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反逆の日章旗  作者: 零戦
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第二十九話







「零式水戦隊が迎撃を開始しますッ!!」


 見張り員が叫ぶ。


 井上中将は双眼鏡で空戦を見た。


 フロートを付けた零式水戦隊が接近してくる二機のワイルドキャットを攻撃する。


 一機は火を噴いて海面に墜落したが、もう一機は包囲網を潜り抜けて第四艦隊に向かう。


「撃ち方始めェッ!!」


「撃ェッ!!」


 第四艦隊は一斉に対空砲弾の三式弾を発射した。


 第四艦隊は旗艦八雲を筆頭に第六戦隊の青葉型が四隻、軽巡夕張と第六水雷戦隊で構成している。


 ワイルドキャットは三式弾の雨にやられてエンジンから火を噴いた。


 しかしワイルドキャットは落ちずに第四艦隊に向かう。


「高角砲、対空機銃撃ち方始めェッ!!」


 八雲以下の艦艇から対空砲が射撃を始めた。


 これには流石にワイルドキャットも耐えられず、海面に墜落した。


「電探に反応はないか?」


『ありません』


 井上中将の言葉に電探員はそう言った。


「……一応の危機は去ったようだな……」


 井上中将はホッと溜め息を吐いた。


 それから第四艦隊はウェーク島からの航空攻撃は無かった。


 そして第四艦隊は所定の位置に着くと主砲をウェーク島に向けた。


「支援砲撃始めェッ!!」


「撃ェッ!!」


 八雲以下重巡五隻、軽巡夕張の計六隻が一斉に艦砲射撃を開始した。


 弾種は三式弾であり、海岸線付近の陣地を撃破したり滑走路を破壊する。


 巡洋艦がウェーク島へ艦砲射撃をする中、輸送船団がゆっくりとウェーク島に近づく。


 そして大発等が降ろされて、兵士を載せた大発が海岸に近づく。


 この時になって巡洋艦からの支援砲撃は中止となった。


 流石に同士討ちをするような事はしない。


 最初にウェーク島に上陸したのは零式軽戦車隊だった。


「撃て撃てッ!! ジャップの死体を海岸に埋めろッ!!」


 生き残っていた陣地が一斉に反撃を開始する。


 しかし厚い装甲の零式軽戦車を貫通する事はなく、逆に零式軽戦車の四七ミリ戦車砲のお返しが来て防御陣地は次々と破壊されていく。


 零式軽戦車隊が海岸を蹂躙した時に海軍陸戦隊が上陸してきた。


 上陸した陸戦隊は二個大隊程であったが、零式軽戦車隊を先頭にして進撃を開始した。


 ウェーク島の米軍守備隊は果敢にも反撃をしてきたが、上空を六十キロ爆弾を搭載した零式水戦隊が爆撃をして米軍守備隊を混乱させる。


 それでも米軍守備隊はめげずに応戦をしてくるが降伏は時間の問題だった。


 そしてウェーク島守備隊が降伏したのは上陸を始めてから八時間後だった。





 そして時は再び十二月八日に戻る。






――日本、東京――


「……寒くなってきたな……」


 桜花は家の前の道路を箒で掃除していた。


「桜花ちゃんッ!!」


「角田のおばちゃん……どうしたのですか?」


 近所に住む角田のおばちゃんが桜花に駆け寄ってきた。


「日本がアメリカと戦争だってッ!! ラジオで言ってるわよッ!!」


「なッ!?」


 桜花は慌てて家に戻ってラジオを付けた。


『臨時ニュースを伝えます。本日未明、我が帝国陸海軍は西太平洋上におき、敵米英軍と戦闘状態に入り……』


 ラジオはそう伝えていた。


「……遂に始まったのか……」


 桜花は何とも言えなかった。


「生きて帰ってきてほしいものだ……」


 桜花はそう呟いて一枚の写真を見た。


 写真は桜花、将樹、桐野、クロエの四人が集まって撮ったものだ。







――首相官邸――


「……という事により、自存自衛を全うするために断固として立ち上がるのをやむ無きに至ったのであります」


 山本は集まった記者達に演説をしていた。


「よって、日本の団結のためにむやみな戦果報道はしないと約束します。大戦果の誤報道があれば損をするのは記者諸君だからね」


 この山本の言葉に記者達は苦笑する。


「なので各新聞社も国民を煽るような事はやめていただきたい。陛下は長期戦は望んでいない。出来るだけ短期に終わらせたいと思う」


「アメリカは和平に応じるでしょうか?」


 一人の記者が山本に訊ねた。


「それは分からない。が、少しでも和平にする努力は惜しまない」


 山本はそう言った。







――十二月十八日、旗艦敷島――


「……シンガポールは完全に破壊したようだな」


「はい。更に角田機動部隊はペナン島等周辺の航空基地を全て叩いています。またブルネイ等にも上陸を開始したようです」


宇垣参謀長が報告する。


「うむ。是非とも油田施設は無傷で手に入れたいものだな」


 堀長官は東南アジアの地図を見ながらそう呟いた。


「内地に帰還予定の第一航空艦隊と第一艦隊は何処にいるかね?」


「大体ウェークの北方でしょう」


 堀長官の問いに宇垣参謀長はそう答えた。


「第一航空艦隊と第一艦隊の出撃は年明けになりそうだな」


「はい。その間にシンガポールを占領出来たら御の字ですが……」


「まず無理だろうな」


「無理でしょうね」


 二人はそう呟いたのだった。











御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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