第四十八話
――第二機動艦隊旗艦翔鶴――
「高橋少佐より入電ッ!!『敵空母二隻撃沈ス』以上ですッ!!」
通信紙を持った通信兵が艦橋にかけ上って電文を読み上げた。
「……とすると残りの敵空母は一隻だな」
「流石に三空母とも捕獲は無理でしたね」
「ハハハ、それは仕方ない事だ。なら残った敵空母を捕獲しようではないか」
将樹の言葉に山口長官が笑う。
第二機動艦隊は既に第二次攻撃隊を発艦させて敵機動部隊との距離を詰めていた。
「第一機動艦隊の状況はどうなっているのかね?」
「は、蒼龍は1620に大爆発をしながら沈没したそうです」
伊崎参謀長が山口長官に言う。
蒼龍は沈んでいたが、加賀はまだ耐えていた。
しかし、誘爆が激しいために小沢長官は曳航を諦めて第四駆逐隊による魚雷処分を命じていた。
第四駆逐隊の酸素魚雷三本は加賀に命中してその直後の1625にガソリンタンクに誘爆して大爆発をしながら波間に消えていったのである。
赤城は一時は炎上していたが艦内に装備していた一式散水器が生きていたおかげもあり、駆逐艦の放水の援助も受けて火災はほぼ鎮火していた。
赤城は戦艦霧島に曳航されて堀長官の第一艦隊へ向けて航行している。
「第一機動艦隊はほぼ壊滅だな……」
山口長官はポツリとそう呟いたのであった。
一方、第二機動艦隊からの第一次攻撃隊の攻撃を受けたスプルーアンスの機動部隊はボロボロになりながらもオアフ島へ向けて航行していた。
「……長い一日だったな……」
駆逐艦に収容され、頭に包帯を巻いたスプルーアンス少将はそう呟いた。
「結果的に敵空母を二隻撃沈させた……しかし此方も三隻を失い、ヨークタウンは速度を落としている。此処は味方の士気を上げるには全隻が無事でありたかったが……これは私の敗けだな」
スプルーアンス少将はそう笑う。
「スプルーアンス司令官ッ!! レーダーに反応ッ!! 敵攻撃隊ですッ!!」
レーダー員が叫ぶ。
「……まだ来るかオザワ……」
スプルーアンス少将はそう言って速度を落としている空母ヨークタウンを見つめた。
空母ヨークタウンは速度を十ノットにまで落としていた。
理由は機関室に二本の航空魚雷が命中して大量の海水が機関室に入り込んでいたのだ。
今はダメコン隊の応急修理によって何とか海水を吐き出しながら速度十ノットで航行している。
今、ヨークタウンが攻撃を受ければ沈没するのは必須であった。
しかし、第二次攻撃隊の攻撃目標は空母ヨークタウンではなかった。
「狙うは敵の護衛艦艇だッ!! 続けェッ!!」
瑞鶴艦爆隊隊長の江間大尉が叫びながら重巡に向けて急降下爆撃を開始した。
「ヨークタウンを狙わないだとッ!?」
第二次攻撃隊が護衛艦艇に攻撃するのを見てスプルーアンス少将が叫んだ。
「バカな、護衛艦艇など攻撃をして奴等に何の意味があるッ!! 奴等は一体何を……」
その時、スプルーアンス少将の脳裏にある言葉が浮かんだ。
「ま、まさか……奴等は空母を捕獲する気……なのか?」
ということは近くに敵艦隊がいるかもしれない……スプルーアンス少将はそう思った。
「上空にヴァルッ!!」
その時、一機の九九式艦爆が急降下してきて二百五十キロ爆弾を投下した。
翌日の0625、第二機動艦隊から先行していた戦艦金剛と榛名を主力にした艦隊がゆっくりと航行をしているヨークタウンとその護衛であろうか駆逐艦二隻を発見した。
金剛と榛名は直ちに威嚇射撃をして二隻の駆逐艦を追い払い、先行艦隊は空母の周りに取りついた。
ヨークタウンにはまだ多数の乗組員がおり、金剛と榛名の姿を見てヨークタウンの艦長は白旗を掲げたのであった。
武装解除した先行艦隊はヨークタウンを曳航して第二機動艦隊へ向かった。
ヨークタウンの乗組員については後に日米交換船で帰国するのであった。
――第二機動艦隊旗艦翔鶴――
「ほぅ、ヨークタウンを捕獲したか」
「は、護衛には駆逐艦二隻がいましたが金剛と榛名の威嚇射撃で逃げたそうです」
米機動部隊は第二次攻撃隊の攻撃により重巡三、駆逐艦七隻を撃沈されてスプルーアンス少将は状況を聞いたニミッツ長官の命令で空母ヨークタウンを乗組員の退避後に魚雷処分を駆逐艦二隻に命令してから全速でオアフ島へ逃げたのである。
二隻の駆逐艦はヨークタウンの乗組員を収容中だった時に金剛達の先行艦隊が到着して先の出来事になったのだ。
「兎も角、一応ながら米機動部隊の空母は全滅する事が出来た」
「……その分の犠牲は大きかったですが……」
奥宮航空参謀が呟いた。
日本海軍も加賀と蒼龍の二隻の空母を失い、艦載機も第二機動艦隊も合わせて約百五十機を失ったのである。
「それは仕方ない。戦には人的被害の完全勝利は無いのだ。靖国へ行った彼等のためにも我々はこの戦に勝てねばならんのだ」
山口長官はそう言った。
そして二日後、堀長官の第一艦隊はミッドウェー島へ艦砲射撃を開始した。
日本軍の上陸のために備えられた鉄条網や地雷等は全て大和の五一サンチ砲に吹き飛ばされたのである。
上陸部隊の海軍陸戦隊と一木支隊は艦砲射撃の援護の元、ミッドウェー島へ上陸した。
海軍陸戦隊の零式軽戦車を先頭にして陸戦隊と一木支隊はミッドウェー島の司令部を目指した。
更に航空援護として第二機動艦隊から攻撃隊が飛来して防御陣地に爆弾を叩き込んだ。
耐えきられないと判断したシマード大佐とシャノン大佐はニミッツ長官にこれから降伏すると伝えて司令部に白旗を掲げた。
ミッドウェー島に上陸して六時間、遂にミッドウェー島は日本軍によって占領されたのであった。
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