第十四話
ヌフフフ。今日は友人と日本橋……いっぱい仕入れてくるか。
――1940年九月二五日東京――
「……北部仏印の進駐を開始した」
会合で東條が言う。
「仏印は東南アジアの戦略上、重要な場所だ。仏印は是非とも抑えたい」
「ですが南部仏印まで進駐するとアメリカとの関係が悪くなります」
意気込む東條に将樹はそう言って抑える。
「……開戦後に占領するしかないだろう。仏印のゴムは確保せねばならんからな。特に大和型に使用している」
日本は世界に大和の公表をしていた。
表向きは史実と同じ三連装四六サンチ砲三基を搭載する予定にしている。
この日本の公表にアメリカ、イギリス、ドイツの海軍関係者はショックを受けた。
アメリカは四十サンチ砲のアイオワ型の建造を承認して更に四六サンチ砲搭載予定のモンタナ型の建造計画に入った。
イギリスは四六サンチ連装砲四基搭載した高速戦艦の計画にが、後の対独戦にて白紙に戻る事になる。
ドイツはビスマルク型を建造したが、この公表によりH型戦艦の計画を早めた。
またドイツは日本に接触をして四十サンチ砲の技術を学んだ。
これはイギリスがロドネー等の四十サンチ砲搭載戦艦がいるのでビスマルク型を改装して四十サンチ砲を搭載しようも目論んでいたのだ。
また日本はドイツからMP40の輸入とライセンス生産を取得して主に戦車兵や下士官に配備される事になる。
このMP40は日本では零式短機関銃と呼ばれるのであった。
「大和型は不沈艦として米軍に睨みを効かせねばならん」
大和型は両舷の防御に某小説で有名なゴムを注入した層を設けていた。
本当ならスポンジの層も設けるのだが、予算の関係で無理になりゴムの層しか作れなかったがそれでも不沈性はある。
「確かにそうですね」
将樹は頷いた。
「陸軍は機械化のためにアメリカから中古のトラックを大量に購入しているが最近、アメリカがトラックの輸出を縮めてきた」
「……恐らく軍拡に気付いて少しずつ減らしているのでしょう」
将樹はそう判断した。
「国内での生産をも急がせているが……数は足りんな。戦車も作らねばならんからな」
杉山は溜め息を吐いた。
「アメリカ並の工業力があればいいんですが……無いものねだりをしても仕方ないですね」
「取りあえずブローニングの十二.七ミリ機関銃の生産は落とさないつもりだ」
東條はそう言った。
「後は……パイロットの育成ですね。陸海とも進んでいますか?」
「赤トンボの生産や白菊、零式練戦の数を増やしているが徐々にパイロットも増えている」
パイロットの大量育成のために、部隊等からベテランパイロットを大量に練習隊に移動させている。
また飛行時間も約三時間程度にまで増やしている。
「消耗戦になる確率は高いですからね。ソロモン航空戦は何としても避けたいですし」
将樹はそう言った。
「それと例のあれはどうなっているのかね?」
杉山は山本長官に聞いた。
「改装工事を急がせています。よくて来年までには竣工します」
「出来るだけ早めに頼む。造船所から工員を集めさせる」
伏見宮はそう言った。
――横須賀航空基地――
翌日、将樹は横須賀航空基地にいた。
「調子はどうや石原?」
「別に異常は無いわね」
着陸した零戦の操縦席からクロエ・石原・ヘルミンクから日本名に改名した石原黒絵(表記する時はクロエ)が出てきた。
零戦は陸軍の航空工場でも生産されて陸軍に配備されつつあった。
なお、零戦の陸軍名は『隼』である。
海軍は空母航空隊から配備されていき、基地航空隊は今のところ横須賀航空隊と岩国航空隊しかない。
「急降下制限だけど、七百五十キロ辺りから振動してたから七百三十キロが妥当と思うわよ」
「分かった。上にはそう具申しておく」
ちなみに石原の日本名にしようとした時、将樹の脳裏には某ロボットの仮設五号機パイロットが出てきたが将樹は普通にヘルミンクを取るだけにしといた事を追記しておく。(声も似てたし)
「だってショートヘア以外は似てたし」
「にゃ? 何か言った?」
「いや何もないわ」
首を傾げたクロエに将樹は何でもないと首を振る。
「液冷エンジンに比べて空冷エンジンはどうや?」
「あんまり気にしてはないわね。日本で液冷エンジンが作れないのも何となく頷けるしね」
クロエはそう言った。
史実でも陸海軍は液冷エンジンを搭載した航空機を開発してきたがどれも液冷エンジンに泣かされたと言っていいかもしれないだろう。
「ま、格闘性能はBf109よりかなりずば抜けてるわ。Bf109は一撃離脱戦の戦闘機だからね」
クロエはそう言って飛行眼鏡を取る。
ちなみにこの飛行眼鏡には度が入っており、クロエ専用の特注品の飛行眼鏡である。
石原はこの飛行眼鏡を戦闘機に乗る時には予備としてもう一個持っている。
「それにしてもこの飛行ゴーグルはいいわね」
「……そうやろな(なんせ俺の自腹やからな)」
流石に海軍も一人の女性パイロットのために特注品の飛行眼鏡代を出すわけにはいかなかった。
「貴様の副官なんだから貴様が出せ」
会計の軍人に言われた将樹は泣く泣く自分のポケットマネーから特注品の飛行眼鏡代を出したのだ。
「ところで、ドイツにあれを送るのは本当なの?」
クロエが聞いてきた。
「あぁ、ドイツ海軍には必要やからな」
クロエの質問に将樹はニヤリと笑った。
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