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宇宙人に拉致される

現在抱いている宇宙人の概念を忘れてから

読んでください。

無茶苦茶な宇宙感覚ですので、

これはコメディーだと無理矢理、ご了承ください。


この世界では、地球人はペット。

犬や猫に変換してから、読んで頂けたらと思います。









「あ、しまった。牛乳がない。明日の朝、困るわね~。

あ、丁度いいところに。ヤヤコ、コンビニで買ってきてくれない?」

冷蔵庫を覗いて、母親は直ぐに真後ろにいた長女の私を見つけて

お財布の準備に取り掛かる。

現在の時刻、夜の7時15分。

秋も過ぎ、外は肌寒く真っ暗な時間帯。


その時間帯に、こちらは今帰宅したばかり。

何も言わないうちに、母親の中では、私はコンビニでお使いが決定事項になっている。

(うう、絶対に断われないように言うんだから)


まあ、確かに牛乳がないと私も困る。

毎朝、我が家は牛乳とかコーヒー、食パン、卵焼きにウィンナー、サラダという普通の朝食。

家族が全員牛乳を使うので、ないと困る。

私自身は、コーヒーに温めた牛乳を少し入れて、角砂糖1個入れるのが大好き。

人はそれをカフェオレ砂糖入りと呼ぶ。


「はい、お財布」


渡されたお財布の中身は、千円札1枚。

あのコンビニで買ういつもの牛乳の値段は198円。

お釣りがある。

「ね、プリンも買っていい?」

「どうぞ」

「やたっ」


プリン1個というご褒美が出来て、ウキウキ気分で家を出る私は

なんて安上がり。

コンビニまで片道7分。

目的も簡単な物なので、サッサと会計を済ませて直ぐに店から出た。

片道7分とはいえ、人通りが少ない道なので、街灯が頼り。

「この時間帯は、本当に怖いなあ」

たったか歩いていくと、坂道のところで夜空に流れ星。

「うわ、何か願い事しなくちゃ。ええと、ああ、消えないで~」


なんてひとりで騒いでいたら、円盤が見えた。

しかも、真上で止まった。

「円盤だあ。本物?凄い、キラキラ光ってる~」

宇宙人て、本当にいるんだあなんて、感動しながら上を見上げていた。

ビデオ持っていたら、撮りたかったな。

別に宇宙人信者じゃないけど、宇宙人にちょっと憧れとか

あるものね。


大きな丸い物体に見惚れていたら、その円盤から光の柱が降りてきた。

「おや?」

と、思いながら様子を見守っていたところ、次にガクンと身体に衝撃が来て

「え?」

と声が出たところで、光に包まれ空中に引っ張られた。

それは、キレイにグーンと上へ向かって飛んで行く。

例えるなら、周囲に壁がないクリアなエレベーター。

「え、嫌、嫌~」

大きな声で叫んだのに、誰も外へ出て来ない。外に出ている人もこちらに気付かない。

「なんで~」


どんどん空に留まっている円盤の近くまで来て、恐々下を見ると

自宅はおろか、町内が近所がはるか下。

飛行機から地上を見ている感覚だ。

「高い~、怖すぎる~」


上空の円盤の真下までくると、丸い穴が開き、入口なのか、その穴へ吸い込まれた。

キュン。

その入口の穴が閉まり、ヤヤコは円盤の中、どこなのか分からないが

自分を包んでいた光が消え

床に降ろされた。

周囲を見渡すと、ふよふよと丸い球体が近づいてくる。

『・・・・・』

何かよく分からない言葉らしき物が発せられたかと思うと

キンと音をさせ、光る物が自分の周りを囲んだ。

静かになったところで、球体の鉄の鳥籠に自分が入れられたことが分かった。


「ええ~、何故鳥籠?」


やがて何か音がしただけで、後は静寂。

何時間?経った?

「出して~」

その空間は、全面冷たく感じる銀色の壁のみで、誰も会いに来なくて

心細くて、寂しくて体操座りになって泣いてしまった。


ずっと泣き続けたので、そのまま疲れて眠ってしまった。

今日の部活、弓道で精神的に疲れていたし

欠伸をしたら、もう目が虚ろで目が開けられなくなって。

ぐう。



ガクン。と大きな音がして、騒々しい音に目が覚めた。

(何?急に。どこかに着いたのかしら?)

横になっていた身体を起き上がらせると、目を瞠った。


入れられた鳥籠の置かれているのは、よく分からない店だ。

店なのだ。

(何、これ。店だよね?)

鳥籠の横では、レジのような物の前に、女性だと思う人物が

紙のような物を受け取っては、袋に包んでは相手に何かを渡している。


私が立ち上がると、周囲のよく分からない物体やたぶん宇宙人らしき人達が

いや皆宇宙人だよね?が、

一斉に私を見た。

「・・・」

「・・・・」

何を会話しているのかサッパリ分からないけど、一つ目の青い生き物の大きいのと

小さいのが近寄ってきて、何か言っている。


大きさは、私はその青い生き物の小さいサイズのと変わらない身長みたいだ。

そうかと思えば、がたいのある、たぶん2Mはあるかなと思う鉄仮面の物体みたいなのが

じっと見つめてくるわで、怖くてしゃがみ込んだ。

しゃがみ込んで、自分が何も着ていないことに気付き、両腕で身体を抱きしめる。

顔が真っ赤になった。

「い、嫌~、なんで裸なの~」

周囲を見渡すが、隠せる服も布も何もない。


コンビニで買ってきた品物が入っていたビニール袋もない。

恥ずかしくて、蹲っていると、レジらしき場所の横から扉が開き

凄く凄く美形な人物が出てきた。

地球ではありえない美しさだ。

鳥籠の近くまできて、何か話しかけられるが、サッパリ通じない。

「ええと、話わかりません」

こそっと呟くと、私が言葉を発したことで、その美形さんは物凄くだらしない顔で喜んだ。


勝手に口パクで、こちらだけの考えで通訳するなら

「やった。しゃべったぞこの子」みたいな。


うう、でも。裸で恥ずかしくて。目をまともに会わせられない。

また顔を近づけて何か言っているけど、分からない。

とりあえず、こちらの考えを伝えたいので、身振り手振りで

服を下さいとお願いしてみる。


「・・・?」

「ふ・く」

「・・?」


伝わってないかなあ。

じっと美形さんの顔を見つめると、彼なのか彼女なのかはっきりしないけど

美形さんは、首を傾げてレジ向こうの扉へ行ってしまった。

「うう、お腹も減ったなあ」

座り込んでいると、また別の変な なめくじみたいな物体が

もちゃもちゃ話しかけてきた。

何を言っているのか、全然分かりません。


この人達、人って言っていいのか分からないけど。

皆宇宙人なんだろうなあ。

宇宙人よね。


カチャン。

鍵が開けられる音。

「・・・・・」

真横の鳥籠の扉が開いて、美形さんではなく、先ほどレジをしていた女性なんだろうか

唇が凄く大きく、目が点?の人がこちらを覗いている。

「あの」

「・・・・・・・・・・・」

うわ、早口。物凄く早口で、全然言葉分からない。


私は150センチ。この人は、2Mはあるのでは?と見上げた。

ぐいっと、腕を引かれると籠から出れた。

うわ、出てもいいの?と嬉しそうに笑顔を向けると

その女性?らしき人も笑みを見せる。

手を引かれて、いろいろな袋や箱が置いてある中を通り

さあと手を広げられた場所が、どう見ても風呂。


「風呂?」


私が入ることが出来るくらいの大きな浴槽。

そこには底にお湯が見えた。

「入るの?」

彼女は、私を軽々と持ち上げて、浴槽へそっと降ろす。

温かいお湯の中だけど、膝までしかお湯がない。

ま、いいかとそこへ足を延ばして座り込んだ。


「・・・・」

何か頭の上から会話がされたかなと見上げたら

女性?らしき人の手にはスポンジ。

手を動かしているらしく、どんどん泡が増えていく。

石鹸かな?

「もしかして洗うの?」

立ち上がろうとすると、手で制止され、いきなり身体を洗い始めた。

くすぐったいので、辞めてと身振りでお願いするが

分からないみたい。

ありとあらゆるところまで洗い上げられ、

最後に頭を泡だらけにされると、全身にお湯のシャワーを掛けられた。

泡が完全に落ちる頃には、ぜえぜえと肩で息をしていた。

物凄く苦しかった。


ひょいと軽く持ち上げられ、隣りに置いてある台の上に座らせ

乾いたタオルで身体をくまなく拭いてくれた。

さらにドライヤーで髪を乾かせて、

ピンクのワンピースを着せてくれた。


下着が欲しかったのに、それは用意されていなかった。

裸の上にワンピースのみで、下半身が心もとない。

「下着が欲しい」

身振り手振りで伝えようとするのだけど、首を傾げるだけで通じなかった。


お尻丸見えになるので、物凄く恥ずかしい。

ワンピースは膝下まであるので、余程の姿勢をしなければ

下半身を露出することはないだろうけど、

せめてパンツくらいは欲しいな。


でも、自分の姿ってどんな感じになってるのかな?

凄く気になる。

鏡ないかなと台の上から周囲を見渡していると、

姿見がゴソゴソ何かを探している私を洗った女性らしき人の背後にある。

トンと台から降りて、姿見の前に出た。


「誰ですか?コレ」


顔は確かに私。でも、地毛である茶髪はショートにしていたはずなのに

腰まである。

しかもところどころウェーブがあるので、パーマかけたのかな?と思ってしまう。

いやいや、鳥籠に入れられた時点では、そんなことはしていない。

それに身体。

少しぽっちゃりさんだったのに。

ないよ、皮下脂肪が。

どこの美容整形で?


確かにあの脂肪が取れたら、こうなるだろうなあとは思ったよ。

夢みたいな体型なんですけど。どうして?

それに胸も。

つるぺたとは言わないけど、Bだったはず。

これは、どう見てもF?

夢みたいだけど、何故こんな姿に?


鏡に向かって首を傾げていると、洗ってくれた女性らしき人が

背後から何か言ってくる。

言葉の意味が分からないので、見上げてニコっと微笑む。

また何か私に向かって言ってから、頭を撫でられた。


何とか言葉を理解出来たらいいのに。






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