第五十九話
二月中旬、南遣艦隊の角田機動部隊はエジプトのアレクサンドリア港に停泊していた。
勿論これは日独伊の三国共同によるマルタ島攻略作戦の支援のためにエジプトまで来ていたのだ。
マルタ島を攻略すれば、地中海におけるイギリス軍の拠点は地中海の出入口になるジブラルタルしか残っていない。
角田機動部隊の護衛艦艇は第六戦隊と一個水雷戦隊であり空母は龍驤、飛鷹、隼鷹、銀龍、紅龍、瑞穂、日進の七隻である。
南雲中将の南遣艦隊はジブチにて待機している。
また、共同作戦なので陸軍の部隊も参加しており、九七式中戦車改一個小隊(四両)、九七式中戦車一個中隊、野砲六門、一個連隊が参加していた。
ドイツ軍は兵力三万五千で四号戦車長砲身型を二個連隊規模。イタリア陸軍は同じく兵力三万五千とP13/40中戦車が一個連隊規模の参加である。
更にイタリア海軍が全部隊が参加している。
「二回目の共同作戦だが、マルタ島は占領せねばならんな……」
空母隼鷹の艦橋で角田中将はそう呟いた。
既にマルタ島にはシチリア島から飛来するドイツとイタリア軍航空部隊による空爆が続いている。
「油断は禁物だな」
角田中将はそう呟いて、停泊する機動部隊を見つめた。
そして二日後、角田機動部隊と日本陸軍の輸送船団はアレクサンドリアを出撃してイオニア海を目指す。タラントから出撃してくるイタリア海軍の艦隊とドイツ軍とイタリア軍の輸送船団と合流するためでもある。
「対潜哨戒機を飛ばしておけ」
艦隊の上空は常に零式水偵か、瑞穂、日進の九七式艦攻が爆雷を搭載して飛行している。
だが、イギリス軍の潜水艦からの接触は無く、無事にイオニア海へ到着して待機していたドイツ、イタリア軍と合流した。
そして三国の艦隊と輸送船団はマルタ島へ向かう。
勿論、イギリス海軍もこれを察知していたが動こうにも動けなかった。
日本の機動部隊には猛将としてイギリス海軍で恐れられている角田中将がおり、安易に動けばジブラルタルにいるH部隊が壊滅するのは明らかだと分析していたのだ。
そのため、マルタ島からの撤退も検討していたのだが撤退が始まる前に日独伊の三国の艦隊がマルタ島に接近してきたのだ。
カタリナからの報告にジブラルタルのH部隊は出撃しようとした。
この時のH部隊の戦力は巡洋戦艦レナウン、戦艦ネルソン、空母イラストリアスくらいの中規模の打撃部隊しか無く、チャーチルはマルタ島の放棄を決定して出撃を取り止めさせたのであった。
「一歩ずつ……一歩ずつやられようとしている」
チャーチルはどうする事も出来ずに溜め息を吐いた。
そして艦隊がマルタ島に近づき、角田機動部隊から攻撃隊が発艦した。
「……ドイツやイタリア空軍は徹底的に叩いたようだな」
攻撃隊指揮官の松前少佐はマルタ島の軍港や航空基地を見ながら呟いた。
マルタ島の航空戦力は連日によるドイツ、イタリア空軍の攻撃による航空戦力は壊滅状態だったのだ。
「よし、俺達で引導を渡してやるぞッ!!」
松前少佐は操縦桿を倒して目標目掛けて九九式艦爆は一気に急降下を開始した。
「……日本陸軍初の欧州上陸だな。気合い入れてやらないとな」
戦車揚陸艇に乗る九七式中戦車改の戦車長はそう呟いた。
角田機動部隊の攻撃隊が終了すると、イタリア海軍の艦隊と第六戦隊がマルタ島に接近して艦砲射撃を開始した。
その間に輸送船団から上陸部隊の舟艇が発進する。
上陸舟艇が海岸に近づくと艦砲射撃は中止して角田機動部隊から援護の攻撃隊が発艦する。
そして上陸舟艇がマルタ島の海岸に接岸した。
「行くぞォッ!!」
九七式中戦車改が始動して海岸に上陸する。
「撃て撃て撃てェッ!! ジャップとジェリーを海岸で倒せェッ!!」
生き残っていた防御陣地から攻撃が開始される。九七式中戦車改は砲弾を榴弾に代えて砲撃する。
「戦車隊はまだ来ないのかッ!?」
イギリス軍の小隊長が叫んだ。
それに呼応するかのようにイギリス軍の巡航戦車クルセイダー、歩兵戦車マチルダ、M3グラントがやってきた。
「ジョンブルとアメ公の戦車だッ!!」
装填手は徹甲弾を装填する。
「撃ェッ!!」
九七式中戦車改の四八口径七五ミリ戦車砲が火を噴く。
砲弾は巡航戦車クルセイダーの前部装甲を貫き、クルセイダーを停止させる。
「ヤーパンの戦車に負けるなッ!!」
続いて上陸してきたドイツ陸軍の四号戦車長砲身型も戦闘に加わる。
海岸には続々と三国の兵士が上陸してきて部隊を整える。
マルタ島のイギリス軍守備隊は海岸での戦闘に負け、内陸部へと下がるが角田機動部隊からの攻撃隊が防御陣地や戦車部隊を襲い防御線が崩壊していく。
結局、マルタ島のイギリス軍守備隊が白旗を掲げるのは上陸してから二週間後の事であった。
これにより、地中海のイギリス軍の拠点はジブラルタルのみとなってほぼ地中海はドイツとイタリア軍の手中となる。
これに気を良くしたヒトラーはスペインのフランコに対して連合国側への参戦要請をして枢軸国側へ入らせようと工作を始めた。
スペインのフランコも枢軸国の優勢に遂に重い腰を上げて連合国側へ宣戦を布告した。
これに驚いたイギリスは即座にジブラルタル基地から撤退をし、撤退したジブラルタル基地にスペイン軍が占領した。
地中海は完全に枢軸国側へと移譲したのであった。
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