第四十二話
―――第四艦隊旗艦出雲―――
「目標、ポートモレスビー飛行場。撃ちぃ方始めェッ!!」
「撃ェッ!!」
その瞬間、重巡八雲の二十.三サンチ連装砲四基が砲弾を発射した。
それに続き、第四艦隊に配属された第六戦隊の重巡青葉、衣笠、加古、古鷹が一斉に砲撃を開始した。
戦艦に比べたら威力は劣るが、陸上にいる人間にしたら大威力である。
ポートモレスビーには米軍の航空隊がいたが、MO作戦前からラバウルとラエから飛来してくる陸海の合同攻撃隊の幾度にも渡る攻撃でほぼ壊滅していた。
実際、井上中将の第四艦隊がポートモレスビーに接近すると、送ってきた攻撃隊はP-40十七機のみであり、十七機とも上空迎撃にいた零戦二七機と交戦して二機は自力でポートモレスビーに戻ったが、それ以外は撃ち落とされていた。
ポートモレスビー基地の抵抗らしい抵抗はそれぐらいしかなく、MO攻略部隊の第四艦隊はそのままポートモレスビーへなだれ込んで、艦砲射撃を開始したのだ。
「………どうやら上手くいっているようだな」
出雲艦橋にいた井上中将はポートモレスビーの陸地を双眼鏡で見ながら呟いた。
ポートモレスビーの上空には、六十キロ爆弾を二発搭載し、爆装した零戦がおり、防御陣地を見つけては爆撃する予定である。
「よし、砲撃は後十分で終了する。その後は零戦などに任せよう」
「分かりました」
井上中将の言葉に矢野参謀長が頷いた。
そして十分後に艦砲射撃は終了して、上空にいた零戦隊が防御陣地に対して爆撃や機銃掃射を敢行した。
その隙に、陸兵を乗せた輸送船がポートモレスビーに接近して陸兵を降ろしていく。
陸兵が乗った大発がポートモレスビーの海岸に到着して、扉が開いて陸兵を吐き出した。
大発は次々と海岸に到着して陸兵をポートモレスビーの地を踏ませていく。
四隻の戦車揚陸艦から九七式中戦車と百式軽戦車が吐き出されていく。
九七式中戦車と百式軽戦車はそれぞれ一個中隊の十六両がMO作戦に参加している。
「ジャップが戦車を出したぞッ!! M4を出してこいッ!!」
防御陣地で奮戦している小隊長が叫ぶ。
ポートモレスビーには一個中隊のM4戦車部隊がいたのである。
「ジャップめ、M4で奴等の装甲に穴を開けてやるぜッ!!」
戦車隊の中隊長がそう意気込む。
「右二時の方向にジャップのタンクだッ!! ジャップを殺せッ!!」
M4戦車部隊は海岸に到着すると、上陸していた九七式中戦車に砲撃する。
しかし、九七式中戦車はM4戦車の砲弾を弾き飛ばした。
「ファックッ!! ジャップの装甲は硬いぞッ!!」
フィリピンからの報告に九七式中戦車の装甲は厚いと分かっていたが、M4戦車に乗る戦車兵はそう簡単に信じなかった。
「フィリピンの部隊がやられたのはM3等の戦車だからでありM4戦車が破れる事はない」と認識していたのだ。
砲弾を弾いた九七式中戦車は接近してくるM4戦車部隊に照準して、七五ミリ戦車砲が火を噴いた。
狙われたM4戦車は前部装甲が貫通してその場で停止した。
「撃てッ!! ヤンキーにチハの恐ろしさを見せてやれッ!!」
九七式中戦車部隊の中隊長が吠える。
戦況は米軍に不利となりつつあった。
――第四艦隊旗艦八雲――
「しかし………第二機動艦隊にはもう少し留まってほしかったですな」
矢野参謀長の言葉に井上中将は苦笑した。
「仕方ない事だ。だが、第二機動艦隊は充分役に立っている。オーストラリアのタウンズヴィルやケアンズへの爆撃は大分我々に有利になっているからな」
第二機動艦隊は、オーストラリアから発進した戦爆連合隊の攻撃を耐えてタウンズヴィルとケアンズにある航空基地を攻撃したのだ。
第二機動艦隊の爆撃から帰還していた戦爆連合隊は補給や修理をして再出撃をしようとしていたが、爆撃機の殆どは被弾しており修理には時間がかかっていた。
その修理中に第二機動艦隊から放たれた攻撃隊がタウンズヴィルやケアンズの航空基地に殺到した。
結果、両基地機能は喪失して両基地は壊滅的状態になった。
航空基地を壊滅させた第二機動艦隊はトラック諸島へと帰還した。
「まぁポートモレスビー方面は我々(第四艦隊)の管轄だから仕方ない。第二機動艦隊かくれた時間を有効に使うべきだ」
井上中将はそう言って、黒煙が吹き荒れているポートモレスビーを見た。
ポートモレスビーが陥落し、司令部に日章旗が上がったのはそれから二日後の事であった。
ポートモレスビーの飛行場を手に入れた日本軍は直ぐ様、揚陸させたブルドーザー四台を滑走路の補修作業に当たらせた。
また、無傷で捕獲した米軍の工作機械も投入した。
この作業は六日で終了して、ラエから陸海の零戦隊とラバウルから九七式重爆、一式陸攻が進出した。
数は零戦約八十機、爆撃機約百機である。
滑走路の補修作業が終了した工作隊は次にブナと繋ぐ道路の工事を開始した。
これはもし、ポートモレスビーが敵に奪回されてもブナに撤退出来るようにしたもので、前世の飢餓を教訓にしたのだ。
この工事にはブナからもブルドーザー二台が作業中である。
滑走路の補修作業を見届けた第四艦隊はトラック諸島へと帰還した。
ポートモレスビーは日本軍に占領されたのであった。
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