なぁ、彼女らの気持ちは分かるがな……」


 市丸少将はそう呟いた。


「それでこれからはどうするのかね?」


「暫くは水交社で寝泊まりをする予定です」


「そうか……いや、最近の若いの中々の勢いだな」


「まぁそうですねぇ」


 二人は遅くまで飲んでいた。




「楠木少佐ッ!! 朝七時ですッ!!」


「ぅ……」


 若い兵士が将樹を起こしにきた。


「……悪いけど水を一杯頼むわ。頭痛い……」


「は、分かりましたッ!!」


 飲んでいた将樹は完全に二日酔いをしていた。


「朝から大声はきついっつぅの……」


 水を飲んだ将樹は身支度を整えて朝食をとって市丸少将に一泊の礼を言って横須賀基地を出た。


 汽車に乗って東京の水交社に向かうためである。流石に二日酔いで航空機に乗るのは将樹も止めたのだ。


「……風が気持ちいいなぁ……」


 将樹は汽車に乗りながら窓を開けて外の光景を見ていた。ちなみに駅弁は購入済みである。


「東京着いたら伏見宮様に説明しとかないとな」


 将樹は駅弁(のり弁)を食べながらそう呟いた。





――海軍省――


「それでフラれたと?」


「いや別に付き合ってはないんですが……」


 将樹はそう呟く。


「全く……もっと上手く説明しておけ」


「説明下手なんですよ」


 海軍省に設けられた海上護衛隊司令部(通称海護司)で将樹は司令長官の伏見宮と話していた。


「それで石原大尉はどうするのかね? 流石に今のままで副官を勤めるのは難しいだろう?」


「そうですね。副官から横空の訓練兼テストパイロットにしてもらいますよ」


 将樹はそう言った。


「それで暫くは水交社で暮らすのだろう?」


「はい。会合の場合は水交社に電話か連絡してくれたらいきますので」


「分かった。他の奴等にもそう伝えておこう」


 伏見宮はそう言った。


「それと……呂号潜と新型伊号潜の建造はどうなってますか?」


「既に三十隻が建造中であり、十二隻が竣工して戦線に配備されている」


 日本海軍は艦隊決戦に潜水艦を投入するのは当の昔に捨てており、通商破壊に専念するようにしている。


 酸素魚雷の性能もあり、戦果は拡大している。だが、伊号潜の旧式は既に限界を越えておりその代わりに投入したのが呂号潜だった。


 中型の呂号潜は航続距離は短くなったが、日本軍はミッドウェー島を占領している事もあって今のところは問題なかった。


 また、伊号潜も新たに新型艦の建造も行われていた。新型艦は魚雷発射管六門、連装対空機銃二基、水中最大速度十六ノットと少しの性能は向上している。


 既に二五隻の同型艦の建造が計画されて、七隻が建造中であった。


 伊号潜は伊三〇〇型と命名している。


「この呂号潜と新型伊号潜で何とかしないといけないな……」


 伏見宮はそう呟いた。


「旧式艦が多いですからねぇ」


 将樹はそう溜め息を吐いた。


「第一次大戦時に日本は欧州に艦隊を派遣してUボートと戦ったはずなのにそれを軽視してしまった我々の責任だな」


 伏見宮はそう言う。


「それは仕方ありません。当時の日本はまだ日本海海戦の影響もあった事ですし……」


「それはそうだがな……」


 伏見宮はそう言って注がれていた御茶を飲む。


「艦艇が揃うまでアメリカが仕掛けてこない事を祈るよ」


「……絶対に無理ですね……」


 将樹は再び溜め息を吐いた。





――横須賀基地――


「石原、入ります」


「おぅ」


 司令室にクロエが入る。


「実はお前に辞令が来ている」


 市丸少将はそう言って紙を渡した。


「……自分をマサキの副官から横空の訓練兼テストパイロットにするんですか?」


「あぁ。上からの命令だ」


「……マサキが言ったんですか?」


「あぁ。楠木少佐はもう君らとは会わないそうだ。昨日飲みながら言っていたよ」


「ですがッ!! マサキは私達に……」


「携帯電話を見せられても楠木少佐が未来人だとは信用しなかったのかね?」


「携帯電話? 何ですかそれは?」


「……ちょっと待て。楠木少佐は君らに携帯電話を見せなかったのかね?」


 話が食い違う事に気付いた市丸少将はクロエにそう聞いた。


「はい。ただ話だけですが……」


「……それはそうなるな……」


 市丸少将は溜め息を吐いた。


「携帯電話では楠木少佐が来た当時から所持していた物だが……今度技研から回しておこう」


「はぁ」


「ま、修復は自分らで頑張るようにな」


 市丸少将はそう言った。










御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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