第二十四話
遂に開戦。
――十二月八日午前三時、首相官邸――
朝日等の記者達はいきなりの緊急会見にも関わらず、朝から元気だった。
「記者諸君、朝早く御苦労だ」
そこへ山本首相が会見場に入ってきた。
「総理、いきなりの緊急会見とは一体何でしょうか?」
現れた山本に記者達が次々と疑問をぶつけていく。
「焦るでない。……では今から発表する」
『………』
記者達は黙りこんだ。
「我が日本帝国は度重なるアメリカとの交渉してきたが、遂に限界であろうと判断をしてアメリカ、イギリス等に対して国交を断絶する事にした」
山本は一息入れた。
「そして……大変遺憾であるが米英蘭等の国に対して宣戦を布告する事が決定、既に各大使館にも通達済みである」
ザワザワッ!!
山本が発表を終えると記者達が騒ぎ出す。
「質問は少しだが受け付けよう。君らも仕事があるからね」
「総理、宣戦を布告するという事はハル・ノートは受諾しないと言う事ですか?」
「その通りだ。ハル・ノートは我々を戦いさせようとするアメリカの陰謀である。それにフィリピンのアジア艦隊の艦艇爆破未遂もアメリカの陰謀である」
「何故アメリカがそこまで我々と戦いたいのでしょうか?」
「アメリカ……ルーズベルトの盟友であるチャーチルのイギリスが瀕死の状態だからだ。ルーズベルトは選挙の公約で息子を戦争に駆り出さないと公言している。それに付き合わされたのが日本だ」
山本はそこまで言うと注がれた水を飲む。
「アメリカには勝てるでしょうか?」
「……正直に言えば、正面から当たれば負けるであろう」
『ッ!?』
山本の言葉に記者達は驚いた。
「一国の首相がそのような発言をしても言いのですかッ!!」
「そうだそうだッ!!」
記者達が騒ぐ。
「黙れェッ!!」
山本が一喝した。
「……総理だからこそ真実は言わねばならんのだ。国民を煽ってきた貴様らにその事が言えるのか?」
『………』
山本の言葉に記者達は何も言わない。
「確かにアメリカとの戦いは無謀だ。しかし、日本一国ではなく、アジアの国々がアメリカと戦えばどうなるか?」
「……大東亜共栄圏を作るのですか?」
「似たような物を作る考えはある」
見覚えがある記者の言葉に山本はそう答えた。
「それでは一つ、記者諸君に特ダネを提供しよう。我が日本海軍は宣戦布告のため、アメリカ太平洋艦隊の根城である真珠湾を奇襲攻撃する予定だ」
『ッ!?』
記者達に激震が走った。
「今の時間だと攻撃隊は真珠湾上空に到着した頃だろう」
山本は三時十九分を見てそう言った。
――真珠湾上空、淵田中佐機――
「水木ッ!! 赤城に打電やッ!! 真珠湾上空には敵機はおらんッ!!」
淵田中佐は後部座席にいる水木一飛曹に言って風防を開けた。
そして信号銃を一発撃った。
一発は奇襲成功であり、二発目は強襲である。
村田少佐率いる雷撃隊が一気に降下して二列に並んだ米戦艦群の外側の戦艦群を狙いにいく。
「用ぉ意……」
雷撃隊は高度五メートルを飛行して村田少佐は投下索を握る。
戦艦からの反撃は無い。
「距離七百ッ!!」
「撃ェッ!!」
村田少佐が投下索を引いて魚雷を投下した。
九七式艦攻は投下した反動を利用して上昇していく。
「おい、何だあれは?」
「高度規定違反じゃないか?」
村田少佐に狙われた戦艦カリフォルニアの艦上でカリフォルニアの乗組員達が言いまくるが上昇していく九七式艦攻を見て「あ」と呟いた。
「赤い丸印の国際標識……ジャップだッ!!」
「じゃあ、あれは……魚雷だとッ!?」
直ぐそこまで迫り来る魚雷に乗組員達は慌て出す。
そしてカリフォルニアに魚雷が命中した証拠である水柱が立ち上ったのである。
一方、板谷少佐率いる零戦隊はオアフ島の各航空基地へ侵入して滑走路の脇に駐機していたP-40等の戦闘機群を機銃掃射していた。
「喰らえッ!!」
板谷少佐は二十ミリ機銃弾のレバーを引き、操縦桿上部にある十二.七ミリ機銃弾の発射ボタンを押した。
機首から十二.七ミリ機銃弾とその薬莢が飛び出し、薬莢は後方へと向かう。
主翼の二十ミリ機銃弾も同様で、大きい二十ミリ機銃弾の薬莢が主翼下から飛び出している。
そして発射された弾丸は翼を休めていたP-40戦闘機群に次々と命中していく。
しかも燃料は満タンだったようで次々と誘爆していく。
「仕上げは任したぞッ!!」
機銃掃射して上昇していく零戦の操縦席で板谷少佐は上空を飛行している九九式艦爆を見つめた。
――高橋少佐機――
「行くぞォッ!!」
高橋少佐は操縦桿を倒して急降下爆撃に入る。
急降下で目標の格納庫がみるみるうちに迫ってくる。
「高度六百ッ!!」
「撃ェッ!!」
高橋少佐は高度六百で二百五十キロ爆弾を投下した。
投下された二百五十キロ爆弾は見事に格納庫に命中。
命中した格納庫は炎上した。
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