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反逆の日章旗  作者: 零戦
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第百一話






「ジャップの急降下爆撃だッ!?」


 関中佐が狙ったは空母は偶然にもハルゼーが座乗している空母エセックスだった。


「撃て撃て撃てッ!!」


 エセックスの二十ミリ、四十ミリ機銃、十二.七サンチ高角砲が火を噴き、関機を追い払おうとする。


 しかし、関中佐はエセックスの対空砲火をビビる事なく搭載していた対艦用の五百キロ爆弾を投下した。


「これは……当たるぞッ!!」


 爆弾の軌道を見たハルゼーはそう叫んで、五百キロ爆弾はエセックスの中部飛行甲板に突き刺さった。五百キロ爆弾はエセックスの格納庫まで到達してそこで爆発した。


「良し、命中だ」


 上昇しながらエセックスを見ていた関中佐はニヤリと笑う。後続の列機も五百キロ爆弾をエセックスに投下していく。


 エセックスは五百キロ爆弾を懸命に回避するが、結果的に関中佐のも含めて四発が命中して黒煙を上げた。


「あいつを沈めるぞッ!!」


 そこへ田中少佐の天山雷撃機一個中隊がエセックスの左舷から迫る。


「ジャップの雷撃機が来るぞッ!!」


「撃て撃てッ!!」


 エセックスの左舷の対空火器が火を噴いた。この対空射撃で二機の天山が翼をもぎ取られてスパイラル回転をしながら海面に叩きつけられた。


 それでも残りの天山は魚雷を投下して離脱する。その途中でも二機の天山が高角砲弾の直撃を受けて爆発四散した。


「面舵一杯ッ!!」


 エセックスの艦長が叫び、エセックスは慌てて回避する。三本は外れるコースであるが残りの四本は直撃コースであり、エセックスの左舷に四本の水柱が吹き上げた。


「注水急げェッ!!」


 エセックスは直ぐに復原作業に入るが格納庫から悲鳴の報告が届いた。


「第四次攻撃隊の爆弾や魚雷が誘爆しているだとッ!?」


 報告にハルゼーは愕然とした。恐れていた事が起きたのだ。


 実は、第二機動艦隊からの攻撃隊をレーダーで探知した時、米機動部隊は小沢長官の第一機動艦隊に向かった第一次攻撃隊を収容中であったのだ。しかもこの時、各空母の格納庫では爆弾等を搭載した第四次攻撃隊がいた。


 ハルゼーは第四次攻撃隊を送りたかったが第一次攻撃隊の燃料不足を考慮して先に第一次攻撃隊を収容したのだ。これはほぼ史実のミッドウェー海戦の南雲第一機動部隊と似たような状況であった。


 攻撃隊が探知した時、ハルゼーは第四次攻撃隊の出撃を諦めて爆弾や魚雷を弾薬庫に戻すように指示を出したが全てを弾薬庫に戻す事が出来ず、結果的に格納庫の床に爆弾や魚雷が転がっている状況になってしまった。


 そして米機動部隊は史実の南雲第一機動部隊と同じ状況になろうとしていた。


「駄目ですハルゼー長官。誘爆が激しくてダメコン隊の消火活動も出来ませんッ!!」


 煤だらけのダメコン隊隊長がハルゼーにそう報告した。


「ハルゼー長官、総員退艦を願います」


「……分かった。総員退艦せよ」


 ハルゼーは悔しそうにそう言って駆逐艦に収容されたのであった。


 米機動部隊は散々な目にあった。第二機動艦隊の攻撃隊が帰投する。


 米機動部隊は幾つもの黒煙を上げて海面には油が浮いていた。


「……エセックス級空母三隻撃沈、三隻大破、四隻中破、中型空母一隻撃沈、二隻大破。護衛空母二隻撃沈。駆逐艦三隻撃沈……か。……クソッタレェッ!!」


 渡された報告書を読んだハルゼーは紙を破いて床に叩きつけた。


「……ハルゼー長官、ニミッツ長官から電文です」


 カーニー参謀長がハルゼーに新たな通信紙を渡した。


「……何? 西海岸に向かえだと?」


 ニミッツ長官の命令にハルゼーは驚いた。





――オアフ島――


「ニミッツ長官、幸いにもカタリナ三機が無事でしたのでカタリナに乗ってハルゼー中将と合流して下さい」


 部下はニミッツ長官にそう言った。


「……済まない」


「いえ、気にしないで下さい」


 ニミッツ長官の謝りに部下はそう言った。実は数時間前に、ニミッツ長官はキング作戦部長から電文が届いていた。




――数時間前オアフ島、太平洋艦隊司令部――


「ニミッツ長官。キング作戦部長から緊急電です」


「何? ……こ、これは……」


 通信紙を受け取ったニミッツ長官は驚愕した。


『貴官は直ちに西海岸へ向かえ』


 電文はこう書かれており事実上、海軍は真珠湾を放棄したのも同然だった。


「……キング部長はハワイを捨てる気なのか……」


 ニミッツ長官はそう呟いたが命令は命令だ。直ぐに脱出の準備に入り今の状況である。


「……済まないエモンズ。ジャップを何とか追い払ってくれ」


 ニミッツ長官は、見送りに来ていた陸軍ハワイ地区司令官のエモンズ中将に申し訳なさそうに言った。


「仕方ありませんよニミッツ長官。任せて下さい、出来る限り時間は稼いでみせます」


 エモンズ中将はそう言った。


「……頼む」


 ニミッツ司令長官はエモンズ中将にそう言うと、カタリナ哨戒機に乗り込み、ニミッツ達を乗せた三機のカタリナは発進した。


 護衛は空襲からの破壊を免れたヘルキャット十七機である。


 そして途中でニミッツ長官達は、西海岸まで撤退中のハルゼー機動部隊に合流したのであった。










御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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