第五十七話
チハたん大活躍。
山口中将を司令長官とした第二機動艦隊はニューカレドニアから発進した敵攻撃隊の猛攻を凌いで反撃のための攻撃隊を二波に分かれさせて発艦させた。
「敵艦艇は駆逐艦や補給艦くらいしかいないな……」
攻撃隊の艦爆隊隊長をしている江間少佐が呟いた。
カク親分こと、高橋中佐は練習航空隊の教官をしていた。
また教官の期間が終われば航空参謀か、航空隊に戻されるらしい。
「仕方ない。爆弾は勿体無いが沈めてしまおう」
江間少佐はダイブブレーキを開いて、高射砲が火を噴く対空砲火の中に急降下爆撃を開始した。
「ゴームレー長官、このままではニューカレドニアはジャップに占領されてしまいます。此処は脱出をするべきです」
一人の参謀が南太平洋地区司令官及び南太平洋部隊司令官であるロバート・リー・ゴームレー中将にそう具申した。
「ハワイのニミッツ司令長官もフィジー諸島方面に脱出するよう指示が出されています」
「……分かった。部下達には申し訳ないが脱出しよう」
ゴームレー長官はそう決断した。
そしてゴームレー長官達一行は、空爆が終了後に隠していたガトー級潜水艦に乗ってニューカレドニアを脱出して無事にフィジー諸島へ辿り着く事が出来たのである。
司令官が脱出したニューカレドニアは軍港、航空基地を徹底的に叩かれ破壊され尽くしていた。
司令官がいないのに気付いてニューカレドニア守備隊は徹底抗戦の構えをしていた。
そして海上、航空戦力を破壊したニューカレドニアに上陸船団が殺到するのである。
上陸船団には第一戦隊から分離した戦艦大和と武蔵がいた。
武蔵は今回が初陣である。
「支援砲撃開始ッ!!」
「撃ェッ!!」
大和と武蔵から一斉に砲撃が開始された。
弾種は勿論三式弾である。
二隻から発射された三式弾は次々とニューカレドニアの大地に突き刺さって対象物を炎上させる。
兵士達は消火させる前に自分達が逃げるだけで精一杯なのだ。
そのため、兵士達は二隻の艦砲射撃が終了するまでは防空壕に逃げておくしか出来なかった。
漸く二隻の艦砲射撃が終了し、上陸船団から第一波の上陸部隊が多数の大発に乗って押し寄せてくる。
また、新しく竣工した戦車揚陸艦もこの作戦に参加しており、第一波の九七式中戦車改を吐き出していた。
「ジャップが上陸してくるぞッ!! 対艦砲は砲撃開始だッ!!」
艦砲射撃から生き残っていた対艦砲が一斉に砲撃を開始した。
しかし、砲撃を開始した対艦砲も第二機動艦隊から発艦した彗星や九七式艦攻の爆撃に合い、大発を破壊する前に破壊されてしまう。
そしてニューカレドニアの海岸に九七式中戦車改が上陸した。
「ジャップのタイプ97だッ!! 対戦車砲ファイヤーッ!!」
アメリカ軍の三七ミリ速射砲が九七式中戦車改を砲撃するが、砲弾は九七式中戦車改の装甲を貫く事は出来ず、跳ね返してしまう。
「アメ公め、今度は此方の番だッ!!」
戦車長は砲弾を榴弾に変えて、三七ミリ速射砲の陣地を砲撃する。
榴弾は速射砲員に致命傷を与えて沈黙させる。
その間に兵士達を乗せた大発が海岸に接岸して兵士達を吐き出していた。
「チハ改の後ろにつけッ!! チハ改の突破を援護しろッ!!」
小隊長が叫びながら敵陣地に九九式軽機関銃で撃ちまくる。
「チハ改の前方からシャーマンッ!!」
九七式中戦車改の前方からニューカレドニアにて追加装甲を施したM4中戦車(前部装甲八五ミリ)八両が接近してきた。
「これ以上の進撃はさせないぞジャップッ!!」
M4中戦車隊は五両の九七式中戦車改に砲撃するが、砲弾は跳ね返された。
「くたばれアメ公ッ!!」
三八口径から四八口径に新造した七五ミリ戦車砲が火を噴いた。
砲弾は追加装甲を施したM4中戦車を貫いて、行動を停止させる。
「あのジャップのタイプ97は戦車砲が長いッ!! 新型戦車だッ!!」
M4中戦車の戦車長が叫ぶ。
「側面だッ!! タイプ97の側面を狙えッ!!」
M4中戦車隊は九七式中戦車改の側面に移動しようとするが、九七式中戦車改はそれを見逃さない。
「させるかァッ!!」
九七式中戦車改は最大速度でM4中戦車隊に迫る。
「なッ!? 新型戦車は速いぞッ!!」
「撃ェッ!!」
至近距離で九七式中戦車改が撃ちまくる。
装甲を貫かれたM4中戦車が次々と行動を停止していく。
「撤退だッ!! 撤退するんだッ!!」
遂にM4中戦車隊は後退を始めた。
その間に海岸では後続の九七式中戦車改や九七式中戦車、百式軽戦車が陸揚げしている。
上空では爆弾を搭載した彗星や九七式艦攻が乱舞していた。
アメリカ軍の海岸の防衛線は完全に崩壊していたのである。
上陸部隊は準備を整えるとニューカレドニアのヌーメアを目指して進撃を開始する。
途中でアメリカ軍の守備隊が反撃してくるが、上陸部隊は落ち着いて対処していった。
第二機動艦隊も上空支援のために攻撃隊を出来る限り送らせた。
そしてヌーメアの司令部に日章旗が上がったのは二日後の事であった。
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