第七十話
「んぅ〜よう寝たわぁ」
将樹が目を覚ます。時刻は既に夕方の五時を指していた。
「……身体もダルくないし風邪も大丈夫かもな」
将樹はそう言って辺りを見渡す。そして見慣れた本を見つけた。
「あれ? はつ○連合艦隊とあ○しずの本が何で落ちてんのや?」
枕元に二つの本が落ちていたのだ。
「まぁええか」
将樹はあまり深く考えない事にした。
「桜花とクロエはおるかな……」
将樹はいつも五人で食事をする部屋に行く。襖を開けると桜花とクロエがいた。
「ま、将樹。もう具合は良いのか?」
「あぁ。取りあえずは大丈夫やな」
「そ、そう。それなら良かったわ」
「ん?」
将樹は二人の違和感があると感じた。
「どうかしたのか?」
「い、いや何でもないぞ」
「そ、そうね。何でもないわね」
やはりおかしい二人であった。
その後、食事の時間となり、二階から桐野少佐とナターリャも降りてきた。
「いやぁ……はは」
桐野少佐は若干痩せ干そっていて、逆にナターリャの顔はツヤツヤとしていた。
まぁヤってたからね。え? 何をヤったのか? それは言ったら作者が怒られるから言わないがな。
「(このリア充め……)」
将樹は目線で人を殺せたらと思っていたりしている。
しかし、食事が始まれば空気は一変し、いつの間にか葬式に参加している雰囲気になっていた。
「(何やこの空気は……)」
「(お、俺何かしたか?)」
「(二人が怖いデス……)」
原因は桜花とクロエだった。
「「………」」
二人ともどんよりとした空気を発して食事をしていたのである。
「……此処も腐海に飲み込まれたか……」
将樹はあまりの雰囲気に某ネタを呟いていたりする。
「……なぁ桜花とクロエ。ほんまにどうしたんや?」
将樹はネタを呟いた後に意を決して二人に聞いた。
「……ねぇ将樹」
「何や?」
クロエが口を開いた。
「「貴方は一体何者?」」
二人は同時に将樹にそう言った。
「え……?」
流石の事に将樹も慌てる。
「な、何者って……俺は日本人やけど。こんなアメリカ人やソ連人がおるか?」
「そうじゃないんだ将樹」
「そうよ。貴方は……」
リリーンッ!! リリーンッ!!
その時、桐野家の黒電話が鳴った。
「………」
桜花は何かを言いたげな表情をしながら電話を取りに行く。
「はい桐野です……えッ!?」
電話に出た桜花が驚いた。
「……どうした桜花?」
「……伏見宮様から電話が来ているんだが……」
「「はぁッ!?」」
桜花の言葉に将樹と桐野少佐は驚き、将樹は桜花から受話器をもらい代わった。
「御電話代わりました楠木です」
『おぉ楠木か。悪いが急いでいつもの会合場所に来てくれないか』
よく聞けば伏見宮の声は急いでいる感触があったのを将樹は感じた。
「……何かあったのですか?」
『……モンゴルに亡命していた中国共産党軍が機甲師団を率いて中国へ侵攻したみたいだ』
「えぇッ!?」
伏見宮の言葉に将樹は驚いた。
『兎に角、いつもの会合場所に急いで来てくれ。今、山本が招集をしている』
「分かりました。直ぐに参ります」
将樹はそう返事をして受話器を置いた。
「桜花、悪いけど桐野少佐と共に東京へ向かう」
「……分かった」
仕事だと分かった桜花達は頷いた。
「さっきの話もちゃんと聞くからな」
「……本当ね?」
「あぁ、俺は嘘はつかんよ」
将樹は笑い、桐野少佐と共に慌てて家を出て東京に向かったのであった。
「……本当に話してくれ……」
「……御願いね」
夕食後、将樹の部屋に来た桜花とクロエは将樹の机の引き出しからあの二冊を取り出してそう呟いた。
「現状の方はどうなっていますかッ!?」
将樹と桐野少佐は駆け込んできた。
「来たか。取りあえずは座りたまえ」
やってきた二人を見て山本首相はそう言った。
「経過は簡単に言うが、モンゴルと中国の国境線にいた国民党軍の監視部隊が突然モンゴル側から攻撃を受けたとの事だ。そして共産党軍の機甲師団が国境線を侵入したらしい」
「機甲師団ですか?」
「あぁ、情報ではソ連軍の旧式の装甲車や軽戦車等で機甲師団を編成しているとの事だ」
杉山がそう答えた。
「……ソ連の手引きですか?」
「今は情報が錯乱していて確信的な情報はないが……共産党軍が武器提供を打診していた情報もあってな」
杉山は溜め息を吐きながらそう答えた。
「それと戦闘だが共産党軍の機甲師団は国境線を侵入したのはいいが、待機していた国民党軍の第一戦車団の攻撃で壊滅的打撃を与えられたようで前哨戦は今のところは終了している」
杉山はそう報告した。
「百式軽戦車の部隊ですからね。共産党軍の機甲師団が負けるのは必然でしょうね」
将樹はそう呟いた。
「共産党軍も国民党軍が我々から武器提供されてたのは知っていたらしいがまさか壊滅的打撃を与えられるのは思いもよらなかっただろうな」
杉山は苦笑した。
「ソ連軍の動きは?」
「まだ動いてない。ソ連軍は武器提供だけに留まっただけかもしれんな」
東條はそう言った。
「問題はこれからだろうな」
伏見宮はそう呟いた。
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