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反逆の日章旗  作者: 零戦
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第百四話






 米戦艦部隊が本調子になったと思った。突然、爆発音が響いた。


「何事だッ!!」


「戦艦ワシントン、艦橋に命中弾ッ!!」


 リー中将の問い掛けに見張り員が答えた。


 戦艦ワシントンは、戦艦陸奥からによる四六サンチ砲弾を艦橋と前部二番砲搭に命中弾を受けていた。


 艦橋による命中弾は艦長を戦死させて二番砲搭は射撃不能となった。


「敵二番艦炎上ッ!!」


「照準を敵二番艦に合わせろッ!!」


 宇垣司令官が指示を出す。


 大和と武蔵の五一サンチ砲はワシントンに照準を合わして一斉砲撃をした。


 ワシントンはヤマトと武蔵からの五一サンチ砲弾十八発のうち、六発が命中した。


 残りは至近弾となって水柱をあげるが、六発の命中弾の一発はワシントンの装甲を貫いて機関室に命中した。


「ワシントンより手旗信号ッ!! 『我、航行不能』」


「……くそ」


 見張り員からの報告にリー中将は舌打ちをした。


 その時、アラバマの主砲弾が戦艦伊勢に命中した。


 伊勢に命中した砲弾は左舷の副砲群を壊滅させた。


 更に後部三番砲搭が射撃不能となる。


「全艦イセを狙えッ!!」


 リー中将はヤマトとムサシより、確実に沈めようとイセに照準を合わせたのだ。


「ファイヤーッ!!」


 航行が不能なワシントン以外の戦艦が炎上するイセに主砲を発射した。


「左舷から浸水ッ!!」


「衛生兵ェーーーッ!!」


「消化急げェッ!!」


 伊勢の艦内では男達の怒号が響いていた。


「右舷へ注水急げッ!!」


 伊勢の戦闘艦橋では艦長の渋谷清見少将が奮戦していた。


「敵砲弾来ますッ!!」


「総員何かに掴まれェッ!!」


 渋谷艦長の言葉に艦橋にいた乗組員達は手すり等に掴まる。


 そして伊勢は水柱に包まれた。


「伊勢に敵砲弾がッ!!」


「…………」


 見張り員の報告に宇垣司令官は無言で双眼鏡で伊勢を見た。


「……伊勢……」


 水柱が無くなると、伊勢が炎上しながら現れた。


 その時、伊勢から発光信号が来た。


「伊勢より発光信号ッ!! 『我、大破。我、敵艦隊ニ突入ス』」


 発光信号を読み上げる見張り員の声が震えていた。それに伴い、伊勢が戦列を離れた。


「宇垣司令官ッ!! 伊勢が戦列を離れますッ!!」


「渋谷の馬鹿野郎ッ!! 伊勢に発光信号、突入を中止せよッ!!」


 宇垣司令官は渋谷艦長に罵倒して伊勢に突入中止を伝えさせる。


 しかし、伊勢は出しうる速度十六ノットで敵艦隊に向かう。


「……なんと、自らを囮にするとは……」


 炎上しながら米戦艦部隊に突撃してくる伊勢にリー中将は伊勢の覚悟に怖れていた。


「司令官、イセをやらねば味方の被害は増えます」


 参謀長が具申する。


「だろうな、全艦イセに止めを刺せッ!!」


ズシュウゥゥゥゥゥーーンッ!!


 リー中将がそう叫んだ時、アイオワの右舷に二発の水柱が上がった。


「ぐおッ!?」


 リー中将達はいきなりの被雷に、身体を床に叩きつけた。


「な、何事だッ!!」


 リー中将はよろめきながら立ち上がる。


「ジャップのサブマリンですッ!! 右舷に二発の魚雷が命中しましたッ!!」


「な、何ぃ?」


 リー中将は驚いた。






「魚雷二発命中ッ!!」


「よし、水柱が上がっているッ!!」


 潜望鏡でアイオワが被雷した瞬間を見た伊七七潜水艦の艦長が歓喜した。


 伊七七潜は伊七八潜、伊七九潜と共に米戦艦部隊に接近をして魚雷を放ったのだ。


 魚雷はアイオワの他にもサウスダコタ、インディアナ、アラバマ等にも命中している。


「敵駆逐艦接近ッ!!」


「急速潜航ッ!! 深度八十ッ!!」


 伊七七潜は急いで潜航していく。


 駆逐艦が爆雷を投下しようとした瞬間、戦艦日向からの砲弾が命中して爆沈した。


「今が好機だッ!! 水雷戦隊は敵戦艦部隊に突入せよッ!!」


「はッ!!」


 宇垣司令官の言葉が直ぐに水雷戦隊旗艦愛宕に伝わる。


「南雲司令官、大和から突撃命令が出ています」


「……うむ、全艦突撃せよッ!!」


 水雷戦隊参謀長の田中頼三少将の言葉に水雷戦隊司令官である南雲忠一中将が突撃命令を出した。


 水雷戦隊は旗艦に重巡愛宕を筆頭に重巡五、軽巡四(うち二隻は重雷装艦の北上と大井)、駆逐艦二四隻で編制されていた。


 突撃命令を受けた水雷戦隊の各艦は一斉に最大速度で米戦艦部隊に突撃していく。


「ジャップの水雷戦隊が突撃してきますッ!!」


「追い払えッ!! 此方も水雷戦隊を出すんだッ!!」


「アイアイサーッ!!」


 リー中将の命令を受けた水雷戦隊が宇垣艦隊へと向かう。


「敵戦艦部隊から水雷戦隊が離脱をして此方に向かってきますッ!!」


「……面白くなってきたな……」


「そうですな」


 宇垣司令官と松田参謀長がニヤリと笑う。


「これで金剛型四隻と常陸レパルスもいたらますます面白くなるのですが……」


 松田参謀長は勿体無いという表情をしてそう呟いた。


「参謀長、それは欲という物だ」


「それもそうですな」


 二人はそう言い合った。










御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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