第七話
今回はギャグ回です。
「……知らない……天井や……」
翌朝、目を覚ました将樹がまずしたのは某少年ネタを呟いた。
そして布団に寝かされているのを知ると海軍服に着替えて台所で朝食を作っていた桜花にジャンピング土下座をした。
「すいません桐野さんッ!! 桐野少尉の言葉通りに行ったらああなって……」
「あぁ昨日か、気にするな。私も貴方を気絶させたからな」
味噌を小さい鍋に入れてかき混ぜている桜花が言う。
「まぁ全てはこの馬鹿兄上が悪い」
桜花はそう言って床にす巻き状態だった桐野少尉の頭を蹴る。
「はぶしゅッ!!」
蹴られた桐野少尉は若干嬉しそうな表情をして気絶した。
「……Mか?」
「気にするな、何時もの事だ」
桜花はそう言って味噌汁を味見する。
「よしこれで良いだろう。済まないが茶碗を取ってくれないか」
「はいはい」
将樹はそう言って茶碗を取って桜花に渡した。
桜花は茶碗にご飯を入れていく。
「済まないが円卓に並べてくれ」
「はいはい」
将樹はそれらを並べていくが二つ分しかない。
「二つだけ?」
「馬鹿兄上はまだ寝てるからな。味噌汁を持ってくれ」
「あいよ」
将樹が味噌汁を受け取ろうとした時、黒い何かが桜花の下に現れた。
「あ、ゴキブリ」
そう、それは全国の皆さんが恐れる生物――ゴキブリだった。
「い、イヤアアァァァァァァッ!!」
「アッチャアァァァァァァァッ!!」
桜花はゴキブリを見て叫んで味噌汁が入った茶碗を落とした。
茶碗が落とした場所がす巻きにされた桐野少尉の顔に直撃した。
「うわァッ!!」
桜花は将樹に抱きついた。
「熱いッ!! 熱いッ!! 熱いッ!!」
桐野少尉は器用に転がる。
ちなみにゴキブリは当の昔に逃走している。
「油虫……怖い……」
「大丈夫ですか? 油虫はもういませんから」
将樹は桜花を落ち着かせる。
「ほ、本当か?」
「はい。なのでそろそろ離れていただきたいかと……(大きいのが当たってるんです)」
桜花のが当たっていることはあえて言わない。
「……済まない。少々取り乱した……」
桜花は状態に気付いてススッと将樹から離れる。
「それでこの馬鹿兄上は何をしている?」
桐野少尉は未だに転がっていたりする。
「ま、あんなのはほっといて朝食を食べようじゃないか将樹」
「……まぁええか」
将樹も桐野少尉はほっとく事にしたのであった。
「すいません、朝食までいただいて……」
「なに気にする事はない」
玄関まで見送りに来た桜花に将樹はそう言う。
「それでは日本のために頑張って下さい。あ、弁当を作っておいた」
「はい。何からなにまですいません」
将樹は桐野家を出た。
「あれ? 楠木少尉は?」
「今しがた帰ったところだ」
「そうか、ところで俺のメシは?」
「ない。油虫でも食べてろ」
桜花は容赦なかった。
「……グスン」
その後、参謀本部ではいじけている桐野少尉がいたとか。
「それで扶桑と山城は改装に入ったのですか?」
「あぁ、取りあえずは武装の撤去に移っている。計画では艦橋は煙突と一体化の艦橋にし、飛行甲板も格納庫上面に七五ミリの装甲を敷く予定だ」
伏見宮が将樹に説明をする。
「扶桑型、翔鶴型、そして計画中の大鳳型はアングルドデッキにするようにしている」
なお、アングルドデッキは空母アンティータムのようなアングルドデッキにしている。
「航空隊の指揮官の教育はどうなっていますか?」
史実の南雲中将のように航空艦隊の司令長官に素人に任せるなど到底してはいけない。
将樹は海軍の年功序列制度を廃止して将官の能力が十分に発揮出来るよう実力制度をするべきと主張しているが、海軍は難色を示している。
「ならば将官の頭を変えてやる」として航空勉強会としておきながら実質は航空畑を育てる勉強会を開かせている。
主に講師役は航空畑の人間であり、山本中将や大西大佐、市丸大佐、塚原中将等が生徒(将官達)に航空を教えている。
特に南雲中将や山口大佐、小沢少将等を重点的に教えさせている。
「大分多くの人間も航空の事には関心を持つようになってきている」
「それならいいですけど、せめて土佐実験前に来れたらよかったです。そうなれば幾分かは楽になりますし」
「確かにな。まぁ仕方ないだろう」
伏見宮はそう言った。
「そろそろ昼だがメシはどうするかね?」
「あ、大丈夫です。弁当がありますので」
将樹はそう言って弁当箱を出した。
「昨日泊めてもらった桐野少尉の妹さんから貰いまして」
「ハッハッハ、中々抜け目はない奴だな」
伏見宮が笑う。
「いやあの、別に妹さんを狙ってるわけではないんすけど……」
「ならばそう言う事にしておこう」
伏見宮はそう言って部屋を出た。
「……そりゃあ、あんな人が嫁さんに来たらええけどな。まぁ夫婦喧嘩は負けるやろな」
まずす巻きにされるであろう、桐野少尉みたいに。
将樹はそう思いつつ弁当を食べるのであった。
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