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反逆の日章旗  作者: 零戦
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第六十五話






――四月下旬オアフ島沖合い――


 後もう少しでオアフ島へ到着する輸送船団がいた。それはオアフ島へ物資や重油を運ぼうとしている輸送船団である。


 その輸送船団を海中から覗く者がいた。


「……アメ公の輸送船団だ。魚雷戦用意」


 潜望鏡を覗いていた伊号潜水艦の艦長は静かに部下に指示を出す。


 魚雷室では魚雷係が魚雷発射菅に九五式酸素魚雷1型を装填する。


「準備完了ッ!!」


 魚雷長が伝声管で艦長に伝える。


「敵速十二、距離四千……撃ェッ!!」


 伊号潜水艦の前部魚雷発射菅から六本の九五式酸素魚雷1型が発射される。


「急速潜航ォッ!! 深度八十ッ!!」


 伊号潜水艦は海水をメインタンクに入れて海中深くに潜航していく。


 それから少し時間が経つと、ドーンドーンと命中音が聞こえてきた。魚雷命中の証である。


「僚艦はどうしているでしょうか?」


 副長が艦長に聞いた。


「今頃は魚雷をぶっぱなして潜航しているさ」


 艦長は副長にそう言った。


「敵駆逐艦接近しますッ!!」


 聴音手が叫ぶ。


「無音航行に入れ」


 艦長は指示を出す。


 伊号潜水艦が無事に駆逐艦からの爆雷攻撃から逃れられたのは二時間後の事だった。





――オアフ島太平洋艦隊司令部――


 開戦時に太平洋艦隊司令部は爆撃されてキンメル司令長官を失った。司令部はその後はホテルを徴用して使用していたが再建されたので元の場所に戻っていた。


「それで……輸送船団の被害は?」


「は、タンカー二隻、貨物船三隻、駆逐艦三隻が撃沈されました」


「……ジャップのサブマリンか……」


 太平洋艦隊司令長官のニミッツ大将はそう呟いた。


「先日のオアフ島空襲といい、ジャップはハワイを狙っているのか?」


 二日前、オアフ島はミッドウェー島から飛来した二式大艇二七機によるハワイ空襲を受けていた。日本からの名称は第二次真珠湾攻撃と呼ばれている。


 この攻撃は払暁に行われ、途中で伊号潜水艦からの燃料提供されながら低空飛行でオアフ島に侵入。停泊していた戦艦サウスダコタに二百五十キロ爆弾三発、空母エセックスに四発を命中させ、更に一部の燃料施設も爆撃して炎上させた。


 完全な奇襲攻撃であったため、二式大艇部隊は対空砲火を受けずにミッドウェー島に全機帰還する奇跡が生まれたりしている。


「輸送船団の被害もこれで八回目です。乗組員達もジャップのロングランスを恐れています」


「……これがハワイ侵攻の前哨戦かもしれんな……」


 ニミッツ長官は報告書を見ながら呟いた。


「兵士達の間ではハワイは捨て石かもしれないと噂されています」


「……漸くエセックス級が完成したのに先日の空襲でエセックスが損傷しているからな」


 この時オアフ島にはエセックス級空母三隻が停泊していたが、一番艦のエセックスは先日の空襲で損傷して修理中であった。


「ジャップはオーストラリアとニュージーランドを占領した。オーストラリアは資源が豊富だから十分な艦艇を集めてくるぞ」


 ニミッツ長官はそう言った。日本海軍は先にニュージーランドを爆撃してニュージーランドを空襲だけで降伏させていた。


 勿論、空襲後に日本政府がニュージーランドに和平停戦を促し、ニュージーランド政府は和平停戦に合意した。


 これに危機感を感じたオーストラリアは抗戦派と和平派に分かれて論議をかます事になるがその直後に第一機動艦隊と第二機動艦隊がシドニーとメルボルン、そして首都のキャンベラを空襲して抗戦派の戦意を喪失させた。


 そしてオーストラリアのカーティン首相は降伏を決断して日本側にそう呼び掛けた。


 日本政府も降伏を受諾して四月中旬に東京で講話条約が結ばれた。


 主な内容だが、オーストラリアとニュージーランドはイギリスから脱退して独立し、大東亜共栄圏の同盟国として参加する。


 日本はマレー半島などで捕虜にしたオーストラリア、ニュージーランド兵士を解放して二国に送還する。


 オーストラリアは日本に対して資源を提供する。ただし戦争が終了するまでで、終了後は対等に貿易を行う。


 とした内容であった。


 オーストラリアやニュージーランドも日本に絞り尽くされる事を懸念していたが、それが無いことに安堵の息を吐き、国民は捕虜になった家族や親友が帰ってくる事に喜んだ。


 オーストラリアとニュージーランドの連邦脱退にチャーチルは怒り狂ったが本土が危ないのにおいそれと艦隊を派遣出来なかった。


 アメリカにとって唯一の救いはオーストラリアにいたマッカーサーがフィジー諸島に脱出した事であろう。


「ジャップはオーストラリアを手中にした。なら次は此処ハワイだ。ハワイは何としても死守せねばならん」


 キング海軍長官はそう言って大量の物資やガソリン、航空機、戦車をハワイに運んでいたが輸送船団を狙う伊号潜水艦の格好の的であった。


「出来るだけハワイの防備を固める。それしかないだろうな」


 ニミッツ長官はそう呟いた。


 伊号潜水艦に狙われるも多くの部隊がハワイに配備されている。それだけで日本の侵攻を止められるか……。


 ニミッツ長官は溜め息を吐いた。








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