第六十話
後半から数話先は史実では有り得ない人がかっこよくなります。いやぁ酒飲みながら書いたら止まらない止まらない(笑)
――三月上旬東京――
「……地中海は完全にドイツとイタリアの物となった。これでドイツ海軍に旧式戦艦を売却出来る。勿論タダではないがな」
山本の言葉に会合に出ていた全員が苦笑する。
「回航しにきたドイツ海軍の乗組員も順調に訓練をしています」
日本には、ドイツ海軍所属の乗組員が売却するイギリス旧式戦艦で訓練をしていた。
これはUボートで送られたり、イタリアを経由して輸送船で来たりする者もいた。
「最初に売却する戦艦は何ですか?」
「訓練が早くに終了したリベンジだ。それとロイヤル・ソブリンだな」
機関の交換(約十万馬力)と武装を撤去して船体が軽くなった事により最大速度は三一ノットを記録している。
勿論、武装を搭載すれば重くなるのは必然?であり、艦本の予想では二七ノット辺りになるだろうと試算している。
「しかしキールまではどうやって行くつもりだ? まさかドーバー海峡を無理矢理突破するのか?」
「……海空が協力すれば可能性はありますね」
将樹が呟いた。
「あるのか?」
「既に史実とは離れていますし、無理なものが出来るかもしれません」
「……一理はあるな」
実際、ドイツ海軍はドーバー海峡の突破を目指していたりする。
――ベルリン総統官邸――
「ゲーリング君、ドイツ空軍は海軍と協力して日本から売却されてくる戦艦の護衛をしてもらいたいのだ」
空軍元帥のゲーリングは総統官邸に呼ばれるとヒトラーに開口一番にそう言われた。
「ヤ、ヤーッ!! 総統の命令に従います」
総統の命令に逆らえないゲーリングは即座に了承した。
「ゲーリング君、君の空軍は北アフリカに投入していた航空部隊を東部戦線に送り込む予定であったな?」
「は、はい。総統閣下の御命令ですので移動の準備をしていましたが……まさかッ!?」
「そうだ」
ヒトラーはニヤリと笑う。
「北アフリカの航空部隊をフランスに移動させて、イギリス南部の空軍基地及びレーダー基地等の主要基地を攻撃してイギリスの航空部隊を飛ばなくさせるのだ。その間に戦艦群がドーバー海峡を突破してキール軍港へと向かわす」
ヒトラーはドーバー海峡を突破するために空軍によるイギリス南部空襲を命令したのである。
「この作戦にはイタリア空軍も参加する予定だ。ムッソリーニに要請したらすんなり同意してくれたよ」
ヒトラーはそう言う。
「分かりました」
ゲーリングは不満だったが折れた。
こうして海軍と空軍の合同による戦艦のドーバー海峡突破作戦が準備されるのであった。
一方、将樹と桐野少佐は一〇〇式司令部偵察機に乗って満州国の首都新京郊外の関東軍航空基地に着陸した。
「……まさか満州に行くとはな……」
一〇〇式司偵から降りた将樹はそう呟く。
「わざわざ満州にまで来てくれてありがとう楠木少佐、桐野少佐」
二人を出迎えたのは関東軍作戦参謀の辻政信中佐だった。
「初めまして辻中佐」
二人が辻中佐に敬礼をする。
「堅苦しい挨拶は無しだよ。車を用意してある」
二人は辻中佐を先頭にして用意された車に乗り込み、車は発進する。
「一応、君達は前線の視察としてある」
「何から何まですみません」
「いやなに、君達のおかげで私は気付けるものがあったよ」
辻中佐は苦笑する。
「満州国の発展はどうですか?」
「工場移転もあるせいか、工業力が伸びてきている……問題はソ連の侵攻を警戒だがな」
満州国は、日本から工場移転が多かった。
特に小銃や野砲、戦車、航空機の工場移転が多い。
九七式中戦車改も、満州に配備する部隊は満州国の工場で生産して配備させている。
また、九七式中戦車改の車体に九一式十サンチ榴弾砲を搭載した二式砲戦車や同じく九七式中戦車改の車体に九六式十五サンチ榴弾砲を搭載した二式自走砲も満州の工場で生産されて配備されている。(日本国内でも生産されているが……)
「何しろ満州の仮想相手国はソ連ですからね」
「海軍の彗星を襲撃部隊に更新させているが……防ぎきれるかどうか……」
辻中佐がそう呟く。
「まぁ今のところでの満州侵攻は無い。諜報員が頑張って情報を逐一報告が来ている」
辻中佐はソ連の内情を探るために、満州国に亡命してきた多数の白系ロシア人等を使って探っていた。(志願制ではあるが……)
日本人だと向こうも用心をするが同じロシア人だと諜報員が見分けもつかないので向こうも分からないのだ。
「それでも犠牲はある。申し訳ないと思うがな……」
辻中佐は済まなさそうな表情をする。
「仕方ありません。それを選んだのは彼等です」
将樹はそう言った。将樹だって神ではない。救えない人だっているのだ。
「暗い話になったな。そろそろ昼だ、メシでも食べよう。近くに人気の食堂があるのでな」
辻中佐はそう言って運転手に行き先を告げた。
「此処が新京で有名な食堂だ」
着いた食堂は日本人が経営している大衆食堂であった。
「Здравствуйте (ズドラーストブィチェ)。あ、辻サン」
食堂に入ると、一人のロシア人女性が割烹着を着て料理を運んでいた。
「やぁナターリャ」
辻中佐が挨拶をする。
「彼女はナターリャ・ヤキーワン。亡命ロシア人女性だ」
辻中佐は将樹達に紹介する。
「どもっす」
「……………」
将樹はナターリャに頭を下げるが桐野少佐は何も言わなかった。
「桐野少佐?」
将樹が桐野少佐を見ると、桐野少佐は顔を若干赤くしながらナターリャを見ていた。
「………(ニヤリ)」
桐野少佐の事態を察した将樹はニヤリと笑った。
「………(惚れてるな)」
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