表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能勇者  作者: キリン
霧隠れの森編
27/86

無能勇者、苦悩する

 青い空には鳥や蝶が舞い、緑色の大地には彩り溢れる花が咲き誇っている。


 これが、この妖精国ブルテンが美しい国だという理由の末端に過ぎないという事実が、この国の最大の魅力なのかもしれない。ここに住まう彼らは絶大な魔力を有しておきながら、戦争を好まず……今あるもので工夫し、助け合って生きている。この国を訪れた人は皆こう言う。ーーこの国で一番美しいのは、この国で生きる民たちの心なのだ、と。


 そして、この国を魔王の手から救った勇者もまた、この国を美しいと思っていた。


「……さて、どうするかな」


 鞘から簡単に抜けてしまう聖剣、根本から折れた刀身はまるで「抜け殻」のようで、とても……一度は世界を救った剣には思えなかった。


(俺の実力不足も当たり前にあるけど、それ以上にベルグエルは、大義名分と決意を持った英雄は……強かった)


 あの気迫、強さ、不屈さを思い返すだけで身震いしてしまう。よくもまぁあんなのと戦ってまだ生きてるもんだなと自分を褒めてみる。


 現状を整理しよう。


 この世界は今、新たな魔王に脅かされつつある。このブルテンの他にも、暴力に脅かされている国がいくらでもあるはずだ。一刻も早く魔王を倒さなければ、陣取り合戦でまずこちらが負けてしまう。


 次に、使う聖剣が折れてしまった事について。


 これに関してはしょうがないで済ましたい気持ちがあるが、これを諦めてしまえば魔王を倒す術はなくなり、世界は奴の手に落ちてしまう……それだけは、それだけは避けなければいけない。それが、アーサーに託された使命なのだから。


「あら、ガド殿? こんなところで何をしていらっしゃるので?」


 悩める俺が振り向く。そこには、村娘が着るようなローブをまとった、ルファースさんがいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ