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【書籍化】秋津皇国興亡記  作者: 三笠 陣@第5回一二三書房WEB小説大賞銀賞受賞
第五章 擾乱の半島編

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100 終わらない軍乱

 ほとんど最大射程で放たれた射撃の成果は大したものではなかった。

 運の良かった銃弾が、三、四騎を脱落させたに過ぎなかった。

 景紀の隣で、冬花が爆裂術式を込めた矢を放つ。こちらの効果は劇的だった。

 長槍を構えて突撃していた騎兵の隊列中央が爆炎と共に吹き飛ばされた。爆発に巻き込まれなかった馬も、突然の轟音に怯えて暴れ始める。

 突撃を始めた馬は、急に停止することなど出来ない。

 前足を折った馬が地面へと倒れ、爆発に怯えて突然進路を変えた馬が後続の馬と激突し、暴れて棹立ちになった馬が兵士を振り落とす。

 陽鮮軍の騎兵たちは、一発の爆裂術式で大混乱に陥った。


「どんどん撃て!」


 景紀は軍刀を振りかざして叫ぶ。

 兵士たちが、訓練された動きで発砲を続ける。冬花もまた、二発目の爆裂術式を放った。

 陽鮮軍騎兵の混乱は、さらに酷くなる。

 銃声、馬の嘶き、爆発、兵士の悲鳴。

 街道上で繰り広げられた戦闘は、両軍でまったく正反対の様相を呈していた。

 二列横隊を崩さず統制を保ったまま射撃を続ける秋津軍。混乱し隊列を乱す陽鮮軍。

 三十年式歩兵銃の最大射程である約九〇〇メートルを駆け抜けられるはずの一分が過ぎても、一騎の騎兵も景紀たちの二列横隊に到達することが出来なかった。


「撃ち方止め! 撃ち方止め!」


 敵騎兵隊は、混乱を収拾して部隊を再編するのに手間取るだろう。その時間を確保出来、さらに敵に相応の打撃を与えられたのならばそれで十分だと景紀は判断した。


「全員、港まで駆けろ! もたもたするな、急げ!」


 景紀は近くにいた兵士の背を叩いて楊花津の方に押し出した。

 兵士たち全員が駆け出すのを確認すると、景紀は冬花に言った。


「冬花、最後に一発、喰らわしてやれ」


「了解!」


 白髪の少女は、矢筒の中に残り三本になってしまった矢を番え、放った。

 生き残った指揮官級らしき武官が必死に統制を回復しようとしているところに、最後の爆裂術式が炸裂する。収まりかけていた混乱が、また勢いを盛り返した。


「行くぞ!」


「ええ!」


 最後までその場に残っていた景紀と冬花が、兵士たちの背を追うように駆け出す。

 楊花津に駆け込めば、ちょうど陸戦隊を乗せた艦載艇が港に到着しようとするところだった。船着場に降り立った陸戦隊指揮官の大尉と、景紀は敬礼を交わす。


「海軍の救援、誠に感謝する。速やかに、収容を初めてもらいたい」


「了解いたしました」


 その大尉は艦載艇に戻って、部下たちに指示を下し始める。


「仁宗陛下と深見館長を真っ先に退避させろ。次いで残りの非戦闘員、外務省警察、最後に俺たちの順だ。最後まで、警戒を怠るな」


 一方、景紀もまた指示を下す。

 楊花津まで遡上してきた艦載艇は、海軍が主に使用している十七(メートル)艦載艇であった。それが八隻、帯江を遡上してきてくれていた。ただし、倭館の人員を収容するために陸戦隊の人員は最小限度に留めたらしい。

 菊水隊の兵士たちが、楊花津の周囲を警戒する体制を敷く。冬花も、近くの民家の屋根に上って帯城方面を見張っていた。


「おお、お主ら、無事であったか!」


 と、船着場の方から景紀を呼ぶ声が響いた。振り向いてみれば、金光護を連れた貞英公主が駆けてくるところだった。


「どうじゃ、景紀殿! 妾は役目を果たしたぞ!」


 公主たる少女は鼻息を荒くして、自慢するように胸を反らした。


「ええ、殿下のお陰で助かりましたよ」


 江蘭島でどのような交渉があったのか、景紀たちは詳細を知らないが、恐らくこの少女も相応に尽力してくれたのだろう。


「お父君である仁宗陛下もご無事ですよ」


「うむ、先ほど船に乗り込もうとする父上と会った。陽鮮の王族として、お主らに礼を言わせてくれ」


 興奮しているのか、貞英の口調は早口だった。


「それにしても、わざわざ戻ってくるなどと危険なことをされずとも良かったのですよ」


「そうは思ったが、妾がいた方が帰路も安全であろう? 江蘭島の連中が、河口を封鎖せぬとも限らんのでな。まあ、お主らに対する人質じゃ」


 どうやら、陸戦隊の帯江遡上に関して黙認した江蘭府であるが、やはり完全に信用出来るものではないらしい。

 それにしても、ここ数日の出来事の所為で、この十二歳の王族の肝もだいぶ据わってきたらしい。

 彼女が今後、王族としてこの陽鮮王国で何を為すのか、少し、景紀としては気になるところだった。当初の厄介者という評価を、少し修正した形である。

 とはいえ、彼女の傍らに控える金光護の方は活動的な公主にずっと付き合わされたためか、少し心労の滲んだ表情をしていたが。


「景くん、非戦闘員と外務省警察の方々の乗船、すべて終わりました! 残りは僕たちだけです!」


 そんな中、貴通からの報告が届く。収容作業は順調に進んでいるらしい。


「よし、各隊の下士官の指示に従って、乗船を開始せよ! ここまでよくやってくれた!」


 景紀の声に、兵士たちの歓声が上がる。ここまでの戦闘を、負傷者はあれど、彼らは一兵の損失なく潜り抜けたのである。その喜びはひとしおだろう。

 将校たる景紀、貴通は最後まで残る。術者である冬花、鉄之介、八重も、万が一の事態に備えて最後まで残すことにした。

 そしてまた、宵も将家次期当主の正室という立場上、他の者たちに乗船の順序を譲っていた。

 そこに貞英公主と金光護を加えた八名が、最後の船に乗り込む。

 増水の影響で濁りきった帯江の岸辺を、景紀たちを乗せた艦載艇が離れていく。


「何とか、逃げ切ったな」


 遠ざかってゆく楊花津、そしてその先に見える帯城の城壁を見送りながら、景紀は呟いた。


「ええ、そうね」


 景紀の傍らに変わらず控える冬花が同意する。


「これで江蘭島で何事もなければ、そのまま帰国出来るだろうな」


 その言葉が皮肉に響いてしまったのは、これまでの状況から情勢の急変は当然のごとくに起こり得るものだと、景紀が考えてしまっていたからだろう。

 その言葉を聞いた冬花も宵も貴通も、ただ苦笑を返すことしか出来なかった。


◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆


 江蘭島へ至るまでの間、貞英公主の語ったところによると、結局、江蘭府は皇国海軍第七戦隊の提示した期限内に回答を出すことが出来なかったらしい。

 ある者は秋津人への警戒感から、ある者は責任回避から、ある者は仁宗国王と李欽王世子の間で揺れ動きながら、さらに旧守派、開化派、それぞれ別々の思惑を持った文官たちが集まったために、結論が出なかったとのことであった。

 その様子を見て痺れを切らした貞英は、秋津人との交渉は公主としての責任において自ら行うと啖呵を切ったという。このままでは、江蘭島が艦砲射撃に見舞われるという危機感もあったのだろう。

 彼女は江蘭島要塞の指揮官である白舜烈を説得し、秋津人との武力衝突を戒め、国王救出という大義のために秋津人の帯江遡上を認めるように江蘭府の文官たちに迫った。

 文官たちは、最終的には公主である貞英に全責任を押し付ける形で、彼女と礼曹佐郎・金光護に秋津人との交渉を任せた。

 江蘭島の役人たちは、仁宗国王と李欽王世子との政争がどのような結末を迎えるにせよ、自分たちが倭奴に屈したと見られるような決断だけはしたくなかったのだろう。だからこそ、王族という責任の押し付け所として適任であった貞英に、すべてを任せたのだ。


「まあ、役人として情けない連中だとは思ったが、今回はかえってそれが良かったかもしれぬな」


 貞英はそう評した。


「下手に衛正斥邪派が実権を握っておれば、今頃、江蘭島は火の海じゃろうて」


「まったく、姫殿下の無茶もこの程度にしておいていただきたいものです」


 彼女が倭館にやって来て以来、振り回されている感のある金光護が、苦言を呈するように言う。

 そんな遣り取りに景紀たちが小さく苦笑を浮かべる頃、艦載艇は江蘭島へと到着した。

 帯江は江蘭島の北側に河口が存在し、半島の陸地と江蘭島との間の水道を通らなければ海へ出られない。海への出口も江蘭島に付属する島々が存在しており、この付近一帯が海からの攻撃から王都・帯城を守るための天然の要害であることがよく判る地形であった。

 島北部の船着場にて、仁宗国王が船を降りた。深見館長も江蘭府守令への挨拶のために上陸し、その護衛として景紀と冬花が同行することになった。

 ここで陽鮮側関係者だけ下ろしてそのまま沖合の艦隊に向かっても良かったが、それを陽鮮側が非礼と感じればまた両国間関係が拗れかねない。

 黙認とはいえ、自国領土を他国の軍隊が通過することを許してくれたのだから、相応の礼を尽くすべきというのが、深見館長の意見であった。

 江蘭府に案内されると、役人たちはこれまでの秋津人に対する煮え切らない態度が嘘のように、島に上陸した仁宗国王に平伏した。

 少なくとも国王という存在のお陰で、これまで帯城での政変に対して去就を明らかにしていなかった江蘭島は、仁宗派となったのである。

 特に江蘭島将軍・白舜烈は、倭人が自国の国王を守り切ったということに対して複雑な思いを抱えながらも、倭奴討滅を掲げる李欽政権に付かずに済んだことに、密かに安堵していた。彼にとって倭人は警戒すべき存在である一方、ヴィンランド合衆国と交戦した経験から、不用意に敵に回すべき存在ではないと理解していたのである。

 龍母・雷龍に収容されていた熙王子も無事に江蘭島に送り届けられており、少なくとも江蘭島においては両国間の武力衝突は回避出来ていた。

 もっとも、内禁衛将・鄭孝顕が宵を人質にとって逆に他の武官や兵士と共に殺害されたことを聞かされた貞英は、様々な感情を堪えるような表情をしていたが。

 ともかくも、深見館長による江蘭府への挨拶は、大きな波乱もなく終えることが出来た。

 だが、最後の最後に、波乱といえないまでも景紀を悩ませる事態が生じてしまった。


「景紀殿、妾はあの船を見学したい。許可してもらえぬか?」


 艦載艇に戻ろうとした景紀と冬花に、貞英がそう言ってきたのである。彼女が指差していたのは、沖合に浮かぶ第七戦隊の巡洋艦であった。


「妾はまだまだ学ばねばならぬことが多い。隣国の軍事力の一端を、この目で確かめておきたいのじゃ」


 単なる興味本位とはいえない少女の言葉に、景紀は渋面を作る。

 王世子が王位を簒奪した今、仁宗国王の子で最年長であるのはこの公主だ。江蘭府を説き伏せたことからも、今後、仁宗政権内でそれなりの存在感を示す可能性がある。

 そんな彼女に皇国の軍事力を見せることは、陽鮮王室に対する一種の抑止力にもなるだろう。


「……一つだけ、条件があります」


 少し悩んだ末、景紀はそう言った。

 沖合の艦隊と冬花が呪術通信で連絡を取り合い、第七戦隊司令部から貞英公主の乗艦の許可が下りたのは、その三〇分後であった。


  ◇◇◇


 海軍艦艇においては、貴賓などの送迎に際して乗員を舷側に並べる登舷礼という礼式が存在する。

 乗艦する者が陽鮮王族である以上、皇国海軍としても登舷礼で出迎えるのが礼儀であった。

 第七戦隊旗艦である巡洋艦・栗駒の舷側に、白い水兵服を着た乗員たちが一列に整列していた。

 舷梯を上って、貞英は甲板に上がった。付き添いとして、またしても金光護が選ばれていた。

 貞英の見学は、戦隊が艦載艇の収容を終えるまでの間で行われることとなった。


「これが、蒸気船というものなのじゃな……」


 空に向かって伸びる煙突を見上げながら、陽鮮の公主は感嘆したように呟いた。

 貞英は今まで船自体に乗ったことがないが、それでもこれだけの大きさの軍船を多数保有する秋津皇国の海軍力には驚嘆せざるを得ない。陽鮮王国が、未だ一隻の蒸気船も保有していない現状ならば、なおさらであった。

 彼女は第七戦隊司令官の案内で、機密に関わらない艦内の部署を巡った。

 艦載砲がずらりと並ぶ舷側に、貞英は煙突と並んで強い印象を受けた。江蘭島で見た自国の砲とは、明らかに造りが違ったのだ。

 改めて、この艦隊からの砲撃に島が晒さずに済んで良かったと安堵してしまう。

 第七戦隊司令官は、あえて砲艦外交を意識してこの少女を案内していたのである。

 一通り見学を終えて貞英が上甲板に戻ると、そこには景紀を始めとした菊水隊の兵士たちが待ち受けていた。冬花、宵、鉄之介、八重もいる。


「では、殿下。約束通りお願いしますよ」


「うぅむ、約束した以上、それを果たさねばならぬことは理解しているが、本当に大丈夫なのであろうな?」


 景紀のどこか圧のある言葉に、貞英は気後れしたように確認する。倭館で、彼に言われて兄の簒奪を批難する伝単を書かされた時のことを思い出していた。あの時の景紀にも、思わず頷かざるを得ないような圧があったのだ。


「別に、水晶球での撮影で魂を抜かれるなんてことは、呪術を理解していない人間の誤解ですよ」


 景紀が巡洋艦・栗駒見学の条件として出したのは、菊水隊の者たちとの記念撮影であった。


「まあ、呪術師を側に侍らせておるお主の言葉なら間違いはないのじゃろうが……」


 とはいっても、王族として呪詛を警戒する習性からか、貞英も含めて歴代の陽鮮王族の中で水晶球による呪術撮影で自らの姿を残した者はない。貞英が少し気後れしてしまうのも、無理からぬことであった。

 三列に並んだ菊水隊の者たち。彼らの背後には、倭館で掲げていた「非理法権天」の幟があった。

 その最前列中央に置かれた椅子の上に、貞英は導かれた。

 冬花が撮影用の水晶球を設置して、自身も撮影される側に回る。


「では、いきます」


 シキガミの少女が術式を発動させ、貞英公主を囲む菊水隊の者たちの画像は、水晶球に記録されることとなった。


「うぅむ……」


 撮影が終わると、貞英は手を閉じたり開いたりして自分自身の感覚を確認していた。やはり、少しばかりの不安があったらしい。


「それで、こんなことをしたお主の目的は何なのじゃ?」


 ひとしきり自分の体の感覚を確認すると、陽鮮の公主はそう景紀に問うた。


「単なる記念ですよ、記念。お姫様を守ったなんて戦功は、隊員たちにとって一生の誇りとなるでしょうからね。それが例え、他国のお姫様であったとしても。いえ、他国のお姫様だから、でしょうか?」


「まあ、お主がそう言うならそうなのであろうが」


 いまいち納得していない口調で、貞英は納得したような言葉を言う。

 すでに舷側には、江蘭島の派遣した迎えの小舟が到着していた。撮影を終えた貞英は、金光護を伴って舷梯へと向かう。


「これまで、お主らには世話になった。改めて、礼を言わせて貰う」


 舷梯を降りる前に立ち止まり、貞英は景紀たちを振り返った。


「お主らの息災を、陽鮮の地より祈っておる」


「これから大変なのは、そちらの方でしょう。俺も、せっかく助けたお姫様が政争に敗れて死ぬ様は見たくありませんからね。せいぜい、無事でいてくれると助かります」


「何、妾もこの国の行く道を見届けずして死ぬつもりはない」


 そこまで言って、貞英は景紀に鋭い視線を向けた。敵意はない。それでも、景紀を油断ならぬ異国の人間と断じるような視線であった。


秋津人(お主ら)は、またいずれこの地に来るのであろう?」


「ええ、恐らくは。もっとも、それを決めるのは俺ではありませんが」


「ならば、待っておる」挑むように、貞英は言った。「その時にまた、再会出来るやも知れぬな」


 陽鮮の公主は、くるりと踵を返した。そのまま、舷梯を降りていく。

 栗駒乗員たちが、再びの登舷礼をもって彼女を見送った。


  ◇◇◇


「ねえ、景紀」


 江蘭島沖を離れ、南へと針路を取った栗駒の艦内で、冬花が問うた。

 景紀の手の中で、先ほど撮影に使った水晶球が弄ばれている。


「それ、記念とか言っていたけど、本当は違うんでしょ?」


「ああ、当たり前だろ?」


 まったく悪びれず、景紀は従者の言葉を肯定した。


「このままだと、皇国は陽鮮の人々すべてを敵と認識して、征鮮論が盛り上がりかねん。だが、手を組める人間、それも健気なお姫様がその中にいたらどうだ? 民衆は、王宮を追われたお姫様を哀れみ、そんな彼女を王宮から追い出して王位を簒奪した王世子に敵意を向けるだろうよ。帰国したらこの画像は各所に提供して、新聞操縦に使う。この今回の戦いを題材にした錦絵もばんばん描かせる。これは、そのための第一歩だよ」


 景紀は水晶球を覗き込んで、そこに記録されている画像を確認した。


「結局、景紀は最後の最後まであのお姫様を政治の道具として見ていたのね?」


「何だ、納得出来ないか?」


「そんなわけないって、景紀も判っているでしょ?」


 それこそ生まれた時から付き合いのある乳兄妹(きょうだい)同士である。景紀の問いが戯れに過ぎないことを、冬花は理解していた。彼女自身も、景紀の方針に納得していたのだから。


「まあでも、そうね」


 だから冬花の方も、少しだけ主君をからかうことにした。


「相変わらず景紀はあくどいんだなって、そう思っただけよ」


「そいつは褒め言葉として受け取っておく」


「まったくもう……」


 にやりと皮肉げに笑う主君に向かって、冬花はわざとらしくやれやれとばかりに溜息をついてみせる。

 そんな他愛ない主従の遣り取りを乗せて、艦は皇国本土へ向けて航行を続けていた。






 皇暦八三五年七月二十八日。

 この日、ようやく本土の土を踏み帰国の叶った景紀たちを待ち受けていたのは、斉軍の鴨緑江渡河という情報であった。

 帯城軍乱に始まる半島の擾乱は、未だ収束する気配を見せていなかった。

 ついに、本作は一〇〇話を迎えることが出来ました。

 これもひとえに、読者の皆様からの応援があったからです。

 評価やブックマーク、感想等、本当に励みになりました。改めて、御礼申し上げます。

 また何卒、宜しくお願いいたします。


 これにて、二章にわたって続いた「陽鮮編」も終了となります。

 物語の内容や登場人物につきまして、ご意見・ご感想頂ければ幸いに存じます。お気軽に、一言でも構いませんので、読者の皆様が拙作をどう見ておられるのかを知らせて頂けると嬉しいです。


 次回は、こちらも二章に渡って「対斉戦役編」を描いていく予定です。

 何気に拙作では初めて景紀と宵が完全別行動をとることになる章になると思います。「戦記もの」としての景紀、冬花、貴通の活躍だけでなく、「内政もの」としての宵の活躍も描いていくつもりです。


 今後とも、「秋津皇国興亡記」を宜しくお願いいたします。

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