時の交錯点
更新頻度がナメクジ化して申し訳ありません。
一つ言い訳として、最近ネオページというサイトで『パラサイト〜魔法少女殲滅計画〜』という作品を書いていまして。
こっちは仕事という事もあって、少し疎かになってしまってます。
ちょっと特殊な感覚で書いてる作品でして、
https://skima.jp/request?id=50509
このアイデアを基盤(?)にして、自分なりに設定やストーリーを構築している感じです。
話に自信は無いですが、手を抜かずに書いている作品なので、お暇なら読んでみてください。
レビュー、感想等、毎回ありがとうございます。
月の姫が語るのは、始まりと終わりの物語。
たった一度の、■の物語。
なんてことはない。まるで眠りから目覚めるかのように、彼女は生まれ落ちた。真っ白な病室、体中に繋がれた管と、機械の山。
紅月輝夜と呼ばれることになる、1人の少女の目覚めである。
輝夜は特別な少女であった。生まれながらに、強大な呪いに侵されているだけでなく。
その魂には、死したはずの月姫、かぐや姫の記憶が刻まれていた。
静かな病室で、輝夜は自己を認識する。地上から放たれた魔神の一撃。それが心臓を貫き、かぐや姫はその生涯を終えたはず。人類のために槍を握り続ける生活、地獄からの解放が行われた。
後は、天国か地獄か、どちらかに行くのかと思っていたのだが。
かぐや姫は、ここに人間の少女として生まれ変わった。
これが、本来の歴史、本来の紅月輝夜。
ある意味では正しい歴史で、結果としては終わりを迎える物語。
それでも語らなければならないだろう。
なぜ、輝夜が2人へと分かれたのか、それを説明するために。
◆
命の光は消えかかっており、生命維持装置が無ければ遠の昔に死んでいる。それでもこの年齢まで生かされているということは、よほどの理由でもあるのか。
自分の肉体の状況を理解しながら、輝夜は冷静に考える。
呪いは、確かに厄介なもの。だがしかし、本質的には自分とそう変わらない力でもある。
ゆえに輝夜は魔法を行使し、自分の魔力を犠牲に呪いを抑制する。
代償として、魔力の大半を失い、髪の色も真っ白になってしまったが。まぁ、些細な問題である。
これによって、紅月輝夜は自力で動けるようになった。
もう1つの歴史とは大違い。向こうの彼女は、5年近くをリハビリに費やして、人間としての力で立ち上がれるようになったが。こちらの輝夜は、その過程をスキップした。
だからこそ、運命は大きく歪曲した。
「……」
今の自分に何ができるのか、輝夜は魔法を用いて確認する。
生まれ変わったとはいえ、かぐや姫としての力は失われたまま。五つの難題、宝具を取り戻さなれば、そこらの凡人と変わらない程度の魔力しか持っていない。
軽く、物を持ち上げたり。
扉のロックを解除したり。
そうやって、自分の力を確認していると。
解錠された扉を開けて、一人の少年がやって来る。
好奇心と、少し怯えたような表情で。
本当に、たまたまだったのだろう。
彼は偶然にも病室の前を歩いていて、不自然にも鍵が開いた音を耳にして。
特に考えることもなく、病室の扉を開いた。
これが、自分の運命を大きく変える出来事だと、知る由もなく。
「誰なの、あなた」
「……あ、えっと、その」
輝夜の凛とした声に、少年はたじろいでしまう。
神秘的な輝夜の容姿に驚いたのか、あるいは彼自身の事情だろうか。
その少年が、普通ではないことに、輝夜はひと目で気づいた。
(酷いわね。ここまで魂が歪んでるなんて)
当時の輝夜は、まだその名前を知らなかったが。
少年は、重度のルナティック症候群に侵されていた。
月の魔力によって魂を蝕まれ、酷い悪夢を見る病気。
自分と、決して無関係ではない病気に。
「なんて、哀れなのかしら」
「……え?」
輝夜と少年、2人の会話は噛み合わない。なぜなら生まれも、経験も、力も、価値観も、その全てが違っているのだから。
だがそんな2人が、ここで出会ってしまった。
それが、運命。
歴史の最大の分岐点。
「あなた、名前は?」
「……花輪、善人」
「よしひと?」
「うん。よい人って書いて、善人」
「そう。親のエゴが垣間見える名前ね」
細かい会話なんてどうでもいい。
大切なのは、この2人が出会ったという事実のみ。
人間という種に、かぐや姫は何の希望も抱いていない。地球という星への憧れも、すでに失っている。今さら、普通の人間として生きてみたいという願望もない。
だがしかし、最後に可能性を見出してもいいだろう。
果たして、人間は生きる価値があるのか。
自分が守るべき存在だったのか。
その結論を、この少年で見極めることにした。
「よろしく、善人。これからあなたは、わたしの友だちよ」
「友だち? でも、ぼく。近くにいる人を、勝手に傷つけちゃうから」
「心配はいらないわ。あなたを蝕む呪いは、わたしが取り除いてあげる」
輝夜だけが、月の呪いに対する絶対的な耐性を有する。
その手で触れるだけで、苦しむものを癒やすことができる。
「だから、約束して。絶対に、わたしを失望させないって」
思えばその一言が、始まりであると同時に、終わりだったのかも知れない。
輝夜と善人、その歪んだ関係と、結末に。
◆◇ 時の交錯点 ◇◆
「なるほど。確かに、わたしの時とは大違いだな」
怠惰に、輝夜はその話を理解する。
自分とは違う始まり、違う出会いを。
ソファに寝転び、スナック菓子のようなナニカを食らいながら。
「……」
そんな輝夜の姿を見て、もう一人のカグヤはなんとも言えない表情を。
「はぁ。自分と同じ顔で、こんなだらけた人間だなんて。実際に見てみると、酷いものね」
「悪く思わないでくれ。わたしは、同じ姿勢で長話を聞くのが苦手なんだ。呪いとやらのせいで、関節も骨も悪いんだよ」
輝夜とて、好きでだらけているわけではない。いつも使用している自宅の高級家具とは違い、ここの家具はオンボロな物ばかり。
呪いのせいなら、仕方がないと。
一緒に話を聞いていたリタも、特に言葉は発さない。
もう一人。
タマにゃんこと、ニャルラトホテプに関しては。
「これも食べるにゃ。ミーのとっておきを隠しておいたにゃん」
「ああ」
「喉が渇いたら、すぐに言うにゃん」
「うむ」
「身体が辛いなら、マッサージするにゃん?」
「ん」
これでもかと言うほど、輝夜のことを甘やかしていた。
食事を運び、身の回りの世話をして、挙句の果てにはマッサージまで。
頼んですらいないのに、輝夜に尽くしている。
「ちょっと、タマにゃん? 滅多にないお客様だからって、そこまでする必要ないんじゃない?」
「にゃはは。それほどでもないにゃん」
「……話が通じてないわね」
どうやらタマにゃんは、輝夜のことしか頭にないらしい。
仕方がないので、カグヤはタマにゃんのことは無視して、続きを話すことに。
「そこから先は、普通の学園生活が始まったわ。小中高と、わたしは善人と同じ学校に通ったの」
「はぁー。それはまた、わたしとぜんぜん違うな」
「そうね。リハビリ漬けのあなたと違って、わたしはすぐに動くことが出来たから。善人のことを観察するためにも、学校には行ってたのよ」
呪い一つに対して、どうやって抗うか。
その選択によって、二人の輝夜は大きく異なる道を歩むことになった。
「そもそも、善人を観察するためってどういう意味だ? わたしには理解できないんだが」
「……なんと言ったらいいのかしら。当時のわたしは、人類に興味がなかったの。見放していた、とも言えるわね」
「うーん?」
カグヤの主張に、輝夜は首を傾げる。
「詳細は省くけど。前世のわたし、かぐや姫は、ほとんど操り人形みたいな感じで月に囚われていたの。だからわたしは、人間が嫌いになった」
「……」
その言葉を受けて、輝夜の脳裏に見知らぬ記憶が駆け抜ける。
それは、かぐや姫としての記憶。
「月の連中、ロンギヌスには利用され。地上に堕とされた時には、人間の醜い部分ばかりを見せられた。だからわたし、正直人間なんて大嫌いだったんだけど。まぁ、そうね。罪なき少年、月の呪いに蝕まれた善人を見て、ちょっとだけ可哀想だと思ったの。だから、彼という無垢なる人間の成長を通して、人間という存在の再評価をしようと思ったの」
これが、彼女の考え。
人知れず始まった。かぐや姫の、”その後”の物語。
「善人には、色々と尽くしたわ。月の呪いを払いのけるために、いつも一緒に行動して。彼が特別な力に目覚めるように、指輪を授けたの」
「指輪?」
「ええ。大した力は持たない指輪よ。もう、宝具を生み出すような魔力は残ってなかったから。あなた達の持つ、遺物、みたいな物かしら。善人が力に目覚めて、それをどう使うのか、わたしは見てみたかった」
結果的にこれは、かぐや姫の最後の難題だったのかも知れない。
花輪善人という少年を通して、人類という種を見極める。
「善人は、正直想像以上の才能を持っていたわ」
カグヤが語るのは、まったく異なる歴史を歩んだ本来の花輪善人について。
「底の見えない膨大な魔力に加えて、身体能力も抜群。まるで、わたしを守る騎士みたいに、彼は高みへと上っていった」
懐かしむように、慈しむように、カグヤは彼のことを語る。
「いつだったかしら。彼は突然、悪魔を召喚する力に目覚めたの。呼び出された悪魔は、今回の歴史と同じ、アミーだったわ。善人はクールに見えて、内心には熱い炎を宿している人だったから、きっと縁があったのね」
「……うん? ちょっと待て。ある日突然、悪魔を召喚したって言ったか?」
「ええ。言葉通りに受け取ってちょうだい」
カグヤによって語られる、本来の善人についての話。
確かに、熱き炎の悪魔アミーは、いま歩んでいる歴史でも召喚された。他ならぬ、輝夜の目の前で。
だがしかし、前提が間違っている。
「あいつがアミーを召喚できたのは、露店で買った指輪が、たまたま遺物だったからだ。同じ指輪でも、お前が造った魔法の指輪と、露店で買った怪しい指輪とじゃ、大違いだろう」
「そうね。それに関しては、わたしもずっと疑問に思ってたわ。規制の厳しい姫乃で、露店でアクセサリーが売ってる事自体が稀なのに。あまつさえ、偶然買ったそれが、王の指輪だったなんて」
それは、今になっても理解が出来ない、不可思議な出来事である。
そんな偶然が、果たして起こり得るのだろうか。
「あなたの着けているイヤリングは、普通のイヤリングだったのよね?」
「そうだな」
輝夜は、左耳の月とうさぎのイヤリングに触れる。
今となっては、仲間の悪魔たちと繋がる大切なツールだが。始めから、その力が備わっていたわけではない。
「最古の悪魔の1人。アモンから受け取った遺物と融合したことで、あなたのイヤリングは力を宿した。つまり、それまでは間違いなく単なるアクセサリーだったはず」
しかし、あの日、あの運命の夜。
手に入れたばかりの指輪で、善人は悪魔を召喚した。
つまり最初から、あの指輪は遺物だったということ。
「……」
何かを考えるように、思い出すかのように。
カグヤは、自身の頭をトントンと叩く。
「もしかしたら。本当に、もしかしたらの話なんだけど。わたしは、善人という存在を、ずっと間違えて認識していたのかも」
「認識を、間違えて?」
「ええ」
遡って、カグヤは再びかつての善人について語りだす。
「彼の成長は、決して止まることはなかったわ。悪魔の召喚だけでなく、自分自身も強力な魔力を自在に操れるようになっていった。――そして、あの日がやって来た」
あの日。
それは、ソロモンの夜と呼ばれる儀式、空の王の生誕の日。
「善人の指輪は、遺物じゃなくて、わたしの造った指輪だから。当然、ソロモンの夜には巻き込まれなかったわ。きっと、あの金髪の男、ジョナサンだったかしら? 彼の動きや、バルタの騎士たちの抗争なんかもあったのかも知れないけど。少なくとも、わたしと善人は干渉しなかった。だって、彼らがどうして戦っているのかすら知らなかったから」
ソロモンの夜は、王の指輪、禁断の遺物の保有者たちが集められた、特殊な形式の儀式である。
輝夜も、そのイヤリングに正統な力が宿っているがゆえに、戦いへと誘われた。
しかし、もう一人のカグヤが歩んだ歴史は違う。
「気づいたときには、もう遅かったわ。確かあの時も、本来なら体育祭のある日だったかしら。興味がなかったらから、覚えてないんだけど。あの日、突如として、姫乃に空の王と呼ばれるバケモノが出現したの」
空の王。輝夜自身も、未来を視ることによってその存在は知っている。
のっぺらぼうで、左胸に穴の空いた巨人である。
「”首から上が存在”しない、破壊の権化のような巨人だったわ」
「……うん?」
輝夜は、その言葉に引っかかるも。
まぁ、大した問題ではないのでスルーすることに。
「正直、あの時点の戦力では、どう足掻いても勝てるような相手じゃなかった。事実、バルタの騎士を筆頭とした遺物保有者たちは全滅して、わたし達の生みの親、紅月龍一でさえ、空の王に敗れたわ」
「確かに、それは非常に、ヤバいバケモノだな。龍一でも勝てないなら、ドロシーでも厳しいか」
最強クラスの人間、最強クラスの悪魔。
味方にはそれだけの戦力が揃っているものの、相手は常識を遥かに超えた怪物である。
「あれは、もはや神の領域に近い存在だった。きっとそのまま放置すれば、姫乃を焼け野原にするだけじゃなくて、やがては日本を。そして、世界すらも焼き尽くしていたかも知れない」
「……それはまた、話が飛躍しすぎてないか? だって、そう。そっちの歴史だと、善人が空の王を倒したんだろう?」
「ええ、その通り。姫乃は消滅して、生き残ったのはわたしと彼だけだった。確かに空の王は、善人の手によって倒されたわ」
そこで再び、カグヤは考えるような素振りをする。
その当時の記憶を、手繰り寄せるかのように。
「あのときは正直、奇跡が起きたんだって、思ったわ」
「奇跡?」
「ええ。人と悪魔の連携技、究極の奥義とも呼べる力、憑依融合。善人は空の王との戦いで、偶然にもその力に目覚めたの。だから、奇跡的に倒せたんだって、思っていたのだけれど」
カグヤは思考する、論理的に再認識する。
果たしてあの時、善人が空の王を打倒できたのは、本当に奇跡と呼べる現象だったのかと。
熟考するカグヤの姿を見て。
チラリと、もう一人の輝夜はリタに視線を送る。
「なぁ、おい。憑依融合ってなんだ?」
「そう言われても、わたしも詳しい説明は出来ないわよ?」
究極の奥義。
その呼び名に、輝夜は完全に興味をそそられていた。
「王の指輪の持ち主は、使役した悪魔の力によって戦う。これは、分かるわよね」
「おい、馬鹿にするな。何ならわたしは、自分自身でも戦うぞ?」
「そう、そこよ。悪魔と一緒に、あなた自身も戦う。それだけじゃなくて、あなたと悪魔は日常生活でも一緒に過ごしているわよね?」
「まぁ、それなりに、な」
男連中はともかく、ドロシーは自由奔放である。
しかし、生活を共にしていることに変わりはない。
「こんな言葉、ちょっと青臭く感じるかも知れないけど。まぁ、実際にあなたは青臭いから、この際良しとしましょう」
「おい」
「おほん。王の指輪。まぁ、あなたの場合はイヤリングだけど。それを通じて、あなたと悪魔には単なる魔力以上の繋がりが存在するの。それをこの場合、”絆”と呼称しましょう」
「絆? それは、ちょっと恥ずいんだが」
「はいはい、そうね。絆なんて、現実的に考えたらまったくもって意味のない単語なんだけれど、遺物を通した絆は別なのよ」
リタは語る。
古より伝えられてきた、人と悪魔に秘められし力を。
「人と悪魔、主と使い魔。その間に、主従関係を超えたナニカが生じた時、両者の魂は”境界”を超えるのよ」
2つの命、2つの力、2つの魂。
本来なら交わることのないそれらが、1つに重なる。
その現象を、一部の者は憑依融合と呼ぶ。
「あー、……わからん!」
「まぁ、それが当然よ。2つの魂が1つに重なるなんて、魔術的に考えても奇跡に近い現象だもの。わたしも、未だこの目で見たことはないわ」
「なるほど、な」
実は、輝夜は以前一度、その奇跡を間近で目にしているのだが。
非常時ゆえに、記憶に残ってはいなかった。
リタと輝夜が、そんな話をしていると。
ようやく、カグヤは自分の中で折り合いがついたのか、続きを語り始める。
「……やっぱり、そうよ。辻褄が合わないのよ、何もかも」
カグヤが再思考したのは、花輪善人の力について。
「そっちの様子を少しだけ見たけど、あの善人は何なの? どうして、急に二重人格みたいになってるのよ」
「……それに関しては、わたしに責任があるわね。多分だけど」
リタが謝罪する。
「まぁ、ほら。元の歴史だと、彼はカグヤのことを守る騎士のような存在だったでしょ? 最も近くでカグヤを守る、特別な存在。だからわたしは、正直、彼に嫉妬していたのよ。わたしが居ない間、ずっとカグヤを守ってくれた存在なのに。死ぬ直前まで、カグヤを守り続けた英雄なのに、わたしは嫉妬を感じてしまったの」
「……」
死ぬ直前まで。その言葉に、カグヤの表情がわずかに曇る。
元の歴史の善人は、最終的には死んでしまったのだから。
「だから、本当にカグヤを任せられる存在なのか、ちょっと腕試しをしようと思って、襲いかかったのだけれど。彼は未知なる力、天使の如き白銀の魔力を纏って、わたしを圧倒したわ」
「天使の力? 白銀の魔力ですって?」
「ええ。ボコボコにされたから、間違えようがないわ」
「それも、信じられないイレギュラーだわ。だって、わたしの知っている善人は、天使の力なんて微塵も」
カグヤは情報を咀嚼し。
「月の呪いは、魂の揺らぎを大きくする。なら、その影響を誰よりも受ける善人って、つまり」
1つの考えに辿り着く。
「……まずいわね。タマにゃん、わたし達の予想が外れるかも知れない」
「にゃん?」
輝夜の頭皮マッサージをしていたタマにゃんが、どういう意味かと首を傾げる。
「もしかしたら善人は、”ハイブリッド・オリジン”、なのかも」
「にゃ、にゃんですと!? それって、つまり」
「ええ。こっちの輝夜がイヤリングごと転移してきたおかげで、儀式は停止すると思ってたけど。善人がハイブリッド・オリジンなら話は別だわ。彼の存在、そのものがキーになりかねない」
「激ヤバにゃん。の、呑気に遊んでる場合じゃないにゃん!」
カグヤとタマにゃん。
2人は急に深刻な表情になる。
輝夜とリタは、意味が分からないという様子。
「おーい。盛り上がってるところ悪いが、ハイブリッドなんちゃらって何だ? 車関係のアレか?」
「ちょっと黙って。今はあなたの天然に付き合ってる暇はないの」
「な」
輝夜たちには理解できずとも。
カグヤとタマにゃんの2人は、ずっと”今日のこと”を考え続けてきた。
これが、最初で最後の邂逅なのだから。
「……タマにゃん。今まで、あえて聞いてこなかったけど。本当に、門は開くのよね?」
「にゃん。少なくともミーは、”その証拠”と出会ったにゃん。可能性に満ち溢れた、未来と」
「分かった。なら、その方向で準備を進めて。多分だけど、向こうの世界に戻ったら、すでに戦場になっている可能性がある」
「了解にゃん!」
「こっちの2人には、わたしが情報を叩き込むから」
カグヤは、改めて真剣な表情で、輝夜とリタに向かい合う。
時間は有限、今を逃せば、二度と話すことは出来ない。
「いい? あなた達に教えるわ。これから解決しなければならない、向こう世界の問題について」
それは、ある物語の結末。
その後。
「――わたしの犯した、罪と罰を」
かぐや姫は、告白する。




