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無能勇者  作者: キリン
霧隠れの森編
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無能勇者、招かれる

 ペパスイトスを名乗るこの男、俺ははじめこそ疑っていたが、どうやら本人らしい。その証拠に両掌がゴツゴツしていて、腰の玄翁も古めかしい感じだった。


 彼は俺たちに応急処置を施し、その場で毒を治療してくれたのだ。治療の腕はとても高く、先程まで自分たちが死にかけていたことを忘れてしまう程に、気分が良くなっていた。イグニスさんはまだ目を覚まさないが、息はしているし、恩人相手に贅沢は言えまい。


「さぁ着いた……ってなんだぁこりゃ!?」


 そこは先程まで、自分が蜘蛛と戦っていた場所だった。ペパスイトスは飛び散った血飛沫よりも、瓦礫の山に絶句しているようだが。


「すみません、それは俺が壊しました。事情があって……助けてもらったのに、本当にごめんなさい!」

「ん? 何だお前が犯人か。……ならいい、丁度建て直そうと思ってたからな」


 そう言って彼は、膝をついて地面に手を付けた。何かをブツブツと呟き続け……変化は急に、そして迅速に顕れた。

 瓦礫の山が、ふわりふわりと宙を舞う。そして変化し、原型を留めていなかったものが立派な丸太へ、丸太は形を変えながら地面に突き刺さり……大の男が何十人も集まって作るような、立派な木造建築に早変わりした。


「……まぁ、妥協点だな」


 ペパスイトスは満足行かなそうにそれを眺めた後に、俺を出来立てほやほやの家の中に招待した。俺はイグニスさんを背負い直し、そのまま家の中に入っていった。







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