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地球人と再会

レジ横に置かれてある鳥籠の中に、また入れられた。

食事は、よく分からない固形物と水。

満腹にはなるけど、美味しさは感じない。

普通に食事がしたいなあ。


自宅でお母さんの作るご飯、食べたい。

どうしてこんなことに、なっちゃったかなあ。


トイレは、何故か3回と決められていて、だが行きたいものは仕方がない。

3回ではなく、とにかくトイレを知らせる為、鳥籠の鉄の柵をガンガン鳴らすと

連れて行ってくれる。

初めは、水で固まるという箱を手渡された。猫トイレを想像して欲しい。

とても出来なくて、宇宙人達が使用しているトイレに走り込んで

用を足すと、物凄く褒められた。

それからは、トイレに行けます。



まさしく犬猫扱い。

逃げることも出来ない。

逃げてもどういう事情の世界なのか把握も出来ず、怖い。

とりあえず、情報を仕入れるとか、言葉の壁を乗り越えないといけないので

店の看板娘をさせてもらってます


店の扉が開くと、ガランガランと不気味な音が鳴り響く。

その音と共に来客が入店。

それを鳥籠から寝転がって見学してます。


背の高さ5Mとか、犬耳があるとか、顔が不気味とか、浮いている、羽根がある等は

この数日で慣れた。

なめくじ顔とか、どこに目がついているのか分からない生物も見た。

宇宙人て、いろんな人がいるのね。

感心していたら、昼過ぎに凄い豪華ドレスをまとった

セレブと思うような大きなタコ女が来店した。


タコだ~。

凄いタコだ~。足は8本だ。

なんて見ていたら、首輪を付けたタキシードを着た

容姿が地球人に似ていると思う人を連れていた。

茶髪だけど、鼻筋が通っていて、映画に出てきそうなイケメン。

スタイルももちろん良くて、格好良い。

首輪の先には鎖。タコ女がその先を持っている。

ペットでいうところの犬を思い出す。

でも、何故タキシードなんだろう?

タコ女の趣味?


「地球人?」

と、声を掛けたら、相手も気が付いて手を振ってくれる。

「へえ、珍しく地球人がいるって飼い主が騒いでいたから

ここへ連れてきてくれたわけだが。君なんだ」


彼は、ヨーロッパ系の人間で、話が通じて会話をしてみたら

私の母国大好きな外人だった。

「言葉通じますね」

「君の母国好きでしたから」


私達が会話を始めると、大きなタコ女とレジの前の女?らしき店員は

高い位置から、私達を見下ろしている。

「何?見られてる?」

私が怯えると、彼は苦笑する。

「ああ、君を買うかどうかを判断しているのさ」

「買う?」

その意味を私は分かっていない。

「そうだよ。ここはペットショップと違法商品を扱う店。

発展途上の星の人間とかペットになりそうな生き物を星間法を無視して

違法拉致して販売している。

君はその違法拉致で違法取引されたんだ」


彼が、説明するたびに、ポロポロ涙が零れる。

ハンカチは2人とも持っていないこともあり、

彼は鳥籠の鉄の柵近くの私へ腕を伸ばし、親指で拭ってくれる。


「僕たちの世界にもあった密猟者という言葉が当て嵌まる。

この店が密猟組織から君を買い、ここで店頭販売しているのだろうな。

この店から昨日、飼い主へ地球人を入荷した連絡が来たんだ。

今、そこにいる僕の飼い主が、ここへ来たのも

買うかどうか、君を観察しているところさ」


上を見上げると、ピンクのタコ女に見つめられている。

「それで、いつここへ」

「数日前。買い物の途中で円盤が空を飛んでいるのを見てたら拉致された」

ここまでの経緯を手短に話すと、彼はそうかと頷いてくれる。

「僕は、ここへ連れてこられたのは、高校生の時で、かれこれ5年前になる。

言葉は通じないまま、この店で売られて。

今の飼い主に当時飼われたんだよ」


「飼い主がタコ女。凄い経験だよね。私は、今16歳」

「そう。僕が捕獲された年齢と同じだ」


そういえばおかしいのだけどと、今までの疑問を口にすると、彼は分かる範囲で

説明してくれる。

「ああ、身体や顔、髪形のこと?科学が発展してるんだよ。

たぶん、君を違法拉致した密漁者組織がしたんだ。

科学が凄いよ。医療関連は見ていて驚かされた。

僕も実際見た時は、かなり驚いたさ。

円盤に乗せられてから、睡眠ガスで眠らされて

その間に、身体を調べられて、良い値で売れるように、身体の細胞を作り変えられたんだよ」


地球人なら、ぜひ手に入れたい技術さ。


「へ。これ、手術したわけでなく?」

「そ。何か全身に黄色の光を浴びせると、それを起動した奴が、細胞を動かして

好みに変えられる。だから、鏡見て驚くよ」


どこが変わったの?

と、聞かれたので、髪形とか脂肪が減ったこととか、胸の話をすると

じっと視線が胸に移る。

「胸が?」


「本当は、こんなに大きくなかったの。もう少し小さかった。

ブラもサイズがBだった。今はどう見てもF」

じー、と視線が胸で止まったまま。

今は裸に生地の薄いワンピース着ているだけなので、150センチの私より背が高い彼からは

胸元やワンピース越しから形とかがしっかりと見えているだろう。

今までそんなに胸を見られたことがないので、物凄く恥ずかしい。


「あ、え~と。名前は?」

「あ、僕?ラーティ。このタコ飼い主には、ラータって呼ばれてる」

「ラーティね。私は、ヤユコなんだけど、言いにくいからヤヤコで。

ラーティは、変わったところはあるの?」

整形しなくても格好良い。


「鼻。鼻が高くなって、顔の配置が変わった」

「イケメンだよね」

私がまじまじと見つめると、彼はくくくと笑う。


「昔の僕は、顔のパーツはそれぞれ良い具合なんだけど。鼻がそれを台無しにしてたんだ。

それを治されてた」

こんな感じと、手振りで教えてもらう。

爽やかで楽しい人だなと思っていたら、彼は急に真剣な顔つきになる。


「ところで、今僕たちは話をする時間を与えられているけど、意味分かる?」

そこで、彼が上を指さす。

その指を見ながら視線を上へ向けると、タコ女と女だと思う店員の2人の視線があった。

「え?買うという話?」

「そう。僕が君を気に入るかを見ているところ」

「貴方が私を?」


「今日は、僕にお嫁さんを見つける為に、飼い主と来ているんだ」


お嫁さん?

お嫁さんて、私を?


一瞬怯んだ私に、鉄の鳥籠の柵に手を掛け

「僕の妻になってくれるなら、君をここから出してあげられる」

「貴方は、それでいいの?」


彼は苦笑する。

「この世界に来て、もう5年だ。ずっと地球人としてはひとり。

確かにひとりではないけど、タコ女の他のペットは他の星の宇宙人。

これから地球人に会えるのはいつになるか分からない。

この飼い主も今後会わせてくれるかも分からない。

せっかく君のような可愛い女の子に出会えた。

僕ではダメかい?

飼い主はタコ女だけど、僕と一緒に来ないか?」





「・・・・・・」

「・・・・・」


頭の上の方で、何か早口の会話が交わされ、意味不明なんだけど。

鳥籠の横の扉を店員が開けてくれた。


扉が開いて、私が外へ出ると

待っていた彼は、手を広げて近寄ってきて抱きしめてくれる。

「ちょ、ちょっと」

「僕がこうすることで、気に入ったと飼い主に伝われば君は僕と一緒に行ける」

「で、でも」

「奥さんになるかどうかは後回しで、まずは外へ出ないと始まらないよ」


店の中でいつまでも鳥籠の中にいるよりも、外へ出てみたい。

私は頷き、彼の手を掴んだ。







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