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お付き合いしてみる

ラーティは、5年もの間待っていた。







気絶し、介抱されて無事初日は終わり、2日目。


朝は、固形の食べ物に水が出て、何もすることもなく窓から景色を見ていた。

本当に暇で、他のペット達は何をしているのかと、部屋を見回すと

いなかった。


へびもどきは、外へ散歩。

ペットなのに、勝手に部屋を抜け出していいのか?

たくさんいると聞いている彼女に毎日会いに行っていると聞いた。


フクロウ系の鳥は、自室で寝ている。夕刻から活動する体質らしい。

奥さんは、今ペット病院で入院中。

何でも羽ばたいている時に、柱にぶつかり、羽根を傷めたそうだ。

そのうち会えるだろう。


猫系。やはりこちらも部屋を抜け出していて、いない。

この猫もどきも彼女があちこちにいる。

この星では、よく見かける種族らしい。


皆パートナーというか、恋をしっかり出来る同種族がこの星にはいる。

それなのに、5年もの間、ラーティは1人地球人として、この家で過ごしていた。

確かに楽しいけれど、彼女もしくは奥さん、又はパートナーとなれる同種族の女性を

待っていた。


一応、地球人を捕獲することは星間法では禁止されている。

今、地球人がいるということは、密猟されてきたか、

昔の密猟で来ているか等だ。


最初に地球という星が発見されたのは、1千年前だというから驚きだ。

ラーティが、今までいろいろ調べていたことを聞いて

捕獲された人がいて、宇宙人と一緒に生活した人がいることにさらに驚きだ。

宇宙人達は、成人したら大きい体格、身長が多いので、

可愛くて小さな地球人は人気があるらしい。


未だに、もしも地球人が捕獲出来たら、欲しがるセレブ達がいるようだ。

タコ女もそのひとり。

宇宙で人口が増えないのは、寿命が80年くらいと短いことと

宇宙でかかる病気に弱いそうだ。

地球とは環境も全て未知の世界。

宇宙人達もどうにも出来ないらしい。


そんな話を聞いて、私はラーティと直ぐに出会えて幸せなんだろうかと

思えてくる。

同じ地球人は、彼1人しかいない。


ラーティが、タコ女やイカ男のいるリビングにいる頃、

ヘビもどきが頭の中に直接話しかけてきて、

私とラーティが上手くいくように願っているそうだ。


イケメン男性で、性格も穏やか。初めて会ってから、

いろいろ話をしているが嫌いではない。

むしろ、好きになりかけている。いや、好きなんだと思う。

でも、16年間。恋人とか誰もいなかった私は、どうしていいのか

実のところ分からないのだ。

戸惑っているのは、私だけでなく、ラーティも同じじゃないかと思う。



ラーティは、今日もタコ女に付き合って、リビングでTVを見ている。

ちなみにイカ男は、仕事で外出なのだそうだ。これもラーティ情報。

そして私は、暇だ。

ぼんやり空を眺めていたら、ペット部屋の扉が開いた。

「ヤヤコ」

ラーティが、上気しながら笑顔で戻ってきた。

「あれ?何かいい事あった?」

鼻をくすぐる良い匂いがする。何の匂いだろう?


「お酒。一昨年辺りから、タコ女が試しに料理酒をたまにくれるんだ」

「酔ってる?」

「うん。ヤヤコ。子供はまだ早いかもしれないけど。

僕と付き合ってみてよ。友達以上で」

今の地球の付き合いって、どんな感じなのかなあ?と

思っていることを話しながら、私は彼の腕の中に閉じ込められた。


「ずっと待ってたんだ。僕と同じ地球人の女性と出会えるのを」

誰でもいいということはない。

僕と一緒に過ごしてくれる女性でないと。


この日から、私とラーティの距離は近づいている。

スキンシップも受け入れられるようにもなる。

毎日ぎゅっと抱きついて、

眠る時は一緒に。

ハグが多いなあ。


数日後には、それがもう少し増えて

おでこや頬にキスが増えた。

甘々で、砂を吐き出しそうなんだけど。

これが、恋なのかなあと思っていたら、最近タコ女やイカ男が

家政婦ドラマ「家政婦は見〇」 のように、こっそり覗いて様子を見ているのだ。


「あれは、どういうことなの?」

今もペット部屋で、ペット用のソファで2人で仲良く並んで座って

ゴロゴロしているところを

ドアが少し開けられて、大きな巨体が2つこちらを見ている。

「飼い主は、2人が仲良くしているところを見たいんだよ」

「そうなの?」

いきなりソファの上で、ラーティが圧し掛かってくると

扉から息を呑んだ音が。

「ほらね」


彼らのビデオカメラの作動する音が聞こえてきた。

イカ男が吸盤にくっつけて、レンズをこちらに向けている。

タコ女が何やら言っているが、まだ言葉が分からない。

少し言葉が理解出来ているラーティは、小さく笑う。

「仲良くしているところを、撮りたいみたい」


「わわわ、嫌~っ」


ラーティの身体を避けると、顔ばかりか耳まで赤くさせて

恥ずかしいやら、照れるやらで、ぎこちなく歩き、個室に1人で入って扉を閉めた。


背後では、きっと残念とか言っているようなタコ女夫婦の会話が聞こえてきて

恥ずかしくなって、シーツの中でジタバタしてました。






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